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第8話

今明かされる、ハカセの研究成果にして、この戦いの意味。

この大会は、死んだ人達、自殺をした者たちによって行われている。

武器は死に際に持っていた、もしくは死体になった後に最初に手が触れた物だ。

勝敗は相手の体力をゼロにしたら勝ち、普通の人間の致命傷は我等にも適用する。

痛みは感じないが、ダメージは体に貯まる。だが少しずつ回復していく。

食事は体力回復に関係ない。だが腹は減り、会話をして、他者と関わる。

「その辺は、普通の人間と同じだな、俺達」

「それだけ…わな」

「…では、何故この大会は開かれているんですか?」

「それは勿論、景品の為だよ」

出た。あの声が言っていた景品。この大会において一番の謎だ。

「その、景品……とは?」

その謎を、ハカセはあっさりと答えた。

「生き返る事だ」

「!?」

「なっ……」

生き返る……事?

「嘘だと思うか?」

「…それは、転生という事ですか?」

「いや、元の自分に戻るんだよ」

「……」

「聞いた事ないのは仕方ないさ、これは二次予選を抜けた者だけが聞く事実だ」

「……それは、おかしいだろ?」

「それは、とはどういう意味だい、レイン?」

「だってよ…俺達は死者、しかも自ら死を選んだ自殺者なんだせ? どうせなら殺されたり、病気や事故で死んだ人を対象にしたほうがいいだろ」

「その辺はよく知らん、あの声に聞いてくれ、だがな、私にも言える事はある」

「なんだよ?」

「例えば病気や事故で死んだ人を対象にしてみよう。大会に勝ち、景品を貰って生き返った……で?」

「で? ……って何だよ?」

レインが首を傾げる横で、私は分かった。

「…また、死んでしまう」

「え?」

「ご名答、ツバサはいい感覚を持っているね」

「どういう意味だよ……」

「少し付け加えるなら、生き返るのは死ぬ直前だ」

「つまりは、まだ病気で苦しんでいる時や、事故に巻き込まれる寸前に戻る」

そうやすやすと回避できることではないものの直前に戻されてしまい…

「そのまま、また死ぬっていうのか?」

「そうなるね」

「じゃあ! 俺達もそうじゃないのか!? 死ぬ直前に戻されても、また自殺するだけだろ!?」

「それはない、私は幾人もの選手に会ってきたが、大会が変わる度に同じ奴には会った事はないよ」

「じゃあ…何で俺達何だよ…」

「その辺には、もう確証があるのだよ」

「確証……?」

「君達には、共通点があるのだ」

「……」

共通点……か、自殺者……だけじゃない、何かしらの共通点…。

私は……、

「……心残りがある」

「なっ……」

「ほう…ツバサには何か心残りがあるのだね?」

「……」

黙って頷いた。

「レインはどうだ?」

「……俺も……ある」

「決まりだな、そうさ」

この大会の意味は、心残りのある自殺者を集めて戦わせ、優勝者には景品―――――生き返らせて、心残りを晴らして、再び死なないようにする。これはその為の大会なんだよ。





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