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推しの悪役令嬢なので全力で守ろうと思います!  作者: 小鳥遊
推しのために生きていました
28/89

過保護

「違います。わたしが必要ないと料理人に言っているのです。」


「どうしてだ?」


「…元々少食でお昼は食べなかったのです」


「にしてもあなたは細すぎる。もっと肉をつけろ」


「いえ、これ以上余計なものがついたら醜くなってしまいます…」


これ以上公爵に醜態は晒したくない


それに、見た目が原因で公爵に突き放されるのは、もっと嫌だ。


「何を言ってる?お肉は余計なものではないぞ。女性がより美しくなるためにある程度必要なものだ。それに例えどんな姿でも、ハンナ嬢自身は変わらないだろう?」


どうして、そんなことを言えるのだろう。公爵はわたしに優しすぎる


それが当然だと言わんばかりのように、優しく手を差し伸べてくる。


でも、その優しさは怖い。その手を掴んでしまうと、優しさに慣れてしまうと、元に戻った時、わたしは正常でいられないだろう


だから、その手を掴む訳にはいかない


「…ありがとうございます。では、わたしも昼食を食べますね」


これは半分本当で半分嘘


この言葉の意味は、公爵のいる時だけ昼食を取るという意味


色々省いて言ったから公爵からすれば、これからは昼食を取るという意味に聞こえただろう


"これでいい"


「ああ、そうしろ。さて、そろそろ食べ終わったようだし、片付けは侍女に任せて俺たちは執務室に向かおう」


嘘をついているのは申し訳ないけど、これ以上公爵に心配をかけたくない。


「はい。公爵様、では、杖を取っていただけますか?」


「ん?自分で歩こうとしてるのか?」


「もちろんです」


何か間違ったことを言っただろうか


まさか、杖を取ってと言ってしまったこと?


確かに、これは侍女にお願いするべき事なのに、謝るべきか。


「あの、公爵様…」

「ハンナ嬢」


"え?被った…?"


「は、はい…」


「俺はあなたが起きた時に言ったはずだ。連れて行ってほしいところがあれば俺が連れて行くから1人で歩くなと。」


"…そういえば、そうだったような…"


でも、どうやって公爵は連れていくんだろう。

そんな方法、この世界にあっただろうか


「では、どうやっ…て?!ちょっと、公爵様!」


"嘘でしょ…?まさかのお姫様抱っこ?"


あろうことか公爵様の位である人がわたしなんかをお姫様抱っこなんて大丈夫か。


それにこの体勢、全く慣れない


前世も今世も、お姫様抱っこなんてされたことがないのだから。


「ほら、しっかり捕まっていないと落ちるぞ。俺の肩に手をかけて。」


「こ、こうですか?」


「もっとくっつけ」


「えっ…と……?」


お姫様抱っこ…こんなに難しいものだったのかと新たな学びを得ることが出来た。


それと同時に、これからもこうやって運んでもらわなければいけないのかと恥ずかしさと申し訳なさを感じた。


「よし、行くか」


「はい、、、あの、公爵様」

「ん?」


「重くないですか?やっぱりわたしが歩いた方が良いのでは…」


「ハンナ嬢、あなたはもう少し甘えるということを覚えた方がいい」


『もう充分甘えさせてもらっている』と言ったら、公爵は怒るだろうか


『これのどこが甘えているというのだ』と返されそう。


どうしてここまで優しくするのだろう。


わたしなんて公爵からすれば、いてもいなくても変わらない存在なのに


"やっぱり…婚約破棄、念頭に置いておこう"


じゃないと、いつまでもこの優しさに触れてしまいそうになる。


公爵は、わたしには勿体ない。


「ハンナ嬢、…?」


「あ…!ありがとうございます」


どうやら考え事をしている間に執務室に着いていたようだった


「では、下ろして頂いて…」

「ダメだ」


「はい?」


"なぜ?"


わたしの頭に浮かんだのはこの2文字だけだった。


仕事をするために執務室に来たものを、何故わたしを下ろさない。


今から公爵は何をしようとしているの?


「ふぅ」


"いやいや、『ふぅ』じゃないです"


わたしがどうして内心こんなに焦っているのか…それは公爵はソファに腰を下ろしたからだ。


……わたしを抱えたまま…


この体勢でいる意味があるか。……ないだろう。普通に座った方がやりやすいはずだ。なのにわたしを下ろそうとしない。


それどころか、わたしを離すまいと腕でわたしを囲っている状態。


「公爵様?」


「どうした」


どうしたと言いたいのはこちらの方だ。


「何故わたしを抱えたまま業務を?」


「こっちの方が捗るから」


"絶対ない。それはない。"


やりにくいのは誰がどう見ても明らかだろう。しかも、セバスさんがこっちを向いてそのまま固まっている。


この状況以上に気まずいことがあるだろうか


「えっと、セバスさんも見ていますし…」


ここは正当な理由を言って下ろして貰おう。


「セバス」


「失礼致しました、旦那様。奥様とごゆっくりお過ごしください」


"へ?"


今何かとんでもない勘違いをされた気がする。そんなつもりで言ったわけじゃなかったのに。


「さあ、誰も見ていないからこれで集中出来るな」


なにが楽しくてそんなにニコニコしているのか。わたしはセバスさんへの申し訳なさでいっぱいだ


とにかく、この理由じゃ通じなかった。次は…


「それだけじゃありません…!わたしを膝の上に乗せては重いですし公爵様の足の負担にもなります。」


「ハハッ…!やはりハンナ嬢は面白い。」


何を笑っているのか。わたしは至って真面目だ。そんなわたしの心を見透かしたように公爵が淡々と話してくる


「あなたは重くなどない。むしろ軽すぎるくらいだ。それに、俺は騎士だ。ハンナ嬢の体重

くらい支えられなくてどうする。」


"うっ…"


こう言われてしまってはもう何も言い返せない


それにしても、公爵も少し意地を張るところもあるのだと意外に思った。


でも、それにしては意地の張るところを間違えてはいないだろうか?


「ハンナ嬢は…」

「?」


「ハンナ嬢は、俺の膝の上に座るのは嫌か?

それなら仕方ないが…」


なんだろう。この公爵が子犬みたいに見えてきた。


甘やかされているのはわたしなのに、何故か公爵を甘やかしてあげたくなる。


「いえ…!公爵様がお邪魔でないと仰るなら、

わたしは大丈夫です」


"大丈夫ではありませんが…"


だって、距離感がバグっている


恋愛で結ばれた結婚ならまだしも、わたしたちは圧倒的な政略結婚だ。


政略結婚にしてはわたしたちは距離が近すぎるのでは


わたしが想像していたのは、もっとこう…淡々と作業するような、そんな感じだったのだけれど、どうやら公爵は違ったようだった。


まあ、わたしは公爵に救ってもらった身なのだから、わたしが出来ることは全て公爵家で役立てて行きたい。


この行為が公爵の役に立つのならいくらでも出来る。


すると公爵が安堵した顔で優しく撫でるような声音と口調でわたしに言った。


「良かった」


ただその一言を紡ぐためだけの顔


どうやらわたしは、この顔に弱いようだ。

見てくださりありがとうございました!

次話も見てくれると嬉しいです!

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