Act9-53 許可
本日二話目です。
「結婚式、ですか」
プーレへの誕生日にプーレとの結婚式を挙げることにした。
でも具体的な話を持ちかける前に、まずは許しを貰わなければならない人がいた。
そう、プーレのお母さんであるプラムさんだ。
プーレにはお母さんしかいないので、プラムさんに許可を貰わなければならない。
「ええ、許可をいただきたいんです」
所変わって鍛冶場からプラムさんの担当である食堂。その一角で休憩中だったプラムさんに頭を下げた。
プラムさんは目を白黒とさせているけど、俺の話を理解できていないわけではなさそうだ。
ただ──。
「えっとマスター」
「はい」
「プーレはすでにあなたにあげたのですが」
──ただプラムさんは少しだけ困惑していた。
その理由はプラムさんの言うとおり、すでに名実ともにプーレは俺の嫁だからだ。
プラムさんの中では許可を出す、出さないという問題ではなく、出す必要がないことをなぜ俺が言い出したのかというのが困惑の理由となっている。
たしかにもう許可を貰う、貰えない依然に、俺とプーレはそういう関係だった。プラムさんにしてみれば、「なにをいまさら」というところだろうね。
だからと言って許可を貰わなくてもいいというわけではない。
それに今回はプーレにとっては一世一代の晴れ舞台となるんだ。プーレと別れることなんて考えてもいない。
たとえ一年だけでも俺はプーレを幸せにしたい。
笑顔で旅立てるようにしてあげたい。もちろんプーレの生存を諦める気はない。まだ一年あるんだ。
「聖大陸」にあるリヴァイアサン様の「大蛇殿」に出向いて、プーレの死の呪いを解いてもらえるように頼みに行くことだってできる。
でもいまは結婚式を挙げることが重要だった。
そのためにもプーレの母親のプラムさんにはぜひ許可を貰わなくては。
「たしかにお嬢さんを貰ってはいます。でもそれとこれとでは話が別だと思うんです。プーレにとって最初で最後の結婚式です。俺はプーレを手放す気はありませんし、プーレからずっと愛されるように努力をします。それでも最初で最後の結婚式になるのであれば、一世一代の晴れ舞台となるのであれば、親御さんであるプラムさんの許可を貰うのは、当然のことです」
座っていた椅子から立ち上がり、腰を曲げて頭を下げた。
「絶対に幸せにします! 常に笑顔を浮かべさせられるとは言えないです。でも笑顔を浮かべさせられる時間の方が長くなるようにします! だからプーレとの式を挙げる許可をください! お願いします!」
思いの丈を吐露していく。
思っていたよりも恥ずかしい。けどプーレのためであればこのくらいのことは──。
「……幸せにします、ですか。あの子の命がもうじき尽きるというのに、幸せにできるのかしら、カレンさん?」
──思わぬ言葉が返ってきた。
顔を上げるとまっすぐに、とても真剣な顔で俺をまっすぐに見つめているプラムさんと目が合った。
「なんで、それを」
「……少し歩きましょうか。付き合ってください」
プラムさんはそれだけ言って食堂を後にした。
その後を俺は慌てて追って行った。
プラムさんがなぞのびじょと化した!!! ……あまりお気になさらずに←滑ったことで赤面
続きは八時になります。




