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針棚へ
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じいさんが亡くなって、あとのことをきいていた村の人たちは、ヒコザイの骸を死に装束でしたて、筵で幾重にもまき荷車にのせると、重しの石までつけてくれた。
針棚までいっしょに押していこうとも申し出てくれたが、ヒコイチは断わった。
明日になって陽がのぼってからゆけよ、といわれたが、みなが帰ってすぐに刀の入った袋をとりだして爺さんの横におき、満月の明かりの中、出発した。
筵でくるまれたじいさんをみながら朝を待てなかったからだ。
針棚が近くなり、坂道がきつくなりはじめたとき、引くものが急に軽くなって驚きふりむくと、笠をかぶった男が車を押していた。
やめてくれ、と頼むこどもに、自分は坊主であるからこの亡くなられたかたの最後をみとどけよう、と申し出る。
なんだか暖かい声でそんなことを言われ、幼いヒコイチはつい、うなずいてしまった。
針棚に着き、いざ、じいさんを海に落とそうとなったとき、坊主が苦くわらいながら、重しでつけた石をとり、先に海へと放ってしまった。
怒ったヒコイチに片手をあげてみせると、朗朗と、きいたこともない節の、経のようなものをあげはじめた。
すると




