第71話
扉を見つけたら入る。
押して入ると引いて入るでは場所が違う事を知ってからは前の倍の場所を探す……けど見つからない。
仕方ないので、一度戻る事にしました。
「はぁ……探してもない人は見つかるのに、何故探している人は見つからないですか……」
行く先々で参加者に出会っては戦いを申し込まれました、なんとか全部に勝利していますが。
そう思いつつ、とりあえずは探す事を一時的に止めてハカセの扉へ向かっていた。
その時でした。
「あれ? ハカセの扉から誰か出てきましたね?」
扉が見える所まで来ていた私は、扉から誰かが出てくるのを見つけました。
「あ! あの人は!」
そしてその人こそ、まさに探し求めていた私そっくりな参加者、その人でした。
確かに見た目がそっくりで、一瞬鏡を見ているのかと思いましたがあの人がこちらに背を向けて歩き初めたので鏡ではないなと思いながら……
「はっ! い、行ってしまいますです! 早く追いかけないと!」
私は後を追いました。
シアイシュウリョウ
ツギノシアイマデ
スコシキュウケイヲトリマス
「いや~負けたよ、やっぱツバサは強いな」
「いいや、そっちも強かったよ」
「でも負けたのは俺だからな、ここまできたら優勝してくれよ?」
「うん、頑張るよ」
そう。何にせよ私は決勝戦に行かなくてはならなくなったんだ。
何故ならば、次の相手、準決勝の相手はモク。ミカと戦うには決勝へ行かなくてはならないから。
あれからミカとも会ってない、何処かには居るのだろうが決勝で必ず会えるだろう。
それを信じて私は、決勝に進むだけだ。
オマタセシマシタ
タダイマヨリ ジュンケッショウヲ
ハジメマス
最初は私の番だった。
舞台に上がると、相手は既に目の前にいた。
「また、戦う事になるとはな」
「あの時とは違いますよ、私は負けません」
「あぁそうだろう……だが、それは俺も同じだ。俺も負ける訳にはいかないんでね、全力を出させてもらうよ」
「……勿論です」
私はミカと戦うことが目的になってしまっているが、本来の目的は優勝して生き返ること、モクにも負けられない理由があるんだ。
シアイ カイシ
カーン!!
先手は私が取った。
鎖をモクへと伸ばす。モクもまたロープを伸ばして鎖にぶつけた。
そこで私はロープに重力を移して下へと落とした。
恐らくこれをモクは予想済だろう、あちらの本当の武器は――――
来た
ドスン!
木の根が下から現れた。
その寸前に重力を体にかけ右へと落ちながら避ける。
やはりロープよりも木の根が厄介だ。
一撃がかなりのダメージになりうる、当たりどころが悪ければ一撃必殺になってしまう。単体でしか出せないのが唯一の救いだ。アレを除いて。
しかしアレには時間がかかる。故にこちらが攻撃を続けその暇を与えなければ、勝機はこちらにある。
悩まず攻撃あるのみだ。