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Act9-360 私が選ぶのは

間に合わなかったぁぁぁorz

というわけで今日はもう一本上げます←

次は頑張らないとなぁ←しみじみ

叔父様がシリウスちゃんを引きずっていた。


シリウスちゃんは息も絶え絶えになって、ボロボロの姿で叔父様に引きずられている。


そのシリウスちゃんの姿に「シリ、ウス?」と主様は言葉を失っていた。カティちゃんも「お姉ちゃん!?」と動揺していた。


でもそんなふたりの反応を見ても叔父様はただ笑っているだけだった。


「どうかしたかね?カレン殿」


穏やかそうに叔父様は笑っていた。


笑っているけど、主様たちからしたら笑っていられる状況ではない。


「なに、しているんだ、あんた?」


主様の目に光が戻っていく。憤怒の光。自分を抑えきれない強い光。その光を携えているのは主様だけじゃなかった。


「おまえ!お姉ちゃんを放せよ!」


カティちゃんは主様と同じかそれ以上の憤怒の光を宿して叫んでいた。


それでも叔父様はシリウスちゃんを引きずるのをやめなかった。


引きずったまま、主様たちに笑いかけていた。


「なにを?あぁ、犬を引きずっているだけだが?」


にこやかな笑みを、それこそ隣人に朝の挨拶をしているかのように爽やかに笑っていた。その笑みに主様が目を見開き、そして叫んでいた。


「ふざけんな!」


主様が叫ばれると周囲の瓦礫が一斉に吹き飛んだ。少し見ない間に主様のお力はだいぶ上がったようだ。


でもそのお力を以てしても、聖上と叔父様に敵うとは思えなかった。


「ふふふ、そんなに大事かね?これはただの魔物ではないか。どんなに人であるように振る舞ったところで、その本性は血肉に飢えた卑しい獣でしかない。もしかしたら、そなたを「パパ」と呼んでいるのは、そなたの寝首を掻き、その喉笛を噛みちぎるためなのかもしれぬのだぞ?」


叔父様はいまさらなことを言い出した。


たしかにその可能性もなくはない。主様とシリウスちゃんの関係は本来ならありえないものだ。


シリウスちゃんのご両親は主様が手を掛けた。その両親からシリウスちゃんを託されたとはいえ、目の前で両親を殺されたシリウスちゃんにとって、主様はどこまで行っても親の仇であることには変わらない。


だからシリウスちゃんが主様の喉笛を噛みちぎろうとしているという叔父様の言葉は、ある意味では当たり前だった。が、ふたりの奇蹟のような関係を踏まえると、とんだ的外れとしか言いようがない。そしてそれは叔父様とてわかっているはず。


なのに叔父様はわざわざ的外れなことを言われた。その狙いは──。


「……おまえ、噛み殺されたいの?」


──カティちゃんが静かに、だが、とても低く唸り声を上げた。その目は完全に瞳孔が割けてしまっていた。おそらくはこれが狙いなのだろう。


(カティちゃんは、見たところ主様たちの生命線。主様たちを全滅させるにはカティちゃんという高機動力を持つ存在を封じれば、主様たちが逃げ出すことは叶わない。そのカティちゃんを徹底的に挑発するつもりなんだ)


もちろん同時に主様を討つのが最上なのでしょうけど、いくらなんでも欲張りにもほどがある。


だからこそまずは確実に足を潰すつもりなんだ。足を潰して主様を確実に討とうとしている。


そしてそれは主様もわかっている。


だけど愛娘であるシリウスちゃんをあそこまでボロボロにされたら、主様が黙っていられるわけがない。


(……ある意味詰んでいる状況なのね、いまは)


正直どうしようもない状況。だけど、主様はもちろんカティちゃんも諦めないでしょう。


(じゃあ、私は?私はどうしたらいいの?)


私は主様の従者だ。でも完全にルシフェニアとの関係を切ったわけじゃない。


だけど主様を見捨てたくはない。それになによりもシリウスちゃんがボロボロになった姿を見て、私はひどく頭に来ていた。


シリウスちゃんとの関係はなんとも説明しがたいもの。だけど、シリウスちゃんがとてもいい子であることは知っている。


その子をボロボロにされてタマモらしいはいられない。この気持ちがなんなのかはわからない。わからないけど、黙っていられないことはたしかだった。


だから私は選ぶことにした。主様かルシフェニアかを。そして私が選んだのは──。

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