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Act0-24 苦労性な大蛇 その二

PV1000突破しました。

いつもありがとうございます。

「そうですねぇ。じゃあ、お遊びはここまでにしましょうか。それで、コアルス、私になにか用でもあるんですか?」


「マバの件ですよ」


「あれはあなたの権限でやっておくように、と言っておいたと思いますが?」


「権限じゃなく、要はマバを私に食べろと言うんでしょう!? あんな大量にあったら、いくら私や私の一族が総出であたったとしても処分しきれませんから!」


「そんなに大きな体をしているんですから、トン単位のものなんて、簡単に食べられるでしょう?」


「無茶を言わないでください! 毎日そんなに食べられるわけがないでしょう!?」


 コアルスさんが叫ぶ。なんかすごく悲哀に満ちた叫び声だった。ああ、やっぱりこの人も飼い主に振り回されるタイプのようだった。というか、マバってなんだろう。食べ物かなにかなのかな。


「マバっていうのは、とても大きな魚のことです。「蛇の王国」は海が国土の半分くらいを占めていますので、その分魚介類が豊富に取れるんですよ。中でもマバは一番漁獲量が多い魚なんです」


「……その分、処分も大変なんですけどね」


 コアルスさんが、ため息を吐いた。いったいどれくらいそのマバって魚は多いのだろうか。コアルスさんとその一族でも食べきれないというくらいなのだから、相当な量だろう。っていうか、トン単位ってレアさんも言っている時点で、察するべきか。


「まぁ、マバのことは、コアルスに一任していますので、問題はありませんよ、カレンちゃん」


「だから、私だけじゃ無理ですって」


「引き受けたのは、あなたでしょう?」


「……無理やり引き受けさせたのは、あなたですよ?」


「無理やりでもなんでも、引き受けた以上は遂行する。それが仕事というものですよ? コアルス」


 ニコニコと笑いながら、そんな怖いことを言ってくれるレアさん。優しいけれど、うん、優しくないな、と思った。コアルスさんに至ってはいつも通りなのか、がくりと肩を落としていた。肩がどこかはわからないけれど、とりあえずそういう感じだった。ご愁傷さまと静かに合掌をした。


「まぁ、マバの件は、一応どうにかしてみますが、それでもレアさまももう少し考えておいてくださいね?」


「はいはい、わかっていますよ。それなりにやっておきますから」


「……お願いしますから、ね?」


 なんとも投げやりな言い方ではあるけれど、一応レアさんは了承してくれたようだが、望み薄だろうなぁと思う。コアルスさんもわかっているようで、疲れたように、ひとつため息を吐いていた。


「それでレアさま。お客さま方を王宮にお連れした後は、どうされるおつもりで?」


「そのままこの首都を案内する予定ですが」


「却下です! あなたにはまだ仕事があるじゃないですか!」


「えー、いいじゃないですか。少し息抜きをしても。いつも頑張っているのですから」


「それはそうですが、レアさまの場合、息抜きが長すぎるじゃないですか。昨日だって、息抜きだけで一日のほとんどを費やされていましたし」


「でも、ちゃんと仕事は終わらせたでしょう?」


「そ、それは」


 コアルスさんが返答に困っていた。どうやらレアさんは仕事ができる怠け者タイプのようだ。ある意味、一番厄介なタイプだった。仕事ができるくせに、いつも怠けている。注意されたらあっという間に終わらしてしまう。普段から真面目にやれと言いたくなるけれど、仕事には一切の不備がないから、下手に怒ることもできない。上司にしろ、部下にしろ、一番厄介なタイプだった。


「ちゃんと仕事を終わらせるから、いまはまだ大丈夫ですよ」


「……いえ、今日は仕事を終わらせてからにしていただきます。だいたい仕事をさっさと終わらせてしまえば、あとはのんびりとされればよろしいのですから」


「でも、すぐに終わらせると、また別の仕事が入るでしょう?」


「あたり前です。あなたは「蛇王エンヴィー」なのですよ? この国の王にして、「七王」随一の魔法の使い手なのです。そんなあなただからこそできる仕事は、毎日山のようにあるのですから。まぁ、その仕事をものの一時間かそこらで片づけてしまえる時点で、規格外と言えば規格外なのですが」


 コアルスさんがまたため息を吐いた。不真面目なのに、優秀すぎる上司の下についた部下ってところか。まぁ、うん、ため息も吐きたくなるよね。勇ちゃんたちも明らかに同情したまなざしをコアルスさんに向けている。


「仕方がないですね。コアルスがそう言うのであれば、さっさと終わらせることにしましょう。たしかに面倒事を後回しにするのはよくないですし」


「……王の仕事を、面倒事と言い切られるのはどうかと思いますよ」


「カレンちゃんの人生よりも軽いことですよ?」


「……左様ですか」


 コアルスさんがいままでになく、深いため息を吐いた。いや、優先してくれるのは嬉しい。嬉しいけれど、国の事業よりも俺の人生の方が重い、というのはどうだろうか。レアさんなりのジョークだとは思う。思うけれど、さすがにちょっと言い過ぎな気もする。

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