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第66話

私の名前……

ワタシの、ナマエハ……

……ふと、思い出してみる。

私が死んだ時の事を、

私は確か…び……で死…だ。それは分かる。

し…しそれ…前だ、

死…理…を、…んだ…由を…い出す…だ。





「まだまだ行くよ」

ゼロは再び空気を形作った。今度は四角だ。


ガキン!


受け止めてから観察する。正方形では無い、しかし長方形ではなく、台形と呼ぶにふさわしい四角形だ。

それが下から、


ガキン!

続いて上から再び台形。

という事は……


来た。


ゴゥ!


次は避けるだけではない、光線は一直線なので横に動くだけで避けられる。そして、攻勢に出た。

鎖を伸ばし、ゼロへと向ける。

「そんなの利かないよ」

ゼロは横に鎖を避け、


ガキン!

鎖の上に四角を落とした。

引き戻そうとするが……全く動かない、あの形には重量があるのか。

「これで鎖は使えない」

ゼロが言うが、これがそうでもない。

鎖に重力をかけ、上に乗った四角に移す。

そこで方向を変えた、


ゴス!

ゼロのいる方向にだ。

油断したのか、ゼロは四角の直撃を受けた。

「やるね」

ゼロは四角の移動から抜け、新たな四角を生み出して光線を放った。


ゴゥ!

四角が消滅する。

……そうか、分かったぞ。ゼロの能力が。

今までは近すぎた四角や三角形だが、ゼロのいる距離から放たれた光線と四角を見てそれが何を意味するか分かった。

まずは四角や三角形、あれは空気で作り出した……歯だ。

四角は前歯、三角形は犬歯だろう。

そして赤色の光線、あれも元は空気だが、アレこそがゼロの死因。舌切りの舌だ。

つまりゼロの能力とは、空気で作り出した歯の形を模したものから舌を模した光線を放つ、まるで歯で舌を切るように、歯から舌が飛び出しているのだ。

土台の条件はあるが、その分光線は威力が高そう。遠距離設置型高威力タイプ、かなりやりづりらい部類だ。

しかしそう考えれば容易い。相手を知る事は勝利への近道、誰かが言った言葉だ。何か隠している可能性も無い訳ではないが、今の所の対策は出来た。

後は攻めるのみ。

私は鎖を左肩に巻いて前へと落ちた。

ゼロは私の近くではなく自らの近くに四角を呼び、上からもう一つ呼び出す。その時既に私はゼロのかなり近くにいた。

既に光線は放てる。向きもこちらを向いている。

そこで私は対策をうった。

急に重力を止め、その場で跳躍、


ゴゥ!

数秒前いた場所を光線が通り抜けた。

そのまま浮き続け、ゼロの真後ろに着地する。

「甘いよ」

ゼロは半回転して正面に三角形を飛ばした。十字架を当てて左に落とすと、落ち続ける三角形にゼロは新たな三角形を当てて光線を放つ。

しかし私には当たらない、光線は明後日の方向へ飛んで行った。

よし、予想通りだ。私の十字架に触れれば、光線の向きを変えてゼロに当てる事が可能…

…な訳が無い。しかし、先ほどの歯の事もあり、ゼロはそう思って警戒していたのだろう。元より近距離では使い難い能力だから。

その点私は、十字架の間合いに入った。

私が有利で、今が勝機だ。



グラビティア・クロス


十字架でゼロを切りつけていく、

だがその時、

「負けない」

左右から三角形が迫り、光線が放たれた。距離が近すぎて避けれず、左腕に受ける。

大丈夫、一発受けたくらいでは倒れない、私は攻撃は続けた。

「負ける訳にはいかない」

ゼロが再び光線を放った。それを腹に受けながらも十字架を振り続ける。

「こ、こうなったら」

するとゼロは、私の後ろに歯を作りだした。狙いは見えないが、おそらく頭などの急所、一撃で決めるつもりだろう。

その前に、決めなくてはいけない。

私は十字架の一点に重力を集め、一気に振り下ろした。




ズブッ




ゴゥ


十字架がゼロの胸に刺さる方が早かった。それで照準がずれたのか、光線は私の頬を掠めるだけに終わった。

「……」

十字架を引き抜くと、ゼロはその場で倒れた。

勝った……のか?

しかし、ゼロの能力が単体による発射で助かった。あれを二、三同時に放てていたら分からなかったな。

「……放てる……よ?」

放てるのか……危なかったな。


シアイ シュウリョウ

ツギノ シアイマデ スコシキュウケイヲトリマス




ゼロもまた、私達と同じ自殺者であり、私達と同じように誰かに思われてここに存在していた。

だから彼は決して、ゼロでは無かったのだ。


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