第44話
これはもしもだけど、最初でどちらかが殺られて消えてしまったらもう片方も消えていたよ。
しかし彼等はついてる。どちらかが優勝すれば、もう片方も生き返るからね。
これがハカセの言ったスノウとマチの成り立ち方だ。
2人は互いに互いを思って成り立っている。
他の参加者もそうだ、誰かに思われてできている。誰かに思われているからここに存在して戦っていられる。
私は、誰なんだろう……
やっぱり……あの人、なのかな?
おそらく、彼以上に私を思っている人はいないだろう……と、思う。
それほどに、私たちは―――――――――――――
暫く歩いた気がする。
途中、幾人もの参加者に会い、戦った。
ある者は包丁、ある者は彫刻刀。カッターを持った女性とは二回目の出会いだった。
またある者は薬の瓶、ある者はホースだった。
色々あるな……死に方と思い形見。
ホースってどうやって死んだのか最初は分からなかったけど、戦ったらガスだと分かった。
戦いながらの徒歩が続き、私は扉を見つけた。初めて見る扉だ。
引いて入るか押して入るか、どちらもすれば良いのだが。
まずは、引いて入ってみた。
チーン
鐘を叩いて手を合わせた。線香の香りが鼻を通る。
あの人が逝ってから早二年、三回忌が終わり、一段落したこの時期に、私は決心しました。
いつまでも貴方の事を思い続けていてはいけない。それは貴方も安心していけないだろうから。
死んだ人は帰って来ない。それは決まった事。病気で亡くなった貴方もそれは例外ではない。
だから私は、決めました。
貴方を思っていると、私も貴方も先に進めないから……
私は、貴方を追います。
パンッ
そこはまるで、闘技場だった。
生で見た事はないが、俗にコロシアムと呼ばれる建物が、目前に建っていた。
周りを見てみると。今までで戦った事のある者無い者。
そして、あの3人がいた。
帽子を被った男と、袖にブイを巻いた少女と、頭の左右にリボンを巻いて人形を2つ抱いている女の子だ。
見た限りでは仲良く話しているようなので、私は3人に近付いた。
それにまず、帽子の男が、
「おぉ! ツバサじゃないか、久しぶりだな!」
続いてブイを巻いた少女が、
「うわぁ~本当に久しぶりだね、ツバサ」
最後に頭の左右にリボンを巻いた女の子が、
「……久しぶり」
各々挨拶してきた。
帽子の男がレイン。
ブイの少女がミナト。
リボンの女の子がマイ。
3人共一度戦った友だ
「こんな所に集まってどうしたの?」
私が尋ねると、
「え? まさかツバサ、知らずにここへ来たのか?」
「そうだけど」
「じゃあ教えてあげるよ、あのね、今からここで大会が始まるんだけど……その賞品がなんと!」
「……二回戦の突破」
勿体ぶるミナトの横で、マイがぼそりと言った。