第48話
「さあって、いっくよー」
先に動き出したのはキキだった。
「ミカ、あの2人とは…」
「いえ、どちらも初めて会いますです」
「じゃあ勝手に決めるけど、私が今突っ込んでくるキキと戦うから、ミカは向こうのテルと戦って」
「わかりましたです」
私は前に出て十字架を構えた。
カキン
鍵と十字架がぶつかる。
その隙にミカは大回りでテルへと向かった。
「ねぇ、あなた達って本当に双子なの?」
やっぱりその質問か……
「違いますよ、ただ背格好がそっくりなだけです」
「ふぅ~ん、でもでも~似すぎじゃありません?」
「……そうですけど」
「まぁ、いっか~今は勝負の最中だしね~」
キキは間合いをとった。
「さくっと倒しちゃうよ」
バチ!
キキの持つ鍵に電流が走った。電気の流れが、目に見える。
「いっくよ~」
電流の走った鍵をこちらに向けて、
「サンダー・ロック!」
バシュン!
電流を飛ばした。
速度が早い電流がこちらに向かってくるが、目で追える。避ける事は可能だった。
私が避けると、
「お~やるね~でも、いつまで持つかな~」
バシュン! バシュン! バシュン! バシュン!
―――――一方その頃、
「勝負です!」
「あなたが私の相手?」
「はいです!」
ミカの能力は空間操作。砂を出した周囲の空間を操作してまとめるというもの。つまりは砂の造形を扱うのだ。
ミカは砂を集めて、槍を作った。それをテルに向けて飛ばす。
「砂の槍ね……ふぅ」
テルはため息と共に携帯を操作し始めた。槍は迫って来ているが、避ける素振りすらしない。
カチカチカチカチカチカチカチカチカチ
ボタンを押す音が響く、暫く操作した後、
ピッ
ボタンを押した。
その瞬間、
ドン!
砂の槍がテルに当たる前に爆発した。
「なっ!」
「私に飛び道具は利かないよ、妹さん」
「双子じゃないですよ!」
ミカは再び砂の槍を飛ばす、
「だから利かないって」
ピッ
ドン!
ボタンを押しただけで槍が爆発した。
「二度目は驚きません!」
その間にミカは間合いを詰め、
「固定せよ!」
空間に砂を固定し剣を作った。
「てえぇい!」
砂の剣を持ち、テルに向けて振るう。
「次は砂の剣ね……」
テルは数歩後ろに下がりながら剣を避けて携帯を操作した。
カチカチカチカチ
先程の半分も時間はかからず、
ピッ
ボタンを押した。
ドカン!
剣が爆発した。
「うぷ!」
砂が舞い散って互いが見えなくなり、直ぐ近くにいたミカは目をつぶった。
その間にテルは、携帯のボタンを押し続ける。
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ
「えーと……はぁ……やっぱり人の爆発は大変だな…………よし、出来た」
テルの死因は、爆発。
密室にガスを貯めて、ライターの火をつけたのだ。
その前にテルは携帯を操作し、友達全員にメールをした。
内容はただ五文字、
さようなら、と。
そして携帯を握ったまま火をつけた結果、携帯はテルの思い形見となった。
携帯にメールをうち、送信するとうった物や指定した場所に爆発を起こす事が出来るという能力。
履歴を使えば、同じ場所に連続して爆発を起こすか、砂の槍を、砂の剣に書き換えるという新規にメールをうたずに爆発させる事も可能だ。
そしてテルは今まさに、ミカの周辺を爆発させるメールをうち終えた。
「じゃあね、妹さん」
砂にまみれて見えないが、ミカの居そうな方向に携帯を向けて、
ピッ
ボタンを押した。




