第46話
「よろしくお願いします」
そう言って彼女は頭を深々と下げた。
「よ、よろしく…」
……うん。やはり私に似すぎている。
年上そうに見える人には必ず敬語を使う所までそっくりだ。
やっと見付けた違いは、髪の色だ。
長さは似ていても、私は青混じりの白髪、彼女は赤混じりの黒、そこだけだ。
まだ思い形見も死に方もしらないけれど、それぐらいしか違いが見当たらなかった。
彼女は何者なんだろう……
彼女は頭を上げて、
「私の名前はミカっていいます」
名前を言った。
「私はツバサって呼んで」
「はい、よろしくです。ツバサさん」
「ツバサでいいよ、多分同い年でしょ?」
「えっと……私は17なんですけど」
「うん、同い年だね」
実際はそうは見えなかった。
「で、では……ツバサ」
「うん、よろしくね、ミカ」
「は……はい!」
言って彼女―――ミカはにっこりと笑った。
名前を呼ばれたことを喜んだ……とは、少し違った気がした。
さぁ!
全ペアが出来上がった所で対戦順を発表するぜ!
ちなみに番号から順番に戦う訳ではなく、こちらが勝手に呼んだ番号同士が戦ってもらうぜ!
何か妙に暑苦しそうな司会の声が話している中、私は驚いていた。
私とミカは、似すぎていたからだ。
ペアでの戦いという事でお互いの思い形見について話していたら、まさに偶然だと思った。
ミカの死因は――――
ビルからの飛び降りだった。
しかも能力は私とは違い、空間で固めるというもの。それにより思い形見の砂を固めて武器を作るらしい。
でも驚いた事は驚いた。死因まで一緒とは……
さぁ!
まずは始まりの第一回戦の始まりだ!
番号六番と十四番はコロシアム中央に集まってくれ!
「六番、私達だね」
「はい、頑張りましょう」
私達はコロシアム中央へと歩き出した。
相手は既に来ていた。
片方には見覚えがあるハサミを持った大柄な男。片方は初めて見る無手で細身の男だ。
さぁ!
戦ってもらうぜ!
第一回戦六番と十四番、試合開始だ!
カーン!
ゴングが鳴り響いた。
瞬間、大柄な男がハサミを剣に変えた。細身の男も構えている。手には何も持っていない、肉弾戦か? そんな訳はないだろうけど……まあいい。
私達は私達のやり方でやるだけだ。
「それで、ミカはあの2人と戦った事は?」
「えっと、あのハサミの人は初めて見ます」
「ならミカはあの人と戦って、あの人はハサミによる近距離戦だから」
「はいです、お気をつけて、あの人はコンクリートを使ってきますから」
「分かった」
私達の作戦は、1人が1人に戦いを挑むというもの。あちらのコンビネーションを崩す事が目的だ。
結果、一回戦を突破した。