表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/93

第42話

既に吹雪は止んでいた。

先ほど私が登っていた丘にマチが登り、私とスノウが対峙する……

という事にはならなかった。

もとい、私がしなかった。

「本当に良いのか?」

「はい、時間短縮になりますからね」

「だからって……」

私は、マチとスノウの2人を同時に相手する事にしたからだ。

「構いません。さぁ……いきますよ」

私は十字架を構えた。

「まぁ……そこまで言うのなら」

スノウは銃を手に持った。

「……容赦はしないわよ?」

マチはマッチを取り出した。

「「行くぞ!」」



マチとスノウ。2人を同時に相手にしたら、分かった事がある。

まずは2人の能力。

スノウは雪道で銃を撃って自殺した。

道具は銃、能力は雪玉で、触れた相手の体力を奪う毒系統の思い形見。

あの足下に撃った雪玉の意味も分かった。スノウは死ぬ時に銃で頭を撃ち抜き、血が染み込んだ雪が能力となった。

雪玉を雪に地面に撃って、染み込ませる。その染み込んだ雪玉を操り下から攻撃するというもの。しかしその際には足が地面に貼り付いてしまうという条件付きだ。

マチは雪道で倒れて凍死してしまった。

道具はマッチ、能力は氷で、擦られたマッチから氷が現れて盾を作る変化系統の思い形見。

あの時マチが何か呟いていたのは、まるで物語のような新たな力だったのだ。

マッチ売りの少女、マッチを擦って暖かい物を思い浮かべる話なのだが。まさにそれだった。

マチが呟いていたのは、

『私は望む、火の矢を放て』というもの。

つまり擦ったマッチに欲する物を望むと、それが氷の盾から現れるという能力だ。しかし、暖かい、もしくは熱い物限定らしい。



そしてこれは、私の勝手な考えなのだが……

マチとスノウ、2人は互いの話に出ていた兄妹だ。

親と別れた事、旅に出た事、雪国で離ればなれになる事、互いの兄と妹の特徴が似すぎている事、一致する事が多すぎる。もし違うというなら理由が欲しい程にだ。

そして、それを決定付けるのが、今のこの戦いだ。

息が合い過ぎている。

マチを相手にするとスノウが、スノウを相手にするとマチが私の後ろをついてくる。油断すると直ぐにやられてしまうだろう。

しかし分からない事もある。

何故マチは気づかないか、何故スノウは気づかないかだ。

マチはスノウの見た目が似ていると言った。普通なら見た瞬間に分かる筈だから……

もしかしたら……本当に分からないのか?

互いにそうだと気付かないのか?

だとしたら、先程の2人の戦いは兄妹ゲンカだ。

互いに分からず行う、最悪なパターンの、命をかけたケンカだった(いや、もう死んでいるけど)。

知らなくて良かったのかもしれないな……



さて……やはり相手の事を知ると、戦いやすかった。





ズザザザザザザ




ザシュ

「くっ……」





ドスッ

「うっ……」




マチとスノウに、私は勝った。

実際、2人になら負けてもいいと思ったけど……やはり勝負だからな。

2人のためにと同時に戦ったが、やはり辛いな……次からはやめよう。


私は2人が起きるのを待ちながら、ある事を考えていた。

2人が起きたら、あれを伝えようか……どうしようか。

互いに離れ離れになり、互いを求めて歩き、互いに別々の場所で、死んだ。

そして、ここで再開した。夢のような再開だ。

それが2人の為になるのならば……


……そうだな。







やめておくことにした。

よく考えたら、確証も無いわけだし。

それに……それが2人の、為になるのだから……


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