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Act9-33 三度目のデート

 本日六話目です。

 デート回ですが、糖分は少な目ですねぇ~。

「ん~。「ラース」はあんまり変わらないね」

「は、はいなのです」


 胸がすごくドキドキとしています。


「旦那様」とのデートなのです。これで二回目ですね。


 あ、いえ、「プライド」でのひと時も合わせたら、三度目なのです。


 あのときのことはいまでも憶えているのです。


「旦那様」に初めて寵愛を受けたときですから。それに「旦那様」に貰っていただいきましたので。


 ちょっと痛かったですけど、でも「旦那様」に貰っていただいてすごく嬉しかったのです。


 あの頃から私は「旦那様」を愛するようになりました。


 それまでは求婚されて受けただけでしたけど、あの頃から私の心は「旦那様」のものになりました。


 いいえ、身も心も「旦那様」のものになったのです。


 いま思えば、「旦那様」のお嫁さんになれてよかったのです。


 ……浮気性なところもある「旦那様」ではありますけど、そんなところも私は嫌いになれません。


 それはきっとレア様たちも同じなのだと思います。


 なんだかんだとみなさん言いますけど、それでも「旦那様」のおそばにいるのは、そんな「旦那様」が大好きだからなのです。


「プーレ、そっち重そうだけど持とうか?」


「い、いえ大丈夫なのですよ。そもそも「旦那様」ばかり持たれているのです」


 私の隣を歩きながら「旦那様」は私が持つ買い物袋を受け取ろうとされましたが、さすがに悪いのです。


 なにせ「旦那様」ったらすでに五つは買い物袋を抱え込まれているのですよ。


 なのにこれ以上抱え込んでもらうわけにはいかないのです。


 そもそも私がいま持っている袋の中身はバター一キロです。


 それなりには重いですけど、「旦那様」がお持ちの袋の中身──お砂糖や牛乳、新品の調理器具などで明らかに私の持っている物よりも多くて重いのです。


 これ以上持っていただくわけにはいかないのですよ。


「気にしなくてもいいのに」


「だってこれ以上持っていただいたらさすがに気が退けるのです」


「別に構わないんだけど」


「私が構うのですよ! そもそもなんでそんなに持ってくださるんですか? それも片腕で」


 そう「旦那様」が持たれている荷物は、すべて右腕だけで持たれているのです。


 左腕はなぜか空いているのです。なんで片方の腕ばかりに持たれているのかはわからないのです。


「旦那様」のお考えがわからないのはいまに始まったことではないんですけども。


「ん~? だってこうしないとできないじゃん?」


「なにがなのです?」


「だから、これができないじゃん」


 そう言って私の手を「旦那様」は握られました。ちょうど私は「旦那様」の左側を歩いていたのです。


 そんな私の右手を「旦那様」は握られました。「旦那様」のぬくもりが伝わってきました。


「だ、「旦那様」?」


「うん。こうじゃないとデートって言えないよね」


 にっこりと「旦那様」が笑われました。その笑顔に私の胸がどくんと高鳴って行きます。


 ……酷い人なのです。どうしてこうも私の胸をかき乱されるんでしょうね。


 どうしてこうも私の心を離してくださらないんでしょう。


 でも、そんな「旦那様」が私は大好きです。


 いままでもそしてこれからもずっと、ずっと大好きなのです。


 だから。だから、その、わがままを聞いてほしいと思うのです。


「……「旦那様」、着いて来てほしいところがあるのです」


「うん? どこ?」


「こっちなのです」


「旦那様」と繋いだ手。その手を引っ張るようにして私はギルドへと向かう道から外れて、ある一角へと向かいました。


「ちょ、ちょっとプーレ。そっちは」


「……大丈夫なのです」


「いや、でも」


「着いてきてくださいなのです」


 俯きながら私は、「ラース」内にある特殊な宿屋さんが集まる一角へと向かって進んでいくのでした。

 大胆になったプーレで二日目も終了です←

 続きは今夜十二時の三日目にて。

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