なりきりさん 倒れる
コンコン
「聖女様 お召し物の用意ができました。」
先ほどの若いメイドさんが声をかけてくれたので
お風呂から上った。
時間が無いからと 彼女になされるが
ままになってしまった。
やはり、若いメイドさん一人だったので
他の二人はどうしたのかきいたら
彼女達は仕事より恋愛に生きるタイプなので
騎士様を呼びに 行ってくるといって
仕事放棄したらしい
『先輩たち きっと今頃は、騎士団の方々に色目使ってクネクネしてるとおもいますよー 』
なんて、苦笑してたけど
多分、いつもの事なんだろうな
それにしても、このメイドさん
若いのに有能。
他愛ないおしゃべりをしながらなのに
わたしの準備が着々と進んでいく
自分でも何をされてるのかわからないくらい
魔法でも使ってるんじゃないかとおもった
実際 髪を乾かすのは魔法使ってる雰囲気だった
「それにしても一刻で準備しろ!なんて騎士様もひどいですね。男性じゃないのだから そんな簡単に出来るわけないのに。先輩たちが呼びにいったので少しは足止めできてるはずですが」
「そ…そう。ねぇ、聖女様って何?」
「なんでしょうか?私もよくわからないのですが、伝承によると 黒の髪と瞳をもった方で魔力とは違う聖なる力をもった女性らしいです! 準備できました!間に合った!!」
淡いピンク色したドレス
ヒラヒラレースがたっぷりじゃなかったのが
救いだったけど 25歳にはちょっと幼い感じのデザインだった さっきまでイザベルだったわたしが今度はヒロインになった気分だった。
(たしか、あのヒロインも黒髪
だったしこんな感じだったよなー。
身長的にもやっぱりわたしは、
こっちの方がしっくりくるのかなぁ)
鏡の前で 目をつむり
ヒロインのことを 思いだしていた。
※※※※※※※※※
気づくといつのまにか騎士様がきてたらしく
メイドさんに声をかけられた
ただ、 私が立ち上がって 騎士様の前にいったら
「お前ほんとにさっきの魔女か?
どこかで 入れ替わってないよな?」
って 疑いの眼差しを向けられました。
確かに、目線の高さが違うし
真っ赤なかつらかぶってたけど
「ヒール履いてたし、バッチリメイクしてましたもん!
入れ替わるなんてそんな魔法の様なこと出来ないです」
「私!しっかり隣で見てましたが聖女様は聖女様でした!」
メイドさんも横で援護してくれる
と言うか、しゃべりだしたら止まらなかった。
「あとですね。先輩たちは得体の知れない聖女様のお世話したくないとのことだったのでこの姿に変わる過程と変わった後は見てないです。
なので私一人 バッチリ 見させていただきました!
聖女さまの先ほどのお召し物は
夜会に参加するご予定みたいで
仮装だったそうですよ。
え? 私の名前ですか?マリーです。
本当ですか?!
聖女様付き侍女決定 うれしいです。」
メイドさんの話がなかなか途切れないのに
無理やり名前聞くことでさえぎって
「マリーとかいったよな? ウィル…聖女を呼んだ魔術師に俺に説明した事と終わった後に個別に聖女様が話したいとだけ伝えといてくれ
そうだな 中庭経由していくから
すこし だけ おくれていく」
ウィル(多分、彼のときいたローブの彼)への伝言をたのんだ。
マリーは嬉しそうに「わかりましたぁー」っと
頭を下げて 部屋から出ていった。
「これから国王と筆頭貴族達に召還の儀が終わった報告をしにいく。」
そういって 騎士様は歩きだした。
わたしは慌てて後ろをあるいた。
(こういう場合、エスコートしてくれると思ったんだけど
やっぱり、この騎士様 紳士的じゃないのよね。)
「ねぇ。1つ聞いておきたいのだけど、わたしどうすればよいの? 聖女さま?らしくしたほうがよい? …っと言うか、わたしの力を悪く利用しようとする人達っているのかな?」
一瞬、困った様に考えた騎士様は立ち止まって振り返り
わたしの顔をみて再び 歩きだした。
「あぁ 確かに聖女を利用しようとするやつらはいるな
国王派と教皇派 むかしから対立してるし……
魔女よりかは
おしとやかで 何もわかって無い
利用出来そうな小娘とでも 思わせとけばいいんじゃないか?」
長い回廊をぬけ、庭がみえてきた。
そこには 色とりどりの花が咲いている
こちらの 季節はまだ 花の見頃が終わってないみたいだった。
「うぁー。きれい…そういえば ここって、お城なの?
