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Act9-231 愛ゆえの痛み←

 本日二話目です。

 香恋視点ですが、落差に注意です←

「はぁ、酷い目に遭った」


 ようやくダメージが抜けた頃には、すっかりと夕方になってしまっていた。


 逆に言えば夕方までダメージが抜けないことをサラさんとティアリカにされてしまったということなのだけれど。


 いくら半神半人になったからと言って、ふたりとも容赦がなさすぎる気がするんだよね。


「ヤンデルはもういいっていうのにさ」


 まさかティアリカまでヤンデルになるとは思っていなかったよ。


 まぁ、今回はヤンデルというよりも嫉妬に突き動かされた結果と言いますか。


 どちらにしろ多大なダメージを負わされたことには変わらないんだけどね。


 それでもお腹が減ってしまうのだから、人間の体というのは不思議なものです。


 おかげでいくらか調子が悪い状態で夕食ということになってしまった。


 ちなみに夕食の席に着いているのは俺のほかには、シリウスといつもの面体を身に着けたカティア、サラさんとティアリカに、そしてなぜか俺のそばに控えているアイリスとなった。


 レアとプーレは所用があって夕食をともにできないようだった。


 レアとはさっき会えたけれど、プーレとは俺の感覚だと一か月近く会っていないということもあって、できれば夕食で顔を合わせたかったのだけど、所用があるのであれば仕方がないよね。


 いまは我慢することにしようか。


「……我慢するなどと、そんなことを言っていますと、またやられてしまいますよ?」


 やれやれとアイリスがため息を吐いていた。


 ため息を吐きながら、なぜか俺の前に置かれているステーキを切り分けては俺の口元にまで運んでくれる。


 その姿は従者というよりも、付き合ったばかりの恋人同士が食べさせ合いをしているかのようだ。


「……いや、さすがにそんなことはないよ?」


「さて、どうでしょうか? それよりもどうぞ、主様」


「あ、ありがとう」


 アイリスが口元に運んでくれていた一切れを口にする。


 ちょうどいい焼き加減であり、噛むと肉汁が拡がっていく。堪らない味だった。


「美味いね」


「それはよかったです」


 嬉しそうに笑うアイリス。もしかしてと思いつつ、尋ねようとしたが、それよりも早くシリウスが首を傾げていた。


「これ、アイリスさんが作ったの?」


 もぐもぐと口を動かしながら、ステーキを頬張るシリウス。シリウスの問いかけにアイリスは苦笑いしながら頷いていた。


「ええ。僭越ながら」


「へぇ。お料理上手なんだね?」


「まぁ、それなりにはですね。料理は愛情が大事ではありますが、それだけでは美味しくはなりませんので」


「愛情って誰に対しての?」


 シリウスが何気なくアイリスに聞いた言葉に、アイリスは少しだけ慌ててしまった。


 慌てつつなぜか俺を見やるアイリス。


 同時に殺気が飛んでくる。恐る恐ると顏を向けると、にっこりと笑うサラさんとティアリカがいた。


 よく見るとふたりのお目目からは光ががががが。


「ふふふのふぅ~。旦那様のせいですよぉ~?」


「そうです。旦那様が私たちを蔑ろにされるからいけないのですよ?」


「「だから、ちょっと愛情表現が少し過激になってしまうだけですから」」


「す、こ、し?」


「「なにか?」」


「……ナンデモアリマセン」


 うん。下手な発言は死を招く、ということがよくわかりました。


 もともとわかってはいたのだけど、ここまでひどいとは思っていなかったね。


 やっぱり嫁さんは怒らせるべきではないんだね。うん、改めて理解しました。


「パパはやっぱりスケコマシさんなの。死ねばいいのに」


「え、ちょ、ちょっとシリウス、ちゃん?」


 思わぬ言葉がシリウスから飛んできた。見ればシリウスはなんだかヤキモチを妬いているようであり、頬をぷくっと膨らましていた。


 そういうところもかわぅいねと思うけれど、下手なことを言うと怒られるのは目に見えているのであえてなにも言いません。


「……シリウスちゃん。お気持ちはわかりますが、少し言葉が汚いです。パパの言葉遣いが汚いからと言って、そう、どうしようもなく言葉遣いが汚いからと言って、シリウスちゃんも同じように汚くしていいというわけではないのです」


「はぁい。ごめんなさい」


「それにシリウスちゃん」


「わぅ?」


「パパはスケコマシではありません。美人さんを見たら口説かずにはいられなくなってしまう、どうしようもないスケコマシさんなんです。普通のスケコマシではなく、どうしようもないほどのスケコマシさんです。間違えてはいけません」


「わぅ。次からは気をつけるの」


「ふふふ、気にしなくてもいいですよ。悪いのはどうしようもないスケコマシなパパですから」


「そうだね。悪いのはどうしようもないスケコマシのパパだもんね」


 ニコニコと笑いながら、言葉という名のナイフで俺を傷付けてくれるカルディアとシリウス。


 嫁と娘からの同時攻撃に俺のライフはもうゼロです。涙で視界が歪むぜ。


「……愛されておりますね、主様」


「……これは愛なのか?」


「……愛、だと思いますよ、たぶん」


「そうか」


 愛ってやっぱり痛いんだなぁ。そうしみじみと思わざるをえない俺だった。


 その後もシリウスとカルディアの悪魔母娘に精神的なダメージを与え続けられることになったのは言うまでもない。

 我ながら一話目との落差がひどい←

 続きは八時になります。

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