第82話
優勝者が決まった瞬間に参加者が一人減るという例外が起こった為に、少年のもう1つの人格が現れた。
そしてルールに従い、敗者復活戦が始まったのか……
「……ホントウハ ソンナコトシナクテモ ユウショウシャガキマッタノダカラ ソレデイイハズナンダ デモ アイツハ!」
少年は声を荒げた。怒っているようだ。
「それで、今からアイツを止めに行こうと思っているのだよ」
「え?」
「アイツさえ止めれば敗者復活戦は終わり。現優勝者のツバサが生き返るんだ」
私が、生き返る……
「で、私達がそれに行っている間に、ツバサは死なないように頑張っていてほしいんだ。隠れるもよし、負けないように戦うもよしだ」
「……」
私はただ、生き残ればいい?
その間、負けなければ何をしていてもいいなら。
もしもそれでいいなら。
「ハカセ」
「何だい?」
「……私も連れていって下さい。ただ逃げるくらいなら、私が自身で決着をつけます」
「ふむ……いいだろう、そうと決まったら早速…」
その瞬間、
バターン!
扉が開かれた音がした。
そこから現れたのは参加者達だ。今までに見たことのない人ばかりで、過去の参加者達と思われる、その数、数十人以上……
「ふむ、ここも危険になったね」
「どうするんですか?」
「アイツに会うには、私の部屋の奥の暗闇に行かなくてならない。ますばここを出なくては」
しかし両方の扉は参加者で防がれている。
どうすれば……
その時だった
パチン! パチン! パチン! パチン!
ザシン ザシン ザシン ザシン
ガタン ガタン ガタン ガタン
ゴゥ! ゴゥ! ゴゥ! ゴゥ!
右側には刃が、左側には光線が放たれて参加者の幾人かが巻き込まれた。
あれは確か……
「はっはっはっ! 弱すぎるではないか、過去の参加者達よ!」
「……」
私たちの前に現れたのは、やはりフレイとゼロだった。
「話は聞いていたぞ、早くこの場所を出て、アイツとやらを倒してこい」
「……ここは俺達がどうにかする」
どうやら、私達を助けてくれるらしい。
「君たちは、こちらの味方なのかい?」
ハカセは訊ねた。
「愚問だな、これを見て疑う必要がどこにある?」
「ふむ、そうだね、悪かったよ。ここは頼むぞ2人共」
そう言うとハカセは本を開き、暗闇を呼び出した。
「とりあえずここを出るくらいなら可能だ。皆入ってくれ」
私達は順に暗闇へと入った。
少年の番になった時、
「そこの少年」
フレイが止めた。
「もしうまくいったらば、私もその例外に入れてくれないか?」
「ナゼ?」
「俺様が生き返った所でどうせ実験台だ。しかし、ここならばまだ自我を出せる……それだけだ」
「……ヤクソク スル」
少年も入っていった。
最後に私とハカセが入り、フレイとゼロ、そして多くの名前の知らない参加者を残して暗闇は消えた。
「ふっ、行ったか」
「……この人数は辛いんじゃないか?」
「なめるなよ、俺様と貴様は第一、第二大会の優勝者。そのコンビにはこれぐらいが調度いいのだよ」
「……そうか」
「うむ……行くぞ!」