でも はじめ見た場所は教会の大聖堂みたいな感じだったし 」
「ここの中庭を突っ切った先にある 門から先が王城 んで
さっきまで いた建物から庭までは中央管理区 大聖堂から 向こうは教会の管轄 時間がないから こっからは一気に飛ぶ。」
左手の平には小さな石がのっていてそれを
さしだされたので 受けとれって意味なのかな?
っと その石を取ろうと右手をだしたら握られた。
その瞬間 フワッと何かを感じたとおもったら
大きな 扉の前にいた。
どうやら 瞬間移動的なものをしたらしい。
そんな事が出来るなら はじめからそうして欲しかった
ながい長い回廊を騎士様の歩幅にあわせて 小走りになりつつ ついて歩いていたのに。
「さて、この先は心していけよ。
よけいな事言わずに黙ってればよいだろう。」
扉をあけて 騎士様にエスコートされて中に入った。
そこはちょっと大きめな会議室位の部屋だった
略式の謁見の間なのだろう
中には総勢40人ほどいて
部屋の両サイドに 分れてたっている。
ほとんどが中年男性
そして真正面の一段高い所にある椅子に
きらびやかな男性が座っていた。
多分その人が王様なのだろうと 予想はつく
だって 両サイドにいかにも 百戦錬磨の騎士
っていいたくなるような
がっしりとした おじ様が控えていたからだ。
(…それにしても やっぱりココは異世界なんだなぁ
皆の髪色がカラフル。ココまでカラフルだとイベント会場にいるみたい。 )
「本当にこの方が聖女様か」
わたしが皆の髪色に気をとられていると
目の前の男性が 話はじめた。
わたしが召還された 聖女かどうかの話らしい
「間違えありません 私が召還しましたから
この目で確かめました。
私がくる前に 検証を始めようとは……」
後から声がした。どうやら わたし達のあとに
入ってきたらしいのだが、扉の開く音がしなかった
振り替えってみると
多分、あの時いた ローブの彼だろう。
目があうと ニコッと頬笑んでくれた。
前に向き直すと 貴族の皆様がこちらを一斉に眺めて
いた、中には 驚き目を見開いているものもいる
(あ…カメラ向けられてる時と同じ感覚)
40人近くの視線が 自分ではないけどその後
イベントで一斉にカメラ向けられ
囲まれた時の 感覚がした。
一瞬怯み、 騎士様の腕をぎゅっとつかむ
その時 カチっ と自分の中のスイッチがはいった。
「何故 すぐ此処にこれなかったとは国王様ともあろうかたが無粋な女性に 汚れた衣装で謁見しろと言うのですか?
聖女様はこちらにきたとき床に倒れていましたので
本来なら このような場を設けるのも後日が好ましいのに
筆頭貴族が揃ってる今が良いからと
召還も謁見も早めたのは皆さまでしょ
聖女様もお疲れなご様子なのに
気丈に振る舞ってらっしゃるのに ひどいですよね」
ローブの彼は頬笑みを崩さず
王様にも怯むことなく ニコニコしていた。
王様も何かを言いたそうに 顔をしかめて
それでも、まわりの 貴族に配慮したのか
「そなた 名は何と申す」っと 一言で とどまった
ローブの彼のせいで まわりの貴族達の
威圧感がました気がする。
わたしと言うよりは多分その威圧感はローブの彼と騎士様に向けられている 物に感じるけど
それでも、結構なプレッシャーを感じ
口が乾きそうだとおもった
あたしは何とか 絞り出すような声で答える事ができた。
「……ゅ……ユナ…」
名前を言ったあとふらっと倒れてしまったのを
騎士がとっさにささえてくれた
意識が途切れる瞬間
まちがえて 別の名前言ってしまった事に気がついた。
(うぅー。ここに来るまでにヒロインの事考えたり イベント会場みたいとか 考えたりしたせいで 変なスイッチ入ってた みたいだよぉー。)
しかし、立っていられなかったのでそのまま意識を手放した。
「聖女様!?」
名前を言っただけで倒れた聖女に
まわりは騒然とした。
本来、転移の魔法は多くの魔力を使う
術を使うものと転移する者の
魔力を吸い上げて発動される
それは 魔力を使うものならよくわかってるはずだ。
なれてる者なら すぐ回復できても
なれない者は 回復もままならない
それなのに 無理を通したのは ココに集まる
半数近くの貴族達だ。
聖女は魔力量が多いと言われているから大丈夫だとおもったのだろう。
「どうやら 聖女様は無理をしていたご様子なようですので
また、あらためて このような場をもうけていただけないでしょうか?」
王様は軽く片手を上げ
騎士に退出をうながした。
騎士は聖女を抱き抱えると 軽く礼をし
魔術師といっしょに 部屋を退出していった。
「 聖女様は召還された。
後日 改めて 聖女様の御披露目の場をもうける。」
王様がそういって この場は解散になった。