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第76話

デハ ケッショウセンヲハジメマス

「……」

これがあの時の私達の、

「……」

本当に本当の、決勝戦です。


シアイ カイシ


カーン!



私が先手をとった。十字架を振り上げて、ミカに切りかかる。

ガキン!

それをミカが空間に閉じ込めた砂の剣で防ぐ。

ミカの能力はいわば、ガラスに砂を詰めた物と呼べるだろう。詰める物、中に閉じ込める物が無いと発動は出来ないのだろうが、ミカは同時に砂を無条件で呼び出す能力を持つので使えなくなる事はない。これがミカに対してある情報だ。

あまりにも少ないが。とにかく、油断はしない。それだけだ。



その時だった。







                              トクンッ

……?

何だ?

今、何か懐かしい何かが――――――




こんな風に 誰かと話した事があるのか




誰かの声が聞こえた。

あの声ではない、何か聞き覚えがある声だ。

いつだったか。

つい最近のような、

とても……昔のような……


再び十字架を切りつける。

ミカは砂の剣で防いだ。


ガキン!


すると、




                               トクンッ

まただ――――――――




そもそも私は何者なのか




この声は……ミカ?

ミカの記憶が、聞こえている?

どうやら十字架と砂の剣が触れる度、ミカの記憶を私が聞いているようだ。

なぜ、そんなことが起きているのか……まさか……

私は間合いをとり、鎖を放った。

対してミカは砂の槍を作り、鎖に当てる――――――


ガキン!




                             トクンッ




私が唯一見た事のある景色




唯一見た、景色?

私は重力を前にかけ、十字架を前において突進する。

ミカに砂の剣で防がれた――――――


ガキン!



                                トクンッ




飛び降りた時の景色




確かミカは飛び降りで死んだ筈。自分で言っていたから確かな事だ。

十字架を振るう。

砂の剣で防がれる―――――


ガキン!



                               トクンッ




生きていたにしては記憶が無さすぎる




……今、何て?

記憶が無さすぎる?

どういう事だ?

……もしかして、それがミカが何者かを示す何かかなのかもしれない。

このまま戦っていれば、分かってくるかもしれない。

ミカが何者なのか。




ガキン!



                            トクンッ




とても短い生きた時間




ガキン!



                                トクンッ




ツバサに触れたいだけ




ガキン!



                                トクンッ



死んだ理由を思い出すのだ




ガキン!



                                トクンッ




飛び降りた直前の記憶が




ガキン!



                                    トクンッ




一切、思い出せないのだから




記憶が一切思い出せない?

……改めて思う。ミカは何者だ?

見た目が似ている。死因も、声も聞き覚えがあって……

……いや、もはやこれ以上は考えない。何かがあれば、ミカも思い出すだろう。


今は、ただ戦うだけだ。





……何故でしょうか。

ツバサの攻撃を防ぐ度に、ここでの記憶がツバサに流れているような、そんな感覚になりますです。

これはつまり、何かを思い出す前触れかと、

間接的にツバサと繋がっているのかと、そう思ってきたました。

だったら、今で良かった。

あの時に触れないで、今まで触れないで本当に、今のこの時まで、我慢していて良かったです。


だから今はただ、戦うだけです。




全ての謎は、この戦いが終わる時に――――――


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