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Act2-9 親バカ? 褒め言葉です。

本日六話目です。

親バカがふたりですね。


 結局「双竜」についてのことを少し触れただけで、ティアさんとの話し合いは終わってしまった。


 というのもシリウスが飽きてしまったんだ。


「シリウス、海に行きたい!」


 ティアさんに唸り声をあげていたはずだったのが、アルトリアの腕の中から抜け出して、ティアさんの胸にと飛び込んでいった。


 ティアさんの胸はアルトリア以上のもので、ゴンさんやエンヴィーさんとそん色ない大きさだった。


 思えばシリウスはウルフ時代から胸が好きだった。どうしてそんなに胸が好きなのかはいまいちわからないけれど。


 まるで某魔砲少女アニメの関西弁の子みたいだ。


 もっとも彼女は本編ではそういう性癖だとは言われていない。


 あれはドラマCDでちょっとそういうことをやらかしたのが、二次創作で火が点き、いつのまにか彼女=セクハラという図式になってしまっただけのこと。実際は明言されていないんだよね。


 だが彼女を彷彿させるほどにシリウスは大きな胸が大好きのようだ。


 どうしてそんなに胸という名の脂肪が好きなのかが俺には理解できないね。


 だって胸なんてただの脂肪の塊じゃないか。


 最終的には垂れることになるし、それに大きすぎると下着や服のデザイン性は二の次になりやすいらしいうえに、値が張ることになってしまう。


 なら小さい方がお得だよね。


 なにせ某曖昧三センチなアニメだと貧乳はステータスだと言い切っていたものね。


 となれば貧乳以前に無乳である俺は最高の希少価値があるってことじゃないか。


 ソーシャルゲームでいうSSRくらいはあるんじゃないかな。


 そう俺はSSRなんだ。最高ランクの希少価値の持ち主。そう、だからこそ巨乳なんて──。


「ちっとも羨ましいわぁぁぁ!」


 魂の叫びを俺はあげた。


 うん、いろいろと言ったけどさ、普通に羨ましいよ。


 なんだよ、無乳って。要は幼女体型ってことじゃんかよ。


 身長がある幼女ってことだろうに。そんなの希少価値もなにもあるか。羨ましいわ、本当に。


 でもいいもんね。俺にはアルトリアがいるもん。


 アルトリアはまだ十四歳なのに、そろそろデラックスレベルになりえそうな逸材だもの。


 巨乳が羨ましかったら、アルトリアの胸を大きくするもん。揉んで大きくするからいいもん。


 自分のを揉んでもただ空しいだけだからやりたくないもん。やるならほかの人にするもん。


 だからアルトリアの胸を大きくするもん。


 アルトリア=俺の嫁という公式になっているから、俺が大きくしてあげるのは問題ない。


 むしろ他の奴の手垢に塗れられるとか我慢できないし。


 特に勇ちゃん! あの色ボケ勇者は、ことある事にアルトリアにセクハラをかまそうとするからね。


 そのうち必ず去勢しよう。宦官な勇者になればいいと思うの。


 むしろそうした方が世の女性のためだと俺は思うの。


 よし帰ったら、去勢しよう。いま俺がそう決めた。


「カレンちゃんさん、それはさすがに勇ちゃんさんがかわいそうなのでぇ~」


 ゴンさんがドン引きしていたが、そんなことはどうでもいい。


 アルトリアの貞操を守るためであれば、俺はどんなことでもしようと決めているのだから。


「……ダメですねぇ、この旦那さん。本当にはやくどうにかしないとですよぉ~」


 ゴンさんが呆れたような声をあげているが、どうでもいいことである。


 ゴンさんには悪いが、勇ちゃんの去勢は俺にとってはその程度のことでしかない。


「まぁ、アルクさんに至っては、無理もないことでしょうけどねぇ」


 ティアさんは抱き着いてきたシリウスの頭を撫でながら、ため息を吐いていた。


 どうやらティアさんも色ボケ勇者の被害者であるようだ。


 本当にあの勇者は手当たり次第にセクハラをかましてくれるね。


 うん、やっぱり去勢は確定かな。


「ゆうゆうのことよりも、シリウス、海に行きたいの!」


 勇ちゃんの去勢のことを考えていると、シリウスがぷくっと頬を膨らましていた。


 いけない、いけない。元男になる色ボケ勇者のことよりも、まいどーたーの方が重要だよね。


