第15話
元より私があんな性格になったのは、お母さんとお父さんのせい。もとい、おかげだ。
色んな性格をしてみた理由は、見てほしかった。見てもらいたかったからだ。
でもね、
見てもらえなかったんだ。
だから私は――――――
「見てもらいたかった、とは、どういう事だい?」
「私ね、七人兄弟の三女で、三番目なの」
「ほぉ、今にしては珍しい大家族だね」
「でね、基本的に親ってさ、一番上の受験とか、一番下の面倒とか優先するじゃん? 私ん家の場合は一番上が今年大学受験で、一番下が保育園入りたてで、中間の私達は特に……ね?」
「ふむ、分からなくはないね、構成はどんなだい?」
「長女・次女・私・四女・長男・五女・二男だよ」
「あ~それは分かるな、長女の大学受験、勝手の違う次女もまた別に、すると下の三女や長男は慣れてしまう、故にあまり見られなくなる」
「そういうものなの?」
「そういうものだ。人とは慣れたら油断する者だからな……その油断が怪我や様々な失敗を生むんだよ」
そう言ったハカセの表情が少し暗くなった。なにか経験があるんだろう。
「それが、私の死と関係があるの?」
「言わば慣れ過ぎだ。だが原因は親だけではない、ミナト、君にもある」
「私?」
「正直に言おう、君は……弱かったんだ」
「私が……弱かった?」
「いや、これは私達……つまり自殺者は皆、そうだ」
「……」
「そして君の場合は、見られたくてそんな事をしたのだろうが、効果は無し。結果が自殺、これは弱い者の考えだ」
それを聞いたミナトは、
「……だって、見てもらいたかったんだもん……だから考えて……色々やったのに……全然見てくれなかったんだもん。こんな私なら、居ても、居なくても同じでしょ?」
悲しそうな眼をして、反論した。
「……だからといって、死を選ぶのはどうなんだい?」
「あ……」
「それによく考えてみたまえ、君にそのロケットをくれたのは誰だい? 思いを込めてくれたのは誰だい? 今の君が、戦う為の力をくれたのは誰だい?」
「……」
「……まぁ、君が優勝すれば親は君をよく見てくれるだろうが、今は全く見ていなかった。とは言えないだろう? むしろ君が居なくなって探す為、他に手を回せずに困っているかもしれないよ? 君は迷惑をかける為に死を選んだ訳ではないんだろう?」
「……うっ」
「まぁやかましく言ったはいいが、私が言いたいのは、そんな悲しい話を軽く語らないでほしいって事だ、さきのミナトは軽く語りすぎだ」
「……う……ごめんなさい」
話が終わった途端に、ミナトは泣き崩れた―――――――――いや、泣いていないなかった。
「……あれ?」
ミナトも不思議に思ったらしい、そこにハカセが、
「仕方ないさ、私達は、涙が流せないのさ。これも、研究対象だよ……」