なりきりさん歌う
頬笑んで ごまかしてみたけど レオ王子はニコニコとして何かをまっている。
助けて欲しい この現状。
レオ王子の斜め後ろにいるフレディックと目があったのに そろーりと 目線をはずされる。
ウィルが助けてくれるハズと言っていたけど多分今すぐなんて無理なんだろ。
(うーん もぅこうなったら 歌ってごまかす!
女は度胸!なんとか なる!)
「ぁ~♪」
小さく 音をとったあと
歌いだした。
この時 わたしの中で何かのスイッチがはいってたんだとおもう。
何を歌ったかは 覚えているのに
どうやって とか 何でそうなったとか が曖昧になっていた。
そもそも 魔力を使ったつもりもなかった。
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とっさに 出てきたうたが
合唱などでよく歌われる 白くて小さい花のうた
しかも、英語の方。
神秘的なイメージで讚美歌をと おもっていたのに
口からでたのは その歌だった。
両手を握って `心をこめて´ それだけをおもっていた
両手の中にあった 転移の陣の刻まれた魔石が
手の中で弾ける感覚がした。
それでも 歌を 止めることはできないので
歌いきった。(一番だけだけど)
歌が終わった瞬間 手の中に熱をかんじたので
何事かとおもって 手のひらを広げ 自分の手をみつめる
そこから 虹色の光が会場内に ひろがった。
会場内を包み込むほどの柔らかい光
(キレイ… あぁー こんな場面なにかのアニメでみたことあるなぁー。 そのアニメでは神子が歌と躍りを奉納したあと 神からの光が降り 花へと変化して 降り注ぐんだよね。あのシーン すごい幻想的だったんだよなぁー)
そんな 関係ないことをおもっていたら
光が ぽんっと 花へとかわって クル くるくると
ふりそそいだ。
そして 会場内の人々の手へと落ちる。
「皆様へ ささやかなプレゼントです」
一瞬 なにが起きたかわからなかったが
ニコッと 微笑んで 一言添えて自分が やりましたっと言うことにしておいた。
(歌ってる間に ウィルが 何かしてくれたんだよね きっと)
一斉に歓声があがる
「これが聖女様の力か!」「なんて 清らかな気持ちいい魔力なのでしょう」「すごーーい!」
「聖なる儀式は終わった! この場にいる皆の為に
聖なる力をつかってくださった 聖女に 敬意と 感謝を!」
陛下の言葉で その場にいた 全員が 花を左胸にあて
礼をする。
たぶん、この国の感謝を現す礼が 左胸に手を当ててお辞儀することなんだと おもう。
「聖女様 お手を…」
レオ王子に手を引かれ
他の五人に守られるようにして
わたしは 会場を後にした。
「ふぅ…」
会場からでて安堵して 溜息をひとつ。
ただ、フレディックは「すごいよ!すごいよ!昨日は何もできなかったのに!」っと興奮していた。
「せ…聖女様‼お待ちください! ご挨拶を!」
慌てて追ってきたのか40代後半と10代の男性に後ろから声をかけられた。
ジークが小さな声で「教皇です。」っと 教えてくれた。
「聖女様 祝福を頂けた感謝させてください。ヴァスタ・シ・ベルナルド 教会の管理をしているものです。
是非とも、今度 我家にて晩餐でもいかがですか?
息子も成人したばかり 聖女様との年頃も丁度よいとおもいますし。ほら ご挨拶しろ、」
「ディエゴ・ディー・ラ・ベルナルド」
父親にせっつかれて 無愛想でニコッともしない。
「ぇえ。では 是非とも 教会 の方にもご挨拶に伺わせてもらいますね。」
「では後日…」
どうやら、思惑がはずれたらしく
ヴァスタはひきつった 笑顔のまま もといた会場の方にへと歩きだした。
ディエゴはわたしを頭から足先までなめるようにみたあと
鼻でフンッと笑って 父親の後をおいかけた。
「なにあれ…感じ悪い」
部屋に戻ろうと 足を踏み出した瞬間
ギルに腕を捕まれたたらを踏む。
「おい、顔色が悪いぞ 大丈夫か?」
「あれ? 召還された日のような 顔色になってる」
ウィルにまで顔を覗きこまれ 言われた。
自分では そんなに具合が悪いとはかんじてないのに。
「大丈夫。」
そういって 二、三歩歩いた瞬間 膝から崩れおちた。
「おい!」
「「エリカ!」」 「エリ!」 「エリィー大丈夫?」
(…ヤバイ… 急にキタ。…眠気が………)
「…もぅ だめ ねむ……ぃ」
そぅいって 眠りに落ちた。