なりきりさん異世界へ
わたし、望月 絵莉花 25歳
お嬢様教室なる合宿に参加していた。
(はぁ 一ヶ月の合宿って長いと思っていたけど
毎日が充実してて 楽しかったなぁー
今日の撮影とパーティーがおわったら
また、現実に戻るのかぁ。)
わたしはため息をついた。
明日 帰宅になるのでまとめれる内に荷物をまとめてしまおうと思ってキャリーバックに洋服をつめていた。
コンコン
「はい!」
「望月様 ご用意ができました。」
わたしは用意してあった
かつらとアクセサリーなどのコスプレに必要な小物
ポーチを持って 扉に向かった。
※※※※※※※※※※※※※※※
プロって凄い!
メイクしてる途中自分の顔が自分でなくなる過程が
不思議でしょうがなかった。
写真用なのですこし陰影ハッキリとさせた濃いめの
メイクになりますね!
なんて 茶目っ気にいわれて 内心ドキドキだったけど
イメージ通りの顔が出来上がった。
そして、撮影場所も庭が綺麗なのでそこで撮りましょう
と言われて テスト撮影をして今その確認作業中
そこに遅咲きの薔薇が咲いてるのを見つけて
一人 内心 キャラクターになりつつ 薔薇を眺めていたら
カメラマンさんが ポラロイドで撮影したのを
くれたのが 嬉しかった。
凄く良い顔してたので サービスですよといわれて
まだ、確認作業終わらないので ベンチに座って待っててといわれたのでわたしは 素直に座って
さっきもらった 写真が浮かび上がるのを待っていた。
「フフッ 良い顔って言われちゃたわ」
1枚は薔薇を眺めて頬笑む自分の横顔
もう1枚は正面から全体の写真だった。
それをポーチにしまい
さて、そろそろ 呼ばれそうな雰囲気だったので
荷物を手にして 立ちあがり一歩踏み出した瞬間
あっ…
フラッとして そこに掴むものがなかったので
膝をついた
※※※※※※※※※※※※※
こは どこだというの?
おかしい さっきまで
コスプレして撮影をするため
わたしは英国式庭園にいたはず。
フラッと立ちくらみがして
倒れ膝をついてしまったのをあわてて
取り繕って顔をあげたらそこは
石造りの大聖堂と思わしき場所だった。
足元が仄かに
ステンドグラスから注ぐ陽の光
で 輝いているようにみえた。
『おいっ! 聖女は黒髪ではなかったのか?
召還失敗か?! お前!名は?』
呆然と光の中に立ち尽くす わたしの前に
まるで 物語にでてくる騎士様がいた。
わたし、黒髪なのに 何をいっているのやら
初対面の相手にこんなに高圧的な態度とらなくても
ハッとして気づく、わたしはいまコスプレしていた
――――最近、アニメ化で話題になった
少女漫画にでてくる 深紅の髪と瞳をもつ 令嬢
イザベル・デオ・ ラバグルートは気高い薔薇の華と言われ立ち位置は悪役令嬢なのだけど ヒロインの好敵手ともいわれている。
わたしは彼女の芯の強さ自分への絶対的な自信と
実は恋は一途な性格が好きだ ――――――――
その、イザベルのコスプレをしている わたし は わたしではなく 今は私 イザベル だ。
『 手も貸していただけないなんて
紳士的ではありませんわね。 しかも、初対面ですのに、貴方から名乗ってはいただけませんのね』
あわてて立ち上り
手にしていた黒の羽でできた扇子をバッと広げて顔を隠し眉を潜めて相手をみた。
すると 騎士は名乗らずに 私から背を向けると
近くにいたローブをかぶった青年に
『コレの何処が聖女様だ!まるで魔女じゃないかっ!
ウィル‼後はまかせた少しでも聖女様らしい恰好でもさせとけ 一刻で迎えにくる!』っといって 出ていってしまった。
ローブの青年は困った顔をして
私のそばまできた。
『魔術師のウィルともうします。聖女様申し訳ありませんがお召し換えをお願いいたします。 』
『…何故此処にいるのかの説明は誰がしてくれるのかしら?』
『聖女様にはこの国を救って頂く為 召還させていただきました。後ほど詳しい説明はさせていただきます。』
そういって小さなベルを鳴らすと
どこからともなく メイドさんが3人現れて
わたしは別室につれられていかれた。
メイドさんの一人は『聖女様にしては少々香りが強すぎますので湯浴みを』とかいいかながら あからさまに 嫌な顔をされ 衣装を取ってきます。って言ってもう一人のメイドさんつれて出ていっちゃうし
残されたいちばん若いメイドさんが わたわた しててちょっと可哀想になった。
『そんななにわたし 匂うかなぁ…とりあえず 湯浴みってことは。 』
『そんな!薔薇のすごく良い香りがします!』
さっきまで バラの近くで撮影してたからその移り香か
そんな事を思いながら
鏡台の前に座りアクセサリーを外し
かつら を外してメイドさんに
置く場所ないか聞いたら 目を見開い驚いていた。
わたしは、そんな事を 気にせずに自分のポーチからコンタクトケースをだすとカラーレンズを外してしまい
拭くだけで簡単化粧品が取れるコットンを出して化粧を落とすと 鏡越しにメイドさんと目があった。
『瞳の色が……お顔まで…』
『驚いてる所 悪いのだけど、時間ないのでしょ? お風呂まで案内してくれるかしら? あぁ… さすがにこのヒールじゃそろそろ 足痛いなぁ』
イザベルになりきる為の10cmヒールは長時間はなれないとつらいものがあったので 脱いで 立ち上がる
『そんな 身長まで縮んでしまって……』不思議なものを見たような顔をしていた。
しばらく口を開けたまま呆けていたけど何かにきずいたのかあわてて わたしをお風呂まで案内してくれると簡単につかい方を説明してくれた。
猫足のバスタブにお湯張ってあったし シャワーあって つかい方は良く知ってものと一緒だったから よかった。
メイドさんはしきりに手伝うと言っていたけど
さすがお風呂は一人がいいし
さっき衣装とりに行ったメイドさんに身長の事を言わないとサイズあわないんじゃないかなっと さりげなくいったら あわててでていった。もちろん、靴もヒール低めのをお願いしといた。
化粧も衣装もオフして
一人になって
湯船に浸かったところで
やっと
現状が おかしいことに気づいた。
(聖女様って なに?
召還されたって 何これ 異世界トリップ??!)
望月 美香 → 絵莉花 修正