第39話
先手はスノウ。
「どんな能力か知らねぇけど、コレを避けてみな!」
銃口をマチに向けて放った。
パン パンパン
計三発、普通銃弾を目で追える筈が無い、しかし、その銃弾は見えた。
速度が遅いのか、この戦い仕様なのか、はたまた私達の目が凄いのかは分からない。
銃弾が見えているからか、マチは動じない。それどころか、マッチ箱からマッチを一本取り出し、
シュッ
箱の側面で擦った。
ボッと火が灯り、明るく……暖かくなり……
……それが普通だ。
しかしあれは思い形見、普通じゃなかった。
擦られたマッチから出たものは――――氷だった。
マッチの先端に小さな氷が灯っている。
それをマチが前へと投げる。
次の瞬間、氷が膨張した。
まるで酸素を吸収して燃え盛る炎のように膨張した氷は盾となり、
カシンッ カシンッカシンッ
銃弾からマチを守った。
「なっ……」
スノウも驚いているようだ。
「さぁ……どうするのかしら!」
マチの能力はマッチによる氷を精製しての様々な攻撃か。
もしかしたら、マチという名前はマッチから来てるのか……?
それはさておき、マチの攻撃はなかなか応用がきくだろう。氷を膨張させて使用するが、飛ばした攻撃をしない所を見るに、距離は投げられる範囲だけ、変則的中近距離タイプだな。
一方スノウは、先程から銃による攻撃しか行っていない。まさかそれだけではないだろうとは思うが……
「何よその簡単な攻撃は? わたしを舐めてるの? 手加減はしないんじゃなかったの?」
マチが挑発している。それに対してスノウは、
「分かったよ……本気で攻撃してやるよ!」
挑発に乗り、銃口を向けて放った。
パンパンパンパンパン
計五発、先程より弾数が増えただけで速度に変わりはない。
「……はぁ」
マチはマッチを擦り、
カシンッカシンッカシンッカシンッカシンッ
先と同じ方法で銃弾を防いだ。
「それが本気? 弱すぎじゃないの……よく最初の時に勝てたわ…」
「隙あり!」
パン
マチはこの時油断していて反応が遅れた。
氷の盾に隠れて近づいたスノウによって、銃弾を心臓に受けた。