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第20話

「行くぞ!」

まずはモクが動きだした。

左手に何かを持っている、よく見ると、それはロープだった。

まるほど、首吊りに使ったものが思い形見になったのだから、納得がいく。

モクがロープを投げてきた、私も対処の為、鎖を放つ、

カツンッ

鎖とロープがぶつかり地面に落ちた。素早く鎖を引き戻し、モクの出方を見た。

その瞬間、

「……!」

気配を感じた。だが何もない、少なくとも左右には……

なら……下か!

素早く横に飛び、その場を離れた。


ドスンッ


そのつかの間だった。

そこに現れたのは、木の根だった。

改めてモクを見ると、左手にはロープを、右手には木の根を持っていた。いや、右手から生えていると言った方が正しい形だ。

根の先端部は地面に潜っているが、多分、横のこれだ。

なるほど、モクはロープで相手の目線を上に向け、その間に下から木の根を伸ばし相手を突く。

遠距離高威力タイプ。私と似て異なる武器……いや、思い形見だ。

「まだまだ行くぞ」

右手に持っている木の根が分離し、新たな木の根を出し、地面に刺した。

またさっきの攻撃がくるならば対策をとるだけだ。

鎖を螺旋状に作り、そのまま前に構え、その間に後ろに下がる。


ドスンッ


木の根が鎖の手前に現れたが、そこに私はいない。

木の根を確認してから右から遠回りでモクを目指した。

「そっちか」

モクが気付いた。だが予想済みだ。

螺旋状の鎖を左側からモクに向かわせ、右手に巻き付けた。これで木の根は封じた。

モクは左手のロープを伸ばしてきた、それを弾き落とした。

今がチャンスだ。

私は十字架を横に振るった。

しかし

「甘いな」

ガキンッ

「なっ…」

右手に巻いた鎖を使われて十字架を守られた。

……強いな、私が今まで戦った中で一番だろう。

「……でも、負けませんよ」

「俺もだ」

鎖をほどき、間をとった。仕切り直しだ。

「……1つ教えておこう」

モクが語りだした。

「俺達のこの力は、1つの武器と、1つの能力からできている」

いきなりなんだ? そんな分かりきった事を。

「この2つを合わせる事により、強大な力になる」

合わせる……それは私が十字架に重力をかける事ではないのか?

「それは必殺技と呼んでもいいぐらいの威力を生みだす……このようにな!」


ドン!


モクは両手を地面につけた。右手の木の根が幾本と、左手のロープが地面に潜っていく。

すると、またあの気配だ。

素早くその場を動くと、そこに木の根が―――――――現れなかった。

だが次の瞬間、

ドスンッ! ドスンッ! ドスンッ! ドスンッ!

私の四方に現れ、後ろに現れたそれに背中をぶつけた。

「くっ……」

その木の根の1つに十字架を向ける。

だが、甘かった。

よく見るとそれは、根っこではなく、木の幹だった。

そして木の幹から枝が現れた。いや、枝ではない、左右の幹からも現れたそれは、ロープだった。

「なっ……」

私は現れたロープに縛り上げられた。両手を縛られ、十字架も鎖も使えず、両足を縛られて身動きがとれなくなった。

「……悪いな」

下を向いたままのモクがそう言った瞬間。



                             




                                          

                             ドス



新たに現れた木の根が、私を貫いた。


オモイノカタミビト、ついに20話まで書いてきました。

この数は、前の連載作の終了した数と同じ、つまりこれからはその連載記録を書き換えていこうというのです。いつまで続くか分かりませんが、これからもお楽しみください。

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