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Act0-23 苦労性な大蛇

PVが1000突破しそうです。

いつもありがとうございます。

 その後はすんなりと王城まで行くことができた。王族専用の門の内側は、まっすぐ一本道で王城まで続いていた。道幅は、馬車が数台隣り合って進んでも問題ないほどに広い。その道の周りは、高い城壁に囲まれているので、王城からか門からかではないと、踏み入れることもできない道のようだ。加えて、道になにかが這いずった痕のようなものがあった。こう、腹ばいで進む生物のような痕。もっと言えば、爬虫類の代表とでも言える、あの細長い生物の痕のような。しかもかなりのビックサイズだ。だって、この一本道と同じくらいの幅がある痕跡だった。


「この痕は」


「ああ、それはコアルスの痕ですね」


「コアルス?」


「ええ、私のペットですね」


 そう言えば、キーやんが死にかけたあの件で、レアさんはたしか「コアルスに」と言っていたな。あのときは聞き流していたけれど、「蛇王エンヴィー」のペットであるのであれば、そのコアルスとやらも、なにかしらのロードの一種なのだろう。獅子王がキメラ、竜王がドラゴンと来れば、おのずとなんの魔物であるのかは、うかがい知れた。


「……蛇系ですかね?」


「あー、大雑把に言えば、ですね」


「大雑把?」


 なんだろう、大雑把って。そう思っていると、不意に影が差した。雲が出て来たのかなと思い、顔をあげると、そこには蛇腹があった。真っ白い蛇腹が見えた。白い雲じゃない。真っ白な蛇腹が見えた。大切なことなので、三度言ってみたけれど、うん、なんだろう、この非常識な光景は。


 いやわかってはいた。わかってはいたんだ。だって、異世界だもの。異世界であれば、とんでもない大きさの蛇がいても不思議じゃない。不思議じゃないし、これも一応たしかに蛇ではある。大雑把に言えば、たしかに蛇の一種だ。しかしだ。「これ」を普通ペットにするだろうか。


「……探しましたよ、レアさま。いまはそうお呼びするのですよね?」


「それ」はやれやれと肩があるのであれば、肩を竦めているであろう仕草をしていた。まぁ、蛇だから方がないから肩を竦めるなんてできないだろうけれど、その言動を見るかぎり、肩があれば、竦めていたと思う。そういう仕草だった。


「コアルスは、呑み込みが早いですね。ええ、いまはただの町娘のレアです」


「……城を抜け出すのはいいのですが、あまり頻繁にやられるのは少々困りますよ」


「いいじゃないですか。こうしてカレンちゃんを迎えに出ていたわけですから。なにもお忍びで屋台のメニューを制覇していたわけではないのですから」


「ああ、そうなんですね。でも不思議ですね。私の調べたところ、「「青い髪でスタイルのいい美女」が屋台のメニューを買い食いし、制覇して回っていた」という話を聞いていたんですが、レア様ではなかったのですね。串焼きの屋台で、袖をたれで汚しながらも、美味しそうに食べていたという話も聞いていましたが、どうやら違っていたみたいですね」


「……」


 レアさんが静かに顔を背けた。たしかにレアさんの服の袖には、串焼きのたれと言われれば、そう見えなくもない模様が入っていた。不思議なことに片側だけだったので、なんだろうと思ってはいたけれど。

「買い食いしていたんですか? レアさん」


「……黙秘権を行使いたします」


「いや、それは認めるって言っているようなものですよ」


「レアさまは、そういうお方ですので」


 コアルスさんは、深々とため息を吐いた。うん、神話に出て来る「これ」にため息を吐かせるとか、「七王」になる人って、みんなとんでもない人なのかもしれない。


 だって俺の前にいるのは、蛇の体に、鳥のような翼を持った生物。ケツァールコアトルだった。


「コアルスさんって、ケツァールコアトルだったんですね」


 まぁ、たしかに蛇ではある。そしてたしかにコアルスと名付けても別に不思議ではない。まぁ、いい名前かどうかはさておくとしてもだ。ただ、うん、ひと言言いたい。


「普通、ケツァールコアトルをペットにする人いますかね?」


「いますよ?」


 そう言って、レアさんはご自分を指さされた。ああ、うん、もう言っても無駄だ。そんなのあなただけだからと言いたいけれど、言ったところで首傾げられるのが目に見えていた。やっぱり「七王」という人たちはみんな規格外なんだろうな。まだ話したことはないけれど、鬼王さんたちもきっと俺ごときじゃ想像もできないくらいにはっちゃけた人たちなんだろうさ。うん、学習したよ。この世界には、俺の常識なんて通用しない、と。


「……あのね、カレンちゃん。この状況はこの世界の住人でも、じゅうぶん非常識だからね」


 勇ちゃんが俺の肩に手を置きながら言う。見れば、アルゴさんたちもまた頷いていた。どうやら「七王」さんたちは、本当に規格外のようだ。この世界の常識にも当てはまらないレべルでだ。


「……レアさま。あまりお客さまをからかわないでください。さすがにかわいそうです」


 コアルスさんはため息混じりに言う。どうやらゴンさんたち同様に、この人(?)もいい人のようだ。っていうか、「七王」さんたちのペットのうちに、三人(?)はいい人っていうことは、他の四人(?)もまたいい人なのかもしれない。もしくは、飼い主に振り回されているのかもしれない。どちらにしろ、俺にはどうしようもできないけれど。

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