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Act9-54 プラムさんの正体

 本日三話目です。

 プラムさんの謎がわかります。……判明は早いですけども←汗

「いい天気ですね、マスター」


 中庭を、それほど広くもない中庭を散策しながらプラムさんは、後ろ手に組んで上機嫌に歩いていた。


 でも本当に機嫌がいいのかはわからない。


 そもそもいままであまりプラムさんとこうして話をしたことはなかった。


 話をしたのはせいぜいプーレを嫁に迎えるときの挨拶くらい。


 あとは食堂で会ったり、廊下等で顔を合わせたりしたときくらいで、こうしてふたりで会話したことなんていままでなかったと思う。


 シリウスは常に会えるばぁばとして、プラムさんに懐いているそうだし、聞けばカティもプラムさんにはすぐに懐いたそうだ。


 ……プーレにはなかなか懐かなかったのに、プラムさんにはすぐに懐いたことで、プーレが少し拗ねたそうだ。


 当のカティは「わふぅ?」とプラムさん手製のケーキを食べながら首を傾げていたそうだけど。話を聞いて、すぐにその場面が思い浮かんだのは言うまでもない。


「ふふふ」


「……カティちゃんをずいぶんとかわいがっているそうですね? シリウスちゃんが少し拗ねていましたよ?」


「え、あ、声に出て──」


「いえいえ。ただ顔には書いていましたよ?」


 後ろ手に組ながらプラムさんが振り返る。


 二次元のヒロインがしそうな仕草だ。


 でもプラムさんは似合っていた。見た目が若いというのもあるけど、プラムさんはかなりの美人さんだった。


 プーレと同じ青い髪は、腰に届くほどに長い。けど大病を得ていたからなのか、まだいくらか髪は傷んでいるように見える。


 それにいろいろと気苦労をしているだろうし、髪が傷んでいるのは無理もないんだろう。


 顔立ちは大人になったプーレという感じで、ありふれた中にある美しさとでも言えばいいのかな?


 レアのような万人が認めるほどではないけども、街で噂になるくらいには美人さんだと思う。


 その美人さんが、十四歳になる娘を産み育てた母親なのだから。事実であっても、たぶん信じてくれる人はいないんじゃないかとは思えるほどに若々しい。


 プーレも将来はプラムさんのような美人さんになっていたのだろうか?


 見てみたかったと思う。いや、見てみたいと心の底から思うよ。


「そんなにわかりやすいですか?」


「ええ。開いた本とまでは言いませんが、そうですね。表紙に中身の情報を書かれた本、ですかね?」


「……わかるようなわからないような」


「まぁ、とにかくわかりやすいですよ、マスターは」


 プラムさんはおかしそうに笑っていた。その笑顔はやっぱりプーレにそっくりだった。


「……プーレのことをちゃんと愛してくれているんですね。安心しましたよ、マスター。いえ、神子様」


「どうして、それを?」


 俺はこのギルドのメンバーには、まだ俺が神子であることを伝えていない。プーレが伝えたという可能性もあるけど、なにか違う気がした。


 そもそも最初からこの人のことはよくわからなかった。


 どうしてプーレの嫁入りを許してくれたのか。


 当時の俺はまだプーレを愛していたわけじゃなかった。


 なりゆきで嫁にすることになっただけ。そんなことはプラムさんであればすぐにわかっただろうに。


 なのになぜこの人は嫁入りを認めてくれたんだろう?


 いまさらなことだとは思うけど、そのことが気になってしまった。


 プラムさんが俺のことを神子様と言ったことで、俺が神子だとわかっていたことを知り、プラムさんが得体の知れない存在に思えてしまった。この人はいったい──。


「……まずはお詫びを。御身に真実をお教えしなかったことをお詫びさせていただきます」


 プラムさんが跪いた。恭しい態度はいままでのプラムさんとはまるで違っていた。


「……あなたはいったい」


「……私はただの人です。ただし転生はしておりますが」


「転生をしている?」


 転生。


 なにかしらの特別な存在が記憶を持ったまま、新しい体に産まれ変わること。


 しかし一般人であるはずのプラムさんが転生をしていた。生まれ変わったのではなく、転生をしたと言った。


 つまりこの人は一般人のふりをしたなにかだということになる。


「……あなたは何者なんですか?」


「私はかつてあなたのお母上──聖上にお仕えしていた天使でありました」


 プラムさんははっきりと言いきったんだ。

 続きは十二時になります。

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