第22話
私はハカセの下を訪れた。
モクの言葉を伝える為と、これからの事を考えて、私は黒い扉を開けた。
「おや、ツバサじゃないかどうしたんだい?」
「ちょっと、聞きたい事がありまして…」
まずはモクの言葉を伝えた。
「ふむ、もうそれに気付いた奴がいるのか、今回は早いじゃないか」
「早い? という事は昔からそうだったと?」
「そうさ、私が気付いたのは確か……半分戦った後ぐらいだったかな」
「という事は……」
「そうだね、そのモクとかいう少年の言葉は正しい」
「では、私の思い形見にもその力はあると?」
「そうなるね、まぁ出来る出来ないは使い手次第だがね」
そう考えると、モクはかなりの使い手という事だ。
首吊りのロープと、触れた物の木の根。2つを合わせた事により生まれたのがロープの生える木の幹という訳か。
「……」
「ツバサ、君は修行したいとは思わんか?」
ハカセが提案してきた。
「修行、ですか?」
「うむ、私で良ければだが少しぐらい稽古をつけてやらん事もない、どうする?」
「……」
ハカセは過去の参加者。その実力は決勝に進む程だ。
でも、それは過去の話……けどハカセのあの余裕は……
「……はい、お願いします」
「決まりだな、早速始めよう。こっちへ来たまえ」
ハカセは闇の奥へと入って行った。
私も後に続く、
「……」
深い闇の寸前で止まった。
何故か分からないが、ここに入ったら、何かおこりそうななく気がする。
「大丈夫だよ、気にせず入りな」
ハカセの声が聞こえる。
「……」
覚悟を決め、私は闇の中へと歩を進めた。
とても暗かった、目の前が見えない程の暗闇を抜けた先は、まるで図書館だった。
あの部屋よりも本と棚に溢れている場所、そんな場所の真ん中にハカセはいた。
「さあ、始めようか」
手には思い形見の本とペンを持っている。
私も十字架を構える。
「心配はいらないよ、ここは特別な空間でね、ダメージの概念が無いんだ。だからおもいっきりやりな」「……はい、行きます!」
私は間合いを詰めた。十字架を横にはらう、
コン
持っていた本に止められた。音からもわかるよう、意図も簡単にだ。
力は込めた筈なのに、なぜ……
でも、ハカセが何かしたのは見えた。
十字架が当たる前に、
本を開き、ペンで中に何かを書き込み、本を閉じた、だけ。
そして本が十字架を守った。
何が起こったのか……
とりあえず間合いをとった。するとハカセが、
「驚くのも無理はないさ、私の能力、せっかくだから言ってしまうが…」
右手を挙げ、
「この本に」
左手を挙げ、
「このペンで」
本を開き、ペンで字を書くふりをして、
「書いた言葉が実現、具現化するのさ」
と言った。