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第57話

「っ!!」

意外に火は強力だった。

目に火がついた気がする。

頭に近い分、敏感な場所な分、熱さと痛みが直ぐ伝わる……気がする。

それが普通、しかし私達には痛みが無いから、今の私は自分がどうなっているかが自分では分からない。

「嘘よ……嘘をつくから……こうな……るの……よ……」

アロマが倒れたのを見た。





そこで意識が途切れた。











イマノアナタハ、ニジュウニショウ イッパイ イチヒキワケダヨ…



あの声を聞いた。

……そうだ。この声が、初めに言ってくれれば良かったんだ。

生き返る事も、死ぬ寸前の事も、心残りを与える事もだ。

しかし声は言わなかった。

何故言わなかった。

理由があるなら教えてくれ。

もしかしたら、まだ私達の知らない何かを隠しているのか?

それならそうだと、言ってくれ!


聞こえているだろう!


何か答えろ!






何か

               答え

                             ろ










そこで私は目を覚ました。

目線の先は夕日の空、ここはいつまでも夕日だな。

「目は覚めた?」

ミナトの顔が横から現れて尋ねてきた。

「うん……もう大丈夫」

いったいどれくらい寝ていたのだろうか……

恐らく、試合はもう……………そうだ!

私は素早く起き上がり、ミナトに訊く。

「ねぇ! 試合ってどうなったの!?」

「お、落ち着いてよツバサ、ちゃんと説明するから」

「あ……ゴメン……落ち着くから、話してくれる?」

「うん、まずは結果を言うけど……結果は…」

その瞬間、

「……ミカの勝ち」

「言われた!?」

ミナトの隣にいたマイがさらりと言ってしまった。

結果は、ミカの勝ち、か……

結果はマイが言った為、ミナトは内容を語り出した。




それは、私が倒れてからの話。

ライターの火をゼロ距離で受けた私と、香りの吸いすぎと私の言葉によるショックでアロマが倒れたのが

ほぼ同時で、引き分けとなった。

それは知っている。重要なのはそれからだ。


ミカは、レインに勝ったらしい。

それにより優勝したのは私達のコンビ、その後普通なら私とミカが二回戦突破の席をかけて戦う事になっていた。

しかし、私は倒れていた。

それを知った司会、確か、フレイとか言ったかあの声が、こう言ったそうだ。


 おーっと!

 こうなったのならば新の決勝戦は最早いらないだろう

 最後のシード席を手にした幸運な参加者は…

 ですます砂使い

 ミカ選手だ!

「えぇ!? わ、わた……私が、優勝……ですか?」


 おめでとうございますミカ選手

 そしてお疲れ様でしたミカ選手!

 さぁ、この光に触れてこちらに来たまえ

 そして二回戦が終わるまで充分すぎる程の休息を

 とってくれたまえ


そう言って、光の柱が現れたそうだ。

「……」

その時ミカは少し考え、手を触れたらしい。


「……」

「その時に、アロマさんが起きたの」

「アロマが?」

早い目覚めだな。しかし私のように顔が焼けたとかではなく、毒と精神的ダメージだ、治りは早かったのだろう。

「それからアロマさんは、あの司会に聞いたの。ツバサが言った事は全部本当なんですか? って」

「それで?」

「本当だよって、ただ一言だけ」

「……」

「流石に少しショックを受けたみたいだけど、直ぐに私達の所に来て、ツバサに伝えてくれ、って伝言を預かったの」


ツバサさん。

あなたの言った事は全て本当に正しいのですね。

しかしそうと知ってしまった以上、私はさらに負ける訳にはいかなくなりました。

夫以外にも私を思っている人がいるから、私は存在する。

たがらその誰かの為に私は負けられません。必ずや生き返ってみせます。

もしまたどこかでお会いしたのなら、そこはおそらく決勝の場で、あなたが私の最後の壁です。

その時はまた、良い勝負をしましょうね。

ではまた、何処かで。


「そう言い残してアロマさんは、この空間を出ていったよ」

「……アロマ……さん」

「でね、ミカちゃんもツバサが起きたら、伝えてほしい事があるって」

「ミカも?」

その言葉はこうだった。


ツバサ。

まずは、すみませんです。

あなたと戦いもせずに席を手に入れてしまって。

本当ならこれは、あなたの物。あなたが私に勝って手にした物です。

しかし、私にも生き返りたい理由がありますです。

私は……

自分が分からないのです。

本当の名前はもちろんの事、親も友達も、全てをです。

だから私は、自分の事を思い出す為に生き返らなくてはいけませんです……

だからすみません……です。

……そして、こんな事を言うのは悪いかもしれないのですが……勝ってください。

そして、三回戦に来て下さい。

そしてそこで……出来れば決勝戦で。本当に本当の決勝戦で、私と戦いましょう。

私はツバサを、遠くで応援してますです。



今回で『オモイノカタミビト』一区切りとなります。

話自体はまだ続きますが、次回は流れとは関係の無いものを一度挟み、少し間を置いてから再開する予定です。

つきましては、ここまでの感想、一言、ご指摘をお待ちします。

もしも予想以上のメッセージがありました場合、予定を早めたりする可能性もあります。

ここまで読んで下さったそこの貴方、何か一言送ってみませんか?


それでは、

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