第83話
私達はあの暗い空間にいた。見渡す限り、私達以外の参加者は見当たらない。
その時ハカセが、
「さて……ここである作戦を発表する」
「ある作戦、ですか?」
「名付けて……バラバラに別れて生き残ろう作戦だ!」
……作戦名が、そのまま作戦内容だ。
ハカセは内容を説明する。
作戦の細かい内容はこうだ。
扉の中にいる参加者達に邪魔されないよう、防衛するというもの。
私が優勝者だということを知らない者が多いが、今回の参加者達は知っている。もしもそれを知られた場合……大多数が私を狙ってくるだろう。
敗者復活戦の為、減った数になるまで、つまり皆が生きている限り終わる事は無いからだ。
そして、皆は了承した。
ここは雪国、ある扉を引いて入ると、ここにたどり着く。
そこに今、スノウとマチここに来ていた。
「別に俺一人でもどうにかなるんだぜ?」
「だから何? わたしはただ自分の意思でここに来ただけ、なんなら、私一人でもいいのよ?」
「勝手に言ってろ。俺もここを自分で選んだんだよ」
「……妹と別れた所に似ているから?」
「ふん……お前こそ、お兄さんと別れた場所に似ているからここを選んだんだろ」
「……そうよ」
「珍しく素直だな」
「なによ? 本当の事言ってどこが悪いの?」
「いや、珍しいなと思ってな……」
「……」
「……頑張って、生き残ろう」
「……もちろんよ。ツバサを助けるのよ」
手前に数十人の参加者が現れた。
スノウは二丁拳銃を構え、
マチはマッチ箱を持った。
「行くぜ!」
「えぇ!」
ここは草原、ある扉を押して入ると、ここにたどり着く。
そこに今、キキとテルが来ていた。
「ここも懐かしいね~」
「私達が初めて会った場所だよね」
「うんうん、確か……あの頃に現れたよね、2人組の参加者。最初は卑怯だ~とか思ってたけど、だからこそテルちゃんに会えた訳で」
「それで、私達も一緒に居始めたんだよね」
「そしたらこれだよ、いや世の中は分からないね~」
「……ねぇ、キキちゃん?」
「なぁに?」
「さっきの事は本当なの? キキちゃん、例外の人物になるって」
「うん、席も空いてるみたいだし~、あの少年も約束してくれたしね~」
「……本当は?」
「……確かに、この作戦が成功したら、あの声は例外でしてくれるって言ってるけど。私はここが楽しいし、……向こうよりも楽しめそうだから、かな?」
「……」
「人の言った事にとやかく言ってはいけないよ~。それで自分が良いと思ってるんだからね~」
「……うん、分かった。とやかくは言わない。……だから」
「だから?」
「私も残るよ、これは自分で決めた事、とやかくは言わないでね?」
「……あはは~、もちろん」
手前に複数の参加者が現れた。
キキは鍵を持ち、
テルは携帯電話を構えた。
「行くよ!」
「うん!」