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97.大変だけど、村のためだから

ノガワは少し雑談のような話を店員としてから、店を離れる。

 ーーはい。ラウス。お肉だよぉ~。

ノガワは、ラウスに幾つか串焼きの肉をあげつつ、自分も食べる。

それから、


「こんにちはぁ~。良い匂いだね~」


「おお!坊主!これは、この村の名産、魔物肉のあぶりだ。タレをシッカリとしみこませて、表面をほのおのまほうであぶった力作だ。どうだ?買ってくか?安くしとくぞぉ!」


「ほぇ~。美味しそうだね。じゃあ、1つ貰えるかな?」


「毎度あり!!」


店員はそう言うと、大きな肉の塊を、大きな包丁で削ぎ始めた。

 ーーす、凄い。ケバブみたい。

ケバブというとオシャレな気がするかも知れないが、かなりこの店は田舎な雰囲気を漂わせている。


「名産って事は、……かなり儲かってるの?」


最後の方を小声にして尋ねてみる。

すると、それを聞いた店員はにやりと笑って、


「それは勿論、………あんまり儲からねぇんだよ。北からの商人が減っちまって、材料費が高くなってるんだ。北の奴らにも困ったもんだよ」


「ああ。それは困るねぇ」


ノガワはそう言いつつ、心の中では達成感を感じていた。

 ーーよしよし。計画は成功してるみたいだね。材料費を高くできなら、生活は困窮するよねぇ。

とても順調に簡易人側を弱らせられているようだ。


「あの盗みをするガキたちだって向こうから肉なり何なり運べば、良い金額を貰えるだろうにな」


「おおぉ~。それはそうだねぇ。……まあ、あんな子供に、そこまで考えるのは難しいでしょぉ」


「まあ、そうなんだけどなぁ~。あの光景を見てると、もう少しやり方があったんじゃないかって、自分のことでもないのに思っちまうんだよ」


感情移入しやすい人のようだ。

ノガワは適当に相づちを打ちつつ、雑談を続ける。

そうして、この村や、この辺りの情報を集めたりした。


さて、気付いただろうか。

最初に話をした店員と、今の店員、意見が逆なのだ。

1人目はどちらかと言えば、北に否定的な感情を持っていて、2人目は、肯定的とまでは言えないが、完全な否定ではない感情を持っていた。


つまり、同じ東の国、しかも、同じ村の中でさえ、意見に大きな違いがあるのだ。

これは当然のことではあるのだが、だからこそ、その壊し方を知るものも多い。

 ーーこの意見の対立を煽れば、この村、いや、この国は、2つに大きく分かれてくれるだろうね。


「………さて、じゃあ、僕はこの辺で」


「おう。また来いよ!」


「この村に来たらねぇ」


ノガワは店員に手を振り、露店から離れていく。

そしてまた、人気の無いところでラウスに食べさせて、通りに戻る。

 ーーん。もうあの男の人たちはいなくなったのかな?


通りに戻ると、目立っていた子供と男性たちの姿が消えていた。

もう叱り終わったのだろう。

 ーー叱るのは良いけど、その後はどうなるのかな?怒られても、結局資金面の問題が解決しなかったら、根本的な問題の解決にはならないよね。きっとそれじゃあ、再発防止にはならないでしょ。


「………おい。ガキ」


「ん?何~?」


ノガワは、振り返る。

そして、直後に後悔した。

絶対に、聞こえなかったフリをしておくべきだった、と。


「え、えぇ~と、何のようかなぁ?」


ノガワの目の前には、先ほど子供に怒鳴っていた男性たちが。

彼らは、ノガワを見て目線を鋭くしていた。

 ーーひ、ひぇ~。怖いねぇ~。できれば、穏便に済ませたいけど。


「お前、盗みとかしてないだろうなぁ?」


「ああ。そこを疑ってたんだ。……それなら、大丈夫だよ。別に、僕は戦争孤児とかじゃないし」


「あ?本当か?………いや、すまん。疑って悪かったな」


ノガワがしばらく見つめ合うと、問い詰めてきていた男性は、追求をやめて目をそらした。

これは、勿論、ノガワのユニークスキルで記憶を改変し、ノガワに強く当たれないようにしたからである。

 ーーいやぁ~。このスキル、本当に便利だよね。魔王様たちには、記憶の改変がそんなにかんたんにできるのか、みたいなこと言ったけど、実際は凄い簡単だし。


「いやいや。疑うのも分かるし、いいんだよぉ~。……それより、お兄さんたちも、大変だねぇ~。治安の維持のためにこういうことして」


「まあ、大変だけど、村のためだからなぁ~。盗みなんか許すわけにはいかないんだよ」


「うんうん。お兄さんたちは、地元想いなんだねぇ~。………と、ちょっと気になったんだけど、お兄さんたちは盗みとかしてる子を見つけたら、叱った後はどうしているの?」


ノガワは気になっていることを聞いてみた。

普通に解放するのか、それともどこか、警察のような所へ突き出すのか。

男性たちはノガワの質問を受け、全員顔を見合わせた後、揃って、


「「「奴隷商に売る」」」


「……あぁ~。そうなんだぁ~」


北ではあまり見なかったが、こちらの国だと奴隷は一般的なモノとなっている。

そういうことを、ノガワは魔王城で説明されていた。

 ーーそういえば、割とすぐに犯罪を犯したら、奴隷にされるんだったねぇ。僕も気を付けよぉ~。

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