第84話
作戦名 バラバラに別れて生き残ろう作戦
これにおける必須項目は、死なない事だ。
今までとは違い、敗者復活戦では倒れたらそのまま、回復せずに決められた人数になるまで目を覚ます事はできない。故に防衛は最低2人以上で行う必要があり、その2人が戦わない限り一人になる事はとりあえずない。
どちらか一人が、殺られてしまわない限りは。
ここは都会、ハカセの黒い扉に一番近い上に、扉が二つある為ここへは4人が防衛へ出た。
防衛とは言っても、扉を抜けさせないだけだ。
つまりあまり数はいない、それがハカセの作戦だ。
「……とは言ってたが、居るじゃないか。人数」
「しゃあないだろ」
東にある扉の前、そこにはレインとモクが防衛へと来ていた。
先ほどから、扉を抜けようとする参加者を迎撃し、それを見た他の参加者を返り討ちにしていた。
「ふぅ……楽な訳は無いとは思っていたが、ここまでとはな」
何故だか、扉を抜けようとする参加者は途切れず現れた。
ただ外に出たい、そういう訳ではないという理由は、直ぐに分かった。
「ふふ……久しぶりね」
「あ! お前!」
そこに居たのは、あの時の女性だった。手にはナイフを持っている。
「出会って早々だけど、ここから出してくれない?」
「訳を聞こうか?」
モクが対応した。
「優勝者を潰す為よ」
「やはりか、ならここを通す訳にはいかない」
「あなたには聞いてないわ、通してくれない? レイン」
「断る」
「どうして? 生き返りたく無いの? 優勝者が居なくなればまた大会が始まって、生き返るチャンスがまた来るのよ?」
「だからどうしたんだよ、オバサン」
「オバ…!」
「俺はそんな、卑怯なマネはしたくないんだよ」
「話では分からないようね、ガキが!」
「言ってろ、オバサン」
「この、ガキがーーーーー!!!」
ドスン!
「がっ!?」
「……」
モクは女性の体を木の根で貫いた。
木の根が抜かれた女性は、その場に力無く倒れる。
「話を聞く必要は無い、俺達はただ防衛だけしていればいいんだ」
「分かってるよ」
「……彼らに悪いと思っているのか?」
「……少しはな、でも、そんなの気にしてたら絶対後悔する。だから、俺はここを守るんだ」
北にある扉の前、そこにはミナトとマイが防衛に来ていた。
ちなみに、彼らが防衛に行った場所以外にも空間と扉は存在するが、それは気にしないことにした。
何故ならそんな数を相手に出来ないからで、互いに戦いあっているのも理由ではある。
しかし一部の参加者は気づいてしまった。優勝者を倒したら、まだチャンスがあると、その為優勝者を探しに空間を出ようとする参加者が現れた始めた。
「という訳で、この先には行かせてはいけないよ」
「……分かってる」
「しかし、アレは本当なのかな?」
「……疑ってるの?」
「少しだけ、でも、それが本当なら私達は負けられないよ」
「……私も」
数十人の参加者が扉に向かって来る。
ミナトはロケットを持ち、
マイは2人の人形、リアとロマを前に置いた。
「行くよ! マイちゃん」
「うん! ミナト」