なりきりさんは召還される?
はじめて、召還されたあの大聖堂ではなく
お城の会場で行われた
`召還の儀´で わたしは `聖女´として召還されたと
実感してしまった。
というより 聖女になった、と言うべきなのかもしれない。
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陛下からお許しもでて、
召還の儀のデモンストレーションが
お城に準備された会場でやることになった。
「何故 召還の儀が 王族と5家立ち会いでなのか
それをわかってない貴族も多いし いい機会だ
教会側に聖女の正式なお披露目をみせつけてやれ!
そのために一番広い場所を用意した。
派手に やるぞー。お前ら 正装 だからな。」
っとレオは一人 たのしそうだった。
他の皆は 準備でぐったりしている。
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デモンストレーションっということで
ある程度それっぽくするため
今回は召還では なく わたしが転移するだけ。
あらかじめ、 会場にウィルが転移陣を描いてくれていて
そこに 魔力をあらかじめこめてあるから あとはわたしがタイミングを見て 渡された魔石で転移するだけ
わたしは 会場の二階側の廊下から 儀式の場所を見下ろす位置で待機
(うん。大丈夫 簡単 )
200人位の老男女の貴族たちが
今か今かと 待っている
そんな中
どうやら陛下とレオ王子が 会場入りし
場がざわついた
「今まで 召還の儀は王家と五家 だけしか 立ち会いを許されていないものだったが それが何故なのかと 疑問のもつ者も多くいることとなり この場で召還の儀を おこなう」
陛下の言葉が終わると
ホール中央部分にいた人々が 左右にはけ
直径3mほどの魔方陣の まわりに
5人そして、 真ん中にレオ王子がたっていた。
(あれが立ち会いの五家のひとかな……
レオは白の服だ。全身一色なのは家の色なのかなー?
赤と青の服の人は騎士の恰好 他の緑と黄と灰色の人は魔術師かな………上からだと よくみえないなあ………
あれ?)
色鮮やかで 装飾も豪華な騎士服を着ていたのは
レオ、ギル、フレディックの三人
形は騎士服なのだけど丈の長い上着 横に線と言うか蔦のような刺繍のはいったズボン 編み上げのブーツ
服と同色の長いマント
そして、実用的とは言いにくい装飾華美な剣
ただ
レオだけは、服の白と違う紫色のマントだった。
特徴的な丈の長いコートのような装いに
ベルトには短剣と杖が刺さって 細身のロングブーツ
いつもの ローブ ではなく
これが魔術師の正装なのだろう。
ジョルジは 装飾も施された槍を
ウィルは身長の半分ほどの杖を
杖の先には透明な魔石がはめこまれている
(うそ! 皆が…立ち会い人?! )
わたしが驚いてると 会場が
静まりかえり
ギルが剣をかかげ 詠唱をはじめた
「浄化の火は水より蒼く」
紅いマントが 揺らめき ギルのまわりに 青い炎の火球としてあらわれた
フレディックも続くように剣をかかげ
「 潤いの水は風より碧い」
青いマントが水へとへんかし
水流がフレディックのまわりをくるくると翡翠色の水球になり
ジークは短い杖をかかげ
「養う風は土より黄く 」
やさしい風が会場に吹き抜け花びらが舞いながら
黄色花びらをふくんだ球になる
ジョルジは槍を床に打ち付け
「支える土は火より紅い」
床からぽんっ ぽこっ ポコポコと 茶色の球が表れ
赤い土の球へと変化していく
ウィルが長い杖をふり
「そのすべてつつむむ無は 空虚より深い」
灰色の球が表れ 全ての属性の球とぶつかり
黒へと変化し その球体が 魔方陣の中にうかぶ
そして、真ん中にたっていたレオが
右手の指輪に口づけをしたあと両手を掲げ
「光が闇を導き 闇が光を守る」
光のキラキラした球がくるくると 黒の球とともに
お互いに追いかけるように 螺旋を描きながら
上に昇っていき
「イリョスに守られ リュヌに導かれた聖女よ」
上でぶつかると
魔方陣いっぱいに
眩しいほどの光のシャワーがふりそそぎ
再び 六人のまわりに
それぞれの色の光が溢れ
六人の声がそろう
『スキンエティア に 聖なる力と祝福を』
その詠唱が終わる
わたしはそこに転移した
目の前には 片膝をたてて騎士の礼をとる6人
打ち合わせには、なかった事をしている
「レオンハルト・ケントゥム・ルス・ミッレ・スキエンティア」
「ギルバード・ウルヌ ・フォー・イグニス」
「フレディック・ドゥッ ・オー ・アーツァ」
「ジークフリート・トレア ・エル・ウェントス」
「ジョルジ・クァツオ・テル ・ティッラ」
「ウィリアム・クンクェ・ハス ・カルム」
「我ら六人、国を代表して
聖女様の召還お喜び申し上げます。
聖なる力と御心で スキンエティアに 祝福をいただけないでしょうか」
いたずらが成功したようなキラキラした笑顔のレオと目があった。
ただ ただ 頬笑むしかなかった。
(打ち合わせしたでしょー! 何のための打ち合わせ?!)