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96.その不幸の始まりが、召喚した勇者様

少し時間が経過して。

ノガワは次の日、もう簡易人側の領土にいた。

きちんと、魔王たちからラウスは返して貰っている。

 ーー良かったぁ。戻して貰えて。ラウスが何かされるんじゃないかと思ったよ。


「チュゥ!」


安堵しているノガワに、ラウスが一鳴き。

スキルで読み取れる感情では、自分への自信と、落ち着くようにと意味が伝わってくる。

 ーー大丈夫だから安心して、って言いたいのかな?


「チュゥ!」


肯定の感情が伝わってきた。

 ーーそう、なら、いいかぁ。

ノガワは、もうこれ以上心配しないことにした。


「……おっと。そろそろ、ラウスは隠れておいて貰えるかな?」


「チュッ!」


少し視界の端に建造物が見えてきた。

これ以上ラウスが出ていると、見られてしまう可能性がある。

 ーーさて、今回の村はどんな所かなぁ?大きい街の特徴は教えて貰ったけど、こんな小さい村までは教えて貰わなかったらなぁ。……というか、その前に、皆はこんな小さい村の特徴まで知ってるのかな?


「ん~。良い匂い」


村に入ると、食欲をそそる匂いが漂ってきた。

ノガワがその匂いの元を探そうと周りを見回すと、

 ーーん?何か、怖そうな人が集まってる。


「おい。テメェ!何なめたマネしてくれてんだオラァ!!」


「ひ、ひぃ!ご、ごめんなさい!」


「あぁ?謝って済むなら衛兵はイラねぇんだよ!!」


1人の子供を囲んで、数名の厳つい男性たちが怒鳴り散らしていた。

ノガワは助けに行くべきかと一瞬迷うが、

 ーーいや、僕が行ってもあんまり意味ないかな?

すぐに、行っても勝てやしないと諦めた。


それから、適当に近くの露店へ行って、


「あっ。魔物の串焼きかな?1本頂戴!」


「おう!毎度!!」


数日前に北の方の村で食べた串焼きが売っていた。

あのときは、倒した魔物を適当に焼いていたが、こちらは売り物なので、きっと選ばれた魔物の肉を使っているだろう。

………きっと。


「ほらよ」


「ありがとぉ~。………ああ。あと、あれ、大丈夫なの?」


串を受け取ったノガワは、店員に話を聞くことにした。

ノガワの指さす先には、先ほどの厳つい男と、子供の姿が。

店員は納得したような表情をして、すぐに困ったような顔になり、


「あれ、止めちゃダメだからね?ああ見えて、悪いのはあのガキの方なんだよ」


「え?そうなの?」


見た目に反して、厳つい男性たちは悪い人たちというわけでもないらしい。

 ーーどういう事なんだろ?

不思議に思ったノガワは、詳しい事情を聞く。


「あのガキはな、おそらく北から流れてきたガキなんだよ。しかも、おそらく戦争で親を亡くした孤児だ」


「ふぇ~。まあ、よくある話ではあるけど。……それで?何であの子が悪いの?」


「ほら、聞いてねぇか?最近、北の方の孤児院で大きい火災があったって。あれで、北で孤児が受け入れられなくなって、あぶれてきた奴らが、この辺まで来て賭博やら盗みやらして生きてるんだよ」


孤児院の火災というのは聞いたことのない情報だ。

……ただ、聞いたことはないが、知識としては持っている。

 ーーああ。僕の仕組んだ孤児院の火災、成功したんだぁ。それでああいう子が出ちゃったのは、ちょっと可哀想だね。まあ、そこまで考えて計画したんだけど。


「そっかぁ。北の方は、最近色々不幸だねぇ。折角、勇者を召喚したって言うのに」


「全くだよなぁ。しかも、その不幸の始まりが、召喚した勇者様の起こしたことって言うのがまた不幸だ」


そう言って、店員は難しい顔をする。

その影響でこの辺りの治安まで悪化しているのだから、当然の悩みと言えばそうなのだが。

 ーー簡易人側にはかなり打撃になってるかな?もう少しすれば、かなり圧倒的な力の差が出てくるはず。


「北の対立も、早く終わって欲しいよね。反乱した王が勝っても、今の国が勝っても、どっちでも良いからさぁ」


「そうだよなぁ。ゴタゴタがあってタダでさえ大変だって言うのに、内輪もめしてる場合じゃないよな。反乱を抑えるのは大変だろうから、今の王がささっと辞めちまえば早いって言うのに」


「まあ、速さで言えばそうだよねぇ。ただ、新しい王を決めるのでも問題が起きそうじゃない?」


「ま、まあ、確かにそうかもなぁ。何処の村とか町も、自分たちの所から王を出したがるだろうし。」


どうして、自分たちの所から王を出したいのかって?

それは勿論、その王がいるところが王都になるから。

つまり、自分たちの町や村を、王都にしたいからだ。


「最悪なのは、反乱した人たちがこっちまで逃げてきて、反乱の拠点をこっちの国に作ったりすることだよねぇ。反乱分子をこっちに入れるとかしたら、更に治安が悪化しちゃうよぉ」


「ああ~。その可能性もあんのかぁ。確かに厄介だな。後で、領主様に、他国の人間の入国許可の基準を厳しくするようにお願いしておかないと」


「ああ。そうした方が良いかもね」


ノガワはそう言いつつ、心の中では驚いていた。

 ーーえ?一般市民が領主に何か言えるの?割と、市民に優しい政治をしてるんだねぇ。

北の国でも魔族の所でも、トップは圧倒的に位が高く、至高の存在のような位置づけにされていた。

その作りが違うと言うことは、反乱を起こす理由も、北と同じだとおかしく思われるかも知れない。

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