 ぱぱ上としてはまずいことをしてしまっていたようだ。


「ごめんごめん、シリウス。でも海に行きたいと言っても、さっき浜辺でビッククラブさんたちと遊んでいただろう?」


 俺のアイテムボックスに氷漬けで収納されているビッククラブさんたちと、シリウスは楽しく遊んでいた。


 ビッククラブさんたちにとっては、突然ラスボスに襲撃されたような悲惨すぎる状況ではあっただろうけれど、シリウスが楽しんでいたのだから問題はない。


 ビッククラブさんたちは尊い犠牲となってシリウスを楽しませてくれた英雄たちだ。


 いまごろ草葉の陰から微笑んでくれているはずさ。そしてその身を以てシリウスのお腹を膨らませてくれることだろうね。


「わぅん、わぅん! あれはシリウスのご飯だもん! ご飯を得るための狩りだから楽しんでいないもん!」


 シリウスは不満げに首を振る。


 どうやらビッククラブさんたちの決死のおもてなしでは、シリウスは満足できていなかったようだ。


 まぁ、Eランクのビッククラブさんたちと、Cランクとそん色ない上位のDランクであるシリウスとでは戦力に差がありすぎてしまっていたから、シリウスが不満を漏らすのも無理もないかな。


「それにあそこだとシリウスしか動いていなかったもん。ぱぱ上とまま上、それにゴンさんとも遊んでいないもん」


「それはそうだけど」


「せっかく海に来たから、遊びたいもん。わがままっていうのはわかっているけれど」


 尻尾を力なく垂らしながら、シリウスは言う。


 わがままを言っているという自覚があるけれど、それでも海に来たのだから遊びたいという気持ちが強いのだろう。


 まぁ、シリウスはまだ産まれたばかりの子供だからな。


 狼の魔物とはいえ、産まれたばかりの子供であることには変わりない。


 まだ遊びたい盛りなんだ。小難しい話を延々と聞かされるよりも、俺たちと一緒に遊びたいと思ってしまうのは無理もないことだ。


「……そうだな。せっかく来たのに、ずっと部屋の中じゃつまらないよなぁ」


 シリウスと目線を合わせるように屈んで、シリウスの頭を撫でた。


 シリウスはくぅんとくすぐったそうに鳴いている。


 そういうところもかわいらしい。本当にうちの娘はどうしてこうもかわいいのやら。


「わかったよ。じゃあ海に行くか。でも今日は海の中には入らないよ? 入るのには少し遅くなっちゃっているからね」


 日はすでに陰り始めていた。


 いまから準備をしても海水浴を楽しむには、海水の温度はこれから下がっていくだろうから、あまりオススメできない。


 というか下手をしたら風邪を引いて、旅行どころではなくなってしまう。


 せっかく海に来たのに治るまでホテルで缶詰めとかは嫌だろうし。


「海入りたい」


「だぁめ。もう海の温度が下がっていく一方だからね。いまから入ってもすぐに出ることになるよ。それにもしかしたら風邪を引くかもしれないし。ぱぱ上もまま上もそれにゴンさんだって、シリウスが風邪で寝込んでほしくないんだ。だから今日は我慢しような」


 触り心地のいい髪を撫でていく。


 シリウスは残念そうだったけれど、わぅんと頷いてくれた。


 うん、やっぱりうちの娘はかわいいね。かわいいうえに、ちゃんと人の話を聞けるいい子だ。


 うん、天使と言っても差し支えもないだろうね。


「カレンちゃんさん、親バカすぎですよぉ~?」


「そうですよ。シリウスちゃんが天使程度であるわけがないです。シリウスちゃんの愛らしさは天使程度ではありませんよ。大天使と言っても過言ではありません」


「そうだね。シリウスは大天使レベルの愛らしさだもんな」


「……ああ、ダメですねぇ、この親バカ夫婦。どうにかしないとですよぉ~」


 ゴンさんが嘆くも、その嘆きをまるっと無視して俺とアルトリアはいかにシリウスが大天使であるのかを語ってしまった。


 その結果、すっかりと日が暮れてしまい、シリウスにぱぱ上もまま上も嫌いと言われてしまったけれど、それはまた別の話かな。

前話との落差がひどい。

カレンもアルトリアもいい感じに親バカになっています。

続きは十六時です。

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