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第28話

……正直言いづらいが、小声で聞き取りにくかった。

でも、重要な部分は声が少しだけ大きくなっていた気がする。それをふまえて、マイの言った事を整理してみた。

年齢は10歳、小学四年生で、一人っ子。この容姿は、イギリス人の母とのハーフだかららしい。

病弱の為、学校にはあまり行けず。元より人付き合いが苦手で人形が話相手だったとか。

親が共働きで、1人で1日を過ごす事もあったらしい。

そして、死を選ぶ時。どうすればよいか分からず。医者に渡された薬を全て一度に飲んだらしい。

そのまま人形を握って、死んでしまったようだ……

「……なるほど」

薬による自殺、思い形見はあの人形だろう。

「……それでね……私の思い形見は……あそこにあるの」

え……?

マイが指差したのは、タンスだった。その手に持ってるのじゃないのか?

ミナトがその前に立ち、

「開けるよ?」

「……うん」

マイは首を縦に振って答えた。

そしてミナトは、タンスを開けた。


開かれたタンスから現れたのは、人型の何か。それは開かれたタンスから自ら動き(・・・・)、降りたった。

見た目はやはり、マイが持つのと同じ西洋人形。あれがいわゆる、ゴシック何とかと言う服装なのだろうマイと同じ黒と白の服に身を包んだ、ミナトと同じぐらいの身長をした人形がマイの横に回った。

「……私の思い形見」

人型の髪に触れながらマイは言った。

「……元は、これぐらいの大きさだったの」

続けて自らが持つ人形を撫でる。

「え? どういう意味?」

人形の大きさが変わる何かなのか?

改めて大きさの違う人形を見る、それで気付いた。

大きさは全く違うが、マイの隣の大きな人形と、マイが抱いてる小さな人形、2つはそっくりだった。

いや、少しだけ違うな。頭に付けているリボンが左右逆だ。

「……あのね」

マイが語りだした。


マイは死ぬ際に、この2つの人形を握っていて、それが思い形見となった。

その能力とは―――――――人形の自動制御と、毒の投与。

大きい人形の方に、まるで空気の入った風船のように毒が入っているそうだ。

その毒は相手が触れるとダメージとなるもので、人形に触れる程に毒が体に移り、知らずのうちに倒れてしまうらしい。

今マイが人形を抱いているのは、その人形に毒を投与しているらしい。

「……」

説明を終えたマイは下を向いて人形の頭を触った。


コポポポポポポ


その手から人形に、毒が入っていの音が聞こえた気がする。

「……」

なるほど、人形を使った遠距離操作タイプではなく。毒を入れた人形を使った至近距離長時間戦闘タイプと言ったところか。

「マイちゃんはね、私と戦った時に毒を使い切っちゃってさ、こうして補充してるの」

ミナトが言った。

「ちなみに、勝敗は?」

「私の勝ち」

「そう」

「マイちゃんって本当に凄いんだよ、私に負けるまで負け無しだったんだから」

「それで、ミナトととの勝負で毒を使い切って、今は補充してるのね」

「そういうこと」

「……もしかして、それで一緒にいるの?」

「……それもあるけど、マイちゃんって、私の妹にそっくりなの。だから……何か放っておけなくてね」

「……なるほどね」

もともとは10歳の子供だ。私や、ミナトよりも年下の参加者が居るなんて思っていなかったし、七人兄弟のミナトは、妹のことを思い出したのもあるんだろう。

「……ゴメンね……ミナトちゃん」

「気にしないでよ、私が好きでやってるんだから」

「……ありがとう」

マイは更に顔を下に下げた。

「それとね、私がここにいるのは他にも理由があるんだよ」

「理由って?」

「……2人組の参加者」

マイが普段より大きな声で言った。

「言われた!?」

ミナトがショックを受けている中、マイの言った言葉を繰り返す。

……2人組の参加者?


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