第14話
「おや? ツバサじゃないか、どうしたんだい?」
ハカセは椅子に座って本を読んでいた。
「こんにちはハカセ、少し聞きたい事があって」
「ふむ、その前に一つ、君は誰だい?」
ハカセは私の隣にいるミナトを見た。
「こんにちはハカセさん。ミナトっていいます。ツバサの友達です」
「ほぉ、ミナトちゃんね、よろしく、私の事はハカセと呼んでくれ」
「了解です、ハカセさん」
「ハカセ、で結構だ」
「はい、ハカセ」
「うむ、それで? 聞きたい事とは何かな?」
「はい、これに付いてなんですが…」
私とミナトはペンダントを出した。
「これに正式な呼び名はあるのですか?」
「……」
訊いた瞬間、ハカセは黙り込んだ。部屋には沈黙が響く。
「……もしかして」
ミナトの言葉に、ハカセはようやく口を開いた。
「……それはね、いわゆる正式名称というものは無い、あえて呼ぶなら……ふむ…」
「……もしかして、今考えていません?」
「……うん」
ハカセは正直に答えた。
「仕方ないだろう、自殺した時に持っていた物で、それを武器に戦う、それについてはよく分からんのだよ」
「死ぬ間際に持っていた物というぐらい、ってことですね?」
「うむ…そういえばこんな話がある。その者は死んだ時に、飼い犬に覆い被さったらしいが…持って来たのはその首輪だけだったらしい」
「生き物は駄目、ってことですか」
「いい機会だ。私達で名付けてしまおうか?」
「え? そんな簡単に…」
「良いのさ、研究者の私が良いと言ったんだ。誰にも意義は問われないさ」
「そういうもの…ですかね?」
「そういうものだ。さあ、考えようじゃないか」
それから数分後
「では、これで決まりだ」
「はい」
「意義は無いです」
私達の持つ武器の名は、心残りの塊、誰かからの餞別。
そして、思い形見と名付けた。
「…で、この思い形見は物に込もった誰かの思いが力になると」
「その考えは少し違うな」
ハカセが語りだす。
「名前は無かったが、思い形見関連で武器についてで調べた結果はあるのさ」
ハカセの言った事はこうだ。
私達が死んだ時に持った物、死んだ時に手が触れた物が思い形見になる。つまり力が込もっているのは物ではなく、手の方なのだ。
また、その手の力が、私達が選手になれた理由、心残りなのだ。
「ちなみに、私の思い形見はコレだ」
そう言ってハカセが取り出したのは、本とペンだった。
「ちなみに私は過労死でね、能力は言うなと言われているから、聞かないでくれ」
「それで、心残りは…」
「ふむ…恐らく研究への探究心だな、私は研究と結婚したいと思っている程の研究オタクだからね」
「ハカセってスゴいな~いったい幾つなの?」
「もう忘れたね、何年も研究に没頭した私に年齢は関係無いのさ」
「…ただ言いたくないだけじゃないの?」
「…コホン」
あ、ごまかした。
「…ところで、ミナトくんはどういった心残りを持っているのかな?」
そしてスルーした。
「私? 私はね」
ミナトはペンダントを両手に持ち、両方共開けた。
「これはね、多分お母さんとお父さんの思いが入っているんだと思うよ?」
ミナトは語り出した。
もうすぐ年末ですが、皆さんはいかかお過ごしになる予定でしょうか?
自分は、変わらずに投稿を続けていく予定です。別に予定が無いわけではないのですよ?
よろしければ、皆さんのご予定を教えてください。