第62話
まず驚いたのは、私達は自殺した人で。生き返る為に戦っている事。
そして更に驚いたのは、ハカセが女の人だった事でした。
それから暫く話をして、私は思いだしていた。
こ…………誰…と、………事があ……の…、…達が……のか。
そ……も私は………の…を
「さぁ! 楽しませてくれよ勝ち抜いた参加者よ!」
先手をとったのはフレイだ。
正直な所、私は不利だと思う。何故ならアイツは私が戦っていた時に司会をしていた、私達の手を知っている筈だ。それに引き換え私はアイツの能力など知らない。
まぁ、何にせよ私は戦い、勝つだけだ。
友達との約束を果たす為に
パチン
ガキン!
……油断などしないさ、
私は十字架で飛んできた物を防いだ。
それは刃だった。横に長く縦に薄い、赤黒い刃だ。
まるで血のような色の……いや、香りがした。本物の血だ。
「……フレイさん、あなたはいくつですか?」
普通ならあり得ない試合中の質問、アイツはやはり答えた。
「おぉ? 俺様は19だが?」
年上か、
ガキン!
防いでいた刃を下に叩き落とした。
「ふっふっふっ、一つ守ったところで変わりなんてないぞ!」
パチン パチン パチンパチン
ガキン! ガキン! ガキン! ガキン!
一直線で合図がある為に防ぐ事は容易だが、数が多すぎる。
アイツはただ、指パッチンをするだけで刃を呼び出すのだ。
「はっはっは! ただ守っているだけでは俺様には勝てないぞ!」
確かにそうだ……アイツの技は見切った。
私は鎖を左肩に巻いた。
「さぁ! これで終わりにさせてもらうぞ!」
パチン
再びの指パッチン。それを合図に私は飛んでくる刃を飛び越えた。
その空中体勢のまま重力変化、前へと落ちた。
そのままフレイへと近づく。
「おぉ! やるではないか、そうではなくては楽しめないな!」
パチン パチン パチン パチン パチン パチン
六枚の刃を放った。
ガキン! ガキン! ガキン!
まずは三枚を払い退け、次の二枚を重力の方向を変えて避ける。最後の一枚を、
ガキン!
下に叩き落とした。
「な…! やるではないか! しかしまだ俺様は負けてないぞ!」
……あれ?
もしかしたらアイツ……試すか。
フレイとの間合いを詰めて十字架を振り上げ、振り下ろした。
「うぉ!」
ガン!
フレイの少し横の地面を叩いた。わざと当てなかったのだ。
それだけでフレイは、目を瞑った。
やはり、ただの口だけ野郎みたいだ。普通ならあれで目をつぶっているようでは簡単に負けるはずだ。
そう思って、考えてみる。
レインに勝ったらしい、だがそれはかなり最初の方、おそらく私が勝った後のあの時のレインに勝ったとなれば、そこまでではない。皆強くなっているのだから、今の私ならあの時のレインは楽勝だろう。
第一回大会優勝者、それだけ考えれば凄い。しかし第一回大会がいつ開かれたか知らない。もしかしたらかなり最初の、まだ新たな力に誰も気付いて時に開かれたのかも知れない。
フレイの力は、ただ刃を飛ばしているだけ、だがこれぐらいの力なら最初の方のあまり強くない参加者が集まれば勝てる事は出来るだろう。
そしてあと一つ、
これは聞いてみるか…
「あの、あなたの戦績を教えてもらえますか?」
するとフレイは、
「ん? 俺様の戦績か? いいだろう、教えてやろう!」
あっさり答えた。
「6勝0敗だ! どうだ驚いたろう? 俺様は、無敗の帝王だぞ! はっはっは!」
……試合数が少なすぎる。暫く戦ってないとは言ってはいたが、まさかここまでとは……
……もういいや、
コイツは本当に、
口だけで、
第一回大会優勝者で、
弱い奴だった。
「ありがとうございます……では」
「え?」
グラビティア・クロス