第4話
考えろ……何か、勝つ手段を。
私の攻撃方法で出来る限りの技は、十字架と鎖で共に重力を加えることが可能。鎖は…………。
あぁ、一つだけ思い付いた。それが可能が否か、答えはこれから分かる。
そんな時に、次は来た。
「速度変化! 鈍行・特急・快特・特急・鈍行!」
投げられた5つは中央の1つから左右に行くほど遅いくの字型で飛んで来た。
しかし、対処方は出来たばかりだ。これが出来るだけで技のバリエーションが増えるだろう。
私は左腕を前に出して鎖を伸ばした。ただ伸ばしたのではない、螺旋状を作り、盾のように前に構えた。
カシンッ カシンッ カシンッ カシンッ カシンッ
螺旋にぶつかった小石は加えられた重力により地面に落とした。
そのまま私は螺旋の中心、鎖の先端部を男に伸ばした。
「おぉ! やるな、だが負けねぇぞ!」
男は小石を投げて命じた。
「速度変化! 快特・特急・鈍行・快特・特急・鈍行・快特!」
小石は再びくの字型で飛んでくる。
だが私は気にしない、鎖に思いを込め、ただ操った。
鎖は小石と小石の間を抜け男へと向かった。
カシンッ カシンッ カシンッ カシンッ カシンッ
小石は螺旋にぶつかり地面に落ちた。
カシンッ ガッ
最後の1つは開けられた鎖の螺旋の中心を抜けて頭に当たったが、私は全く気にせず鎖を操る事に集中した。
「な…!」
男が驚き、再び小石を投げる為にとポケットに手を入れ小石を取り出した。
私はそれを逃さなかった。螺旋を崩し、その分の鎖も加えて、男を縛り付けた。
手にした小石はその際に地面に落とした。
「おぉ! 動けねぇ……でもこれだけじゃ勝てねぇぞ!」
分かっている。でもここまで来たら手段は2つもある。
1つは鎖を首に巻き付けるか、鎖の先端部で殴打する。
もう1つは……今、試す。
上手く行けば、あの時みたいになる。
……普通なら躊躇うものだが、私に、躊躇いは無い。
これでもう二回目になるし、アイツも言った。どちらが勝っても恨みっこ無しだと。
容赦はしないと。
よし、やろう。
私は男巻いた鎖を、左腕に繋がっている鎖を引き戻した。
重力を無くし、つまりは無重力になった鎖に巻かれた男は、
「おぉ!」
浮いた。そのままこちらへ鎖のままに引き戻される。
その間に十字架を構えた。まるで野球選手のように、片手で十字架を肩に掛け、一辺に重力を掛ける。
後はただ、向かって来たものを打ち返すだけだ。
鎖に巻かれた男は、ただ鎖に引かれてこちらに……
そして
ドグシャ
「くはっ……」
十字架の一辺が男の腹に突き刺さり、そのまま。打ち飛ばした。
その際に重力を掛けたので、あまり飛ばずに男は下に落ちた。
ズシャーー
男は地面を少し滑って止まった。
普通なら重症ものだが、男はあっさりと立ち上がり、
「いや~やるねアンタ。まぁ痛みは無いんだよね。くはっ……とか言ってみたけど、実際はなんとも無いよ」
流暢に話した後。
「……でも、もう……戦えん……」
ドサッ
男はその場に倒れた。
私の勝ち……か。