第60話
扉を開ければ、
そこは海岸だったり
そこは雪国だったり
そこは山道だったり
そこは町並みだったり
そこは草原だったり
そこは砂漠だったり
そこは闘技場だったり
色々な景色がそこにあった。
私が唯一…………る。……………いた…の景…ではない新たな場所の景色。
次は何だろう、そう思いながら見つけた扉は今までとは少し違っていた。
この暗い空間の中でもなぜか見えている、不思議な、真っ黒な扉だった。
入るのが少し怖かった。でも、この扉の先は何なのか、何があるのか、また新しい景色なのか、と好奇心の方が勝った。
黒い扉を開いた。
あの声が指定した場所、それはあの闘技場だった。私達が行くと既に他の参加者が集まっていた。
その中にアロマさんが居た。言い換えれば他の参加者の名前を知らないからだが、一度戦って会っている筈だけど覚えている顔は少なかった。
ソロイマシタネ
あの声が聞こえた。
デハイマカラココト トビラヲキリハナシマス
言った途端扉が消えた。これで他の参加者がここに入る事は無いのか。
しかし、残った参加者はどうなるのだろうか?
……あの時みたいに消えてしまうのか?
分からないが、いずれ分かると思いながら私はあの声を聞き続けた。
サンカイセンハ トーナメントデス
シカシ イマココニハ ニジュウゴニンイマス
デスガ ダイジョウブデス
マズハ クジヲヒイテクダサイ
そう言って現れたのは、白い箱だった。言葉の限り、中身はくじのようだ。
周りの参加者から順にくじを引いていったので、私達は後に残った物を引く事にした。
最後の一枚を私が引いた。
紙に書かれていたのは――――
「え?」
「ツバサは何番~? って、あれ? 白紙じゃん」
何も書かれていなかった。
まさか、ハズレか?
これは二択だな。アタリかハズレ。
奇数を補う為のシードなら、アタリ。
奇数を補う為の失格なら、ハズレ。
さぁ、どっちだ……
くじに書かれた同じ番号どうしが戦うとか、運良くレイン達は互いに当たらなかったらしい。
それを伝えた後、あの声が続ける。
クジノナカデ ハクシノ カタ オシエテクダサイ
私だ。
「……はい、私です」
私は挙手で標した。周りの参加者の視線が集まる。
アナタハ シードセンシュヨニンノウチ
ダレカ ヒトリトタタカッテイタダキマス
シード選手の誰かと戦う。これは、ハズレくじだな。
シード選手とはつまり、大会の中で行われた大会を勝ち抜いた参加者で、つまりは強いという事だ。
確か4人とは、
一度負けた事のあるモク
同じ大会で優勝したミカ
謎の多い強敵の男ゼロ
そして……
「はっはっは! 俺様の相手はどこの誰だ?」
……あいつだ。
あの時の司会で、正直言えばムカつく男で。
第一回大会優勝者の、フレイだ。