夢チャンネル
『嫌な事があった日には、楽しい夢で遊びましょう!』
白しか存在しない空間を歩くユメミちゃんの上方から、羽根のように軽やかな影が落ちてきた。
〈フワリ……〉
音はしていないが、脳裏のイメージとしてそんな擬音が響いてきたのだ。
落ちてきた小さな影は、ユメミちゃんのパジャマのポケットに綺麗にスポン、と入り込んだ。
半月の形のポケットの底が少し沈んだけど、不思議と重さは感じられない。
『重くないし怖くもない!
それどころか楽しい気分になる!』
突然飛び出した大きな独り言にも、ユメミちゃんは全然驚きはしない。
『不思議……何故か言葉が自動的に出てくる!
まるで演劇の舞台にいるみたい!』
わざとらしく出てくる声なのに、ユメミちゃん自身の意志で話しているような気持ちになってくる。
『楽しいでしょ?
夢チャンネルの世界に来れば、どんなにつまらない日を過ごした人でも忽ち話し出すのよ!』
ポケットから顔を出したのは、モコモコしたファンシーなヒツジ。
キラキラした星模様のナイトキャップを被っている。
ヌイグルミのようで、本物のようなヒツジだ。
『夢チャンネルにようこそ!
今夜はめいっぱい遊んで、夢の時間を楽しみましょう!』
ユメミちゃんの中で、遠い記憶が廻り出す。
このヒツジとは前にも遊んだ事があり、それから何年かは夢の事を忘れていたのだ。
『ドリーメーちゃん!
久し振り!
元気そうだね!』
『久し振り、思い出してくれて嬉しいわ!
忘れていたみたいだから、初対面の時と同じ言葉を云ったのよ!
覚えてる?』
『覚えてるよ!
あの日と同じ挨拶だね!
さあ、夢見る子供の為の夢チャンネルで、たくさん遊ぼう!』
何年か振りに再会したヒツジのドリーメーちゃんと遊べる日が再び来て、ユメミちゃんは心から楽しくて仕方がない。
『朝になるまで思いきり、最初はどこから回りましょうか?』
『先ずはね、星の階段を下まで上ってって、広場を泳いで、湖をスキップで駆け回るの!』
ユメミちゃんもドリーメーちゃんも思う存分、夢チャンネルの世界で楽しく遊び出す。
夢のチャンネルに心を合わせたのなら、子供は勿論の事、大人も子供の姿になって一晩中遊ぶ事が出来るのさ。
夢チャンネルに入る方法なんて簡単、簡単。
眠りながら心は起きていて、夢のチャンネルを『Ζ』に合わせるだけなんだから、皆もどうぞ試してみてね!
私、藤乃が好きな某番組『みんな♪うた』より『まっくらも☆のうた』の歌詞をイメージして書いた物です




