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87.おそらく、信心深い人なのだろう

チュチュチュ!

『……ん~。おはよう。ラウス」


朝。

ノガワはラウスの鳴き声で目が覚めた。

それから、何気なく窓から外を見て、


「………あぁ~。またかぁ」


そんな言葉をこぼした。

慣れちゃいけないモノに慣れた気がしながらも、ノガワは窓へと近づいていく。

そこから見えるのは、灰色の煙の柱。


「またどっかで、……というより、この町で火事があったみたいだね。炎は見えないからもう消火されたんだろうけど」


そんなことを呟きつつ、支度をして下へと降りていく。

すでに下では火事のことが話題となっていた。

ノガワは、会話に聞き耳を立てる。


「また教会かよ。何でよりにもよって教会を狙うんだ?」

「反乱してる奴らはバカなのか?教会を狙うとか、頭が狂ってるぞ」


そんな話が聞こえてくる。

どうやら、教会で火事があったらしい。

話が本当なら、反乱をしているモノたちが放火したようだ。


 ーー何やってるんだろぉなぁ。そんな計画はないはずなのに。

ノガワはそんなことを思いつつ、料理を注文する。

そして、料理を食べつつ話に聞き耳を立てて過ごした。


「………さて、行くかぁ~」


食べ終わり、大まかな話も聞き終わったので、ノガワは新たな場所へと行くことに。

実は、今日が簡易人側での生活最終日だったりする。

ノガワは荷物を持ち、宿の扉を開け、


ドンッ!

「うわっ!?」


「キャッ!?」


走ってきた人とぶつかった。

ノガワはよろけ、ぶつかった人は転んでしまっている。

ただ、転んだことよりも、その服装の方にノガワは目が行ってしまった。


「イ、イッタタタ~」


「あっ。ごめんねぇ。大丈夫?」


服装を見て固まっていたが、ぶつかった女性が声を出して我に帰る。

ノガワはすぐに駆け寄って、ケガがないか確認した。

 ーーいやぁ~。ビックリだよ。まさか、こんな所で白いローブ着てる人と会うなんて。


ぶつかった人は、頭の部分に差し出される手がえがかれた白いローブを着ていた。

聖地の観光ガイドの本を売ってくれた人が着ていたモノと同じモノだ。

おそらく、信心深い人なのだろう。


「大丈夫?立てそう?」


「だ、大丈夫です~。ありがとうございます~」


ノガワが手を差し出すと、女性は手を取って立ち上がった。

その時ちらっと見えるのは、薄いピンク色の髪。

だが、すぐにフードを女性は整え、それを見えなくしてしまう。


「『キュア』」


女性が、少し擦り傷のようなモノが出来ている自分の膝に手を当てて唱えると、一瞬にしてそこの傷はなくなった。

女性はそれを確認してから、土のついた部分を手で払う。

そして、


「す、すみませ~ん。私の不注意でぇ~」


「いやぁ。僕はほとんどケガしてないからいいよぉ。お姉さんこそ大丈夫なの?回復魔法は使ったみたいだけど」


「はい~。回復魔法で十分効果が足りました~。大丈夫です~」


言葉でもそう言ってるし、顔にも痛みをこらえるような緊張がない。

立ち方だってシッカリしている。

 ーーうん。問題なさそうだねぇ。………残念。


「それじゃあ、私はこの辺りでぇ~」


「あっ。うん。気をつけてねぇ!」


ノガワが何か言う前に、女性はもう行ってしまった。

ノガワはその背中に手を振り、見送った。

 ーー普通の町とかで、あの格好している人見るの初めてだったなぁ~。……ま、いっか。良い間は気にせず、帰ろぉ~。


ノガワは気持ちを切り替え、歩いて行く。

教会が燃やされたこともあって、町の人からは鋭い目つきで睨まれるが、気にせずに歩く。

 ーーここで変に反応すると、余計に目立っちゃうからねぇ~。知らない振り知らない振り。


そうして町から出ると、激しく人口密度が低下した。

今までもかなり道は人通りが少なかったのだが、今日は更に少ない。

 ーーここから先は、特に何かが発展しているわけでもない平凡な村か、廃村しかないって話だったからね。行こうと思う人が少ないのも当然かなぁ~。


「……ちょっと走ってみようかぁ」


ノガワは足に力を込める。

人も少ないし、走っても迷惑にはならないだろうと思ったのだ。

足を出すと、激しい勢いで加速され、ぐんぐんとスピードが上がっていく。


「ふぅぅぅ~。異世界って凄ぉぉぉぉい!!!」


何て言っていたら、目の前には分かれ道が。

ノガワはスピードを落とし、そこで立ち止まる。

 ーーえぇっと。地図だと、………こっちかな。


ノガワは廃村の位置を確認しに、また足を動かす。

すると、しばらくしたら廃村が見えてきて、


「あっ。ルティアーヤ!久しぶりぃぃぃ!!!!」


グリュプスに乗っているルティアーヤを発見。

ノガワはその下まで、手を振って駆け寄った。

 ーーまだ1週間くらいしか経ってないはずなのに、凄い久しぶりな気がする。


「ああ。ノガワ。久しぶりだな。問題なかったか?」


「うん。そこそこ上手くいったとは思うよぉ~。……あっ。あと、これ。お土産いっぱい買ったよぉ~」


「お、おお。では、戻ったら貰うとしよう。とりあえず、乗れ」


ルティアーヤに指示され、ノガワはグリュプスへと乗る。

すると、柔らかくグリュプスは浮き上がり、大空を羽ばたいた。

 ーー魔王城まで帰る間に、向こうの状況とかも聞いておこうかな。

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