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Act9-51 熱弁

 本日六話目です。

「へぇ、プーレママにプレゼントのほかにもしてあげることかぁ。パパにしてはいい案なの」


「……パパにしては、という余計なひと言はともかく。シリウスはいい案があるかい?」


「わぅ~、そうだねぇ~」


 ティアリカの膝の上から起き上がり、俺はシリウスとサラさん、そして眠るカティを抱っこするティアリカと一緒に鍛冶場の休憩スペースへと移動していた。


 鍛冶場は火を扱うため、常に一定以上の高温に包まれてしまう。


 そんな中に長時間いたらさすがに倒れてしまうので、休憩スペースは鍛冶場の外に作っていた。


 具体的には鍛冶場の外にオープンカフェのようなテラス席を設けていた。そのテラス席に俺たち四人は座って話をしていた。


「私がしてほしいことは、とりあえずパパには子離れを」


「あ、それ無理」


「……まだ全部言っていないの。というか、即答すぎるの」


「だって考えるまでもなく、無理だもんよ」


 俺が子離れなどできるわけがない。自信を持って言えるよ、そんなことできるわけがない、と! 自信を持って言えます。


「……まぁ、「旦那様」が子離れできないのはもうわかりきっていることですからねぇ~。シリウスちゃんが言いたいことはよぉくわかりますがぁ~、我慢してくださいねぇ~?」


「わぅ~、仕方がないの」


 深いため息を吐くシリウスとサラさん。


 ちょっと意味がわからないんだけど? なんで娘を溺愛することがこんなにも責められにゃならんのだい? 


 かわいい愛娘を溺愛してなにが悪い!? たとえシリウスやカティに「くそキモい」と言われたとしても、俺は一向に構わん! とはっきりと言いきれます。


 だって愛娘たちを溺愛してこその俺! つまり愛娘を溺愛するからこそ俺のアイデンティティは確立するというわけであって──。


「やっぱりくそキモいの」


「……ま、負けないよ。パパはこの程度では負けないモン!」


 そうだ。たとえシリウスがいくら罵倒をしようとも。


 シリウスがパパを大好きだってことはもうわかっているんだい! だからなにを言われたってへっちゃらだもんよ!


「……そのバイタリティーはすごいと思うのですがぁ~」


「方向性がおかしいと思われますよ、「旦那様」」


「……仕方がないよ、サラママ、ティアリカさん。だってパパだもん」

「「あぁ」」


「なに、その一致した意見? というか「あぁ」って、「あぁ」ってなにさ!?」


 なに、その「こいつどうしようもないから仕方がないか」って感じの言葉は? 


 シリウスだけじゃなく、サラさんとティアリカにもどうしようもないもの認定されたかのような反応はなんなのさ? 


 俺はそんなにおかしいのか? いやいや、ただ娘への溢れんばかりの愛を語っただけだというのに、なんでここまで──。


「「「そういうところ」」」


「……やめて? ねぇ、やめて? 三人で意見を一致させないでよ、ねぇ!?」


 なんで合図もしていないのに声を重ねてくるわけ? どうして意見がそんな見事に一致しちゃうわけ? マジで意味がわからないよ!?


「まぁ、「旦那様」が子煩悩なのはいまに始まったことではありませんから」


 不意に視界が暗くなった。同時に背中に圧倒的なブツが押し付けられた。


 こんなことをするのはひとりしかいない。というか声でわかった。……決してブツでわかったわけではないのであしからず。


「だーれだ?」


「……とりあえず順番がおかしいとだけ言っておくよ、レア」


「ふふふ、やっぱり私と「旦那様」は心が繋がっているからこそ、たやすく」


「いや、声でわかりました」


「……もう、つれないんだから。そこは「俺の女の匂いがした」とか言ってくださるべきで」


「……オレノオンナノニオイガシタ」


「感情が籠っていないですよ?」


 もう本当につれないんだから。小さくため息を吐きながらレアは後ろから俺に抱き着いてきた。


「ところで、なにやら面白そうなお話のようなので、私も混ぜてくださいな」


 ふふふ、と笑いつつ、テラス席の空いた一角に座るレア。まぁ、あとでレアにも聞くつもりだったから、手っ取り早くなったと思えばいいのかな?


「……ん~。じゃあ、もう一度最初からね」


 改めて俺は全員に事の経緯を伝えていったんだ。さてなにかいい意見が出てくれるとありたがいんだけどなぁ。

 五日目はこれにて終了です。

 更新祭りも残すところ明日が最後です。

 そんな六日目は今夜十二時からスタートとなります。最終日は七話更新となります。

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