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Act9-295 ニセモノ

 七月の更新祭りの始まりです。

 まぁ、今回は三話だけなんですが←汗

 とにかく、まずは一話目です。

 不意に現れたのは、母さんではなく、なぜかドラームスさんだった。


 それもどういうわけか、ところどころで破損していたはずの体がすべてきれいに直っていた。


 俺の記憶では、ドラームスさんの体はスクラップ手前くらいまで壊れていたはずだったのだけど。いったいいつのまに修復したんだろうか?


「ドラームスさん、なんでここに? それにその体はどういうこと? たしかドラームスさんの体はボロボロになっているはずで──」


「……それは」


 ドラームスさんはなんとも言いづらそうに顔をしかめていた。


 普段の快活としているドラームスさんらしくない。


 いったいどうしんだろうか?


「ふふふ、言えばいいじゃないの、ドラームス。あなたが隠している、あなたの本来の役目をね」


 スカイディアは笑っていた。


 でもその笑顔は上半分は穏やかだけど、とても生き生きとしていた。でも下半分は口元が大きく歪んでいて、とても酷薄としたものだった。


 嫌な予感が続く。加えて悪寒もし始めた。


 けれど、嫌な予感がしても、背筋を震わせる悪寒がしても、いまという現実はなにも変わらない。なら確かめるしかない。たとえそれが虎穴だったとしても、だ。


「ふふふ、どうしたの、ドラームス? 私はあなたの製造者のひとりよ? であれば、あなたたちが言う「聖上」にもあたるはずなのだけど?」


「……たしかにあなたも「聖上」と言えるでしょう。あなたもまた「聖上」と言える立場の方です。が、あなたを「聖上」とは言う気はありませぬ」


「へぇ?」


 スカイディアの言葉をばっさりとドラームスさんは切り捨てた。普段のドラームスさんらしからぬ言葉だった。


 そんなドラームスさんの言葉にスカイディアは、目を少し細めた。


 たったそれだけなのに背筋が震えた。


 攻撃を受けたわけじゃない。むしろ一太刀浴びせたのは俺の方なのに。なのにも関わらず俺の体は震えていた。


 スカイディアの天敵と言うつもりはもともとなかった。


 たしかにスカイディアに傷をつけられはするけど、傷をつけられる=天敵ではない。


 むしろ下手に傷つけられるからこそ、かえって俺にとっての天敵がスカイディアになりかねない。


 スカイディアが自身を傷つけられる存在を放っておくわけがない。俺であれば即座に潰す。


 だからこそ俺がスカイディアの天敵になることはない。


 天敵になる前にスカイディア自身が俺の天敵となり、俺を潰すだろう。スカイディアであれば、まず間違いなくそうするだろう。あれはそういう女だ。そしてそういう女だからこそ、ドラームスさんの言葉を聞いて、なにをしようとするのかはうかがい知れた。


「死にたいのかしら、ドラームス? いくらあなたでも私は躊躇なく殺すわよ?」


「……承知しております。承知しているからこそ言っているのです。我にとっての「聖上」はスカイスト様、そちらにおられる神子様のお母上のみです!」


 ドラームスさんははっきりと言い切った。


 その言葉にスカイディアはより目を細めた。けれど──。


「ふふふ、神子様? お世辞がうまいわね。「それ」は神子じゃ、いえ、本物の神子であるカレンは「それ」じゃないでしょうに」


「え?」


 スカイディアが口にした言葉がよくわからなかった。


「それ」じゃないというのはどういう意味だろうか?


 まるで俺以外に「カレン」がいるような口ぶりだった。


「なにを言って」


「ふふふ、教えてあげるわ。あなたは本物のカレンではないわ。あなたは偽物なのよ」


 スカイディアは笑いながらはっきりと言い切った。

 続きは八時になります。

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