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第32話

マイにナイフは、当たらなかった。

「なっ……」

女性も驚いている。無理も無いさ、全く同じ姿をした人形がマイをナイフから守っていては。もちろん先ほどの人形はその場から動いてもいない。

あれは頭のリボンが左、最初に見た時は小さかったマイが毒を入れ直した方だ。大きさは右リボンと変わらないのは、毒を入れきったからだろう。

「……今度はこっちの番」

マイの体は動かない、しかし人形は動ける。こういう思い形見のため、元よりマイに戦闘力は少ないだろう。

人形は前と後ろから女性を捕まえた。

「くそ……離しなさいよ!」

右にリボンの人形が後ろから女性の両手を取り、左にリボンの人形が前から女性の腰に抱きついた。完全に動きを封じる。

「離……しな……さ……い」

これがマイの能力……人形が触れるとそこから毒を相手の体に投与する。

それが体に溜まりダメージとなって残り、知らぬ内に……

「は……な……し……な……」

倒れてしまう……




女性は気を失った。

「……私の勝ち」




マイが女性を倒した後、ミナトが私とマイのナイフを抜き動けるようになった。

まず話になったのは、

「この人よね……」

私が鎖で巻いていた男だ。

「私、初めて見たよ」

「……私も」

もちろん私もだ。

……だから、


ドスッ


私は勝った事になった。

続いてミナトが、


シパッ


続いてマイが、起きたばかりの男を倒した。

今まで彼らにやられた人への報いにと思い、彼らと同じ方向で勝っておいた。

おそらく、もうこんなことはやめるだろう。

もちろん、彼女にもだ。












私達3人はあの部屋に戻って、食事をとっていた。

あの2人はそのまま、つまり置き去りにしてきた。

そして、今になって思う。

負けた相手は、起きるまでは見ないか、見ずに去る方が良い。

これは私だけに限らず、しかしマイには関係ないだろうと思われる。

それはダメージ再生の時を言っているのだが、マイの場合、体に回った毒が浄化されて体に変化は無い。

しかし、私やミナトの場合は傷口がある。血は出ないが、傷口はあるのだ。

私がミナトやレインに勝ち回復を待っていた時……


見てしまった。


十字架の刺さったレインの腹が、


十字架を射し込んだミナトの左半分が、


修復されている様を、

細胞が動き、蠢き、繋がり、戻っていく。

血が無い分それは、はっきりと見えた。



見えてしまった。



見てしまった……





私は首を左右に振った。

タイミングを考えろ。今は食事中だ。

「どうしたの? ツバサ」

「ううん……何でもない」

誤魔化すように、サンドイッチを口に運んだ。

「……ツバサは……これからどうするの?」

缶ジュースを飲み干して、マイが尋ねてきた。

「私は……多分、さっきと同じだよ、手当たり次第戦いまくる」

「……そう」

「うん……だから」

マイが言いたい事は分かる。しかし、自分で言うまで待つ。

「……じゃあ、私と戦おう」

言った。

いずれ、行わなければいけない戦い、避けては進めない戦い。

私は何時だっていい、後はあちら次第。

その時は、今まさにきた。

「うん。正々堂々、一対一で戦おうね」

「……うん」

マイは立ち上がった。

「……行こう」

「うん」



レインと戦った広場、そこぐらいしか人目の少ない場所を知らなかった。

「さぁ勝負だよ、マイちゃん」

「……負けない」

「私もだよ……行くよ!」

十字架を構えて出方を待つ、予想はつく、

「……現れろ」

2つの人形が現れた。

右リボンと左リボンの人形。身長がマイと同じ、130センチメートルぐらいになっているが。中身を使ったからだ。でもまだ残っている中身は毒、触れたらダメージで、自ら動く、それが2つ。


……大変な戦いだな。


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