第41話
その後私達は、何故か座って談笑していた。
確かにダメージ回復を待つ為に私と戦わないのは分かる。しかし、それだけではなかったようだ。
「いや~、こんなに誰かと話したのは久々だよ」
「わたしもよ、普段は戦ったらそれっきりだからね」
「えっと……ここに私が居てもいいのですか?」
「おぅおぅ、大丈夫だよ」
「うんうん、大丈夫よ」
「はぁ……」
この二人、すっかり仲良くなったようだ。
「せっかくだ、互いに改めて自己紹介しようぜ」
マチ、年齢は13
スノウ、年齢は15
そして私、ツバサ、年齢は17
そんな簡単な自己紹介が終わった後に、私達は普通ならしない紹介を始めた。
「俺は、銃で頭を撃ち抜いた」
「私はホテルから飛び降りました」
「わたしは……雪道で倒れて」
互いの死因紹介だ。
普通じゃないなぁ……
そんなことを考えていたら、ふとスノウがマチに尋ねた。
「そういや、何で俺とツバサの戦いに水を刺したんだよ?」
忘れてた。それが今に至る発端だ。
私もマチの方を向くと、
「……それは」
彼女は語りだした。
親と離ればなれになった事絵を描く事が好きな兄がいた事、
その兄と旅に出た事、
途中の雪国で、兄と離ればなれになった事、
その後はマッチを売りながら兄を探していた事、
そして、倒れた事を。
「……」
悲しい話だ。涙が出るなら流しているだろう。
「親が居なかなったわたしにはもう、お兄ちゃんしか……いなかったから……でも……見付からなくて……」
「……」
スノウが下を向いている。何かを言う気配は無い。
なら、私が言おう。
「それで、何故戦いに水を刺したの?」
「……スノウが……どことなくお兄ちゃんに似ていたから」
私はスノウの方を見た。
「……なぁ、マチ?」
すると声を出した。
「何よ?」
「そのお兄さんとは雪国で離ればなれになったんだよな?」
「うん」
「その後……お兄さんを探してどっちへ向かったんだ?」
「え? えっと……あれは……西かな?」
「……そうか、俺はそのお兄さんに似ているのか」
「うん」
「……そうか」
「どうかしましたか?」
「いや、何でも……次は俺の番だな」
スノウは語りだした。
自分にも妹がいた事、
雪道を歩いていて自ら頭を撃ち抜いた事を。
「最初で最後の作品だったんだが、誰にも見られないかもな」
「それは、どこの雪道ですか?」
「忘れちまったよ、どこかの雪道だ……さてと」
スノウは立ち上がり、
「そろそろ戦うか、まずは俺からだ」
「……はい」
……なるほど、そういう事か。
だったら……