78.ゾンビアタックってヤツなのかな
ーー方向的には、向こうの方だったけど、………えっ!?
ノガワは目に映る光景を信じたくなかった。
だが、信じないわけにはいかない。
少しでも生き残る確率は上げなければならないのだから。
「た、大変だよ!動物が押し寄せてきてる!!」
「「「えっ!?」」」
ノガワの目に映ったモノ。
それは、炎から逃れるようにして走ってくる、大量の生物の集団だった。
流石に村人たちもそれには焦る。
「ゆ、弓で全滅させられるか!?」
「全滅は無理だ!数が多すぎる!」
やってくる生物は大きさも種類も様々で、数は非常に多い。
矢を放って殺したとしても1割も殺せないだろうし、小さい生物には当たらない可能性も高い。
ーー難しい選択を迫られるねぇ。でも、早く選ばないと、もう生き物が来ちゃうよ。
「取り敢えず矢は使っておけ!少しでも多く間引くんだ!!」
「「お、おう!!」」
ノガワをここまで連れてきた大工の棟梁が声をかけると、建設に携わっていなかった村人たちは弓を構える。
そして、射程圏内に入るかはいらないかというところで、一斉に矢が飛び、それからは次々と矢が飛んでいく。
ーーおお。コレが矢の雨かぁ。この中を進んでいくのはかなり怖いけど、……それでも、止まる気配はないね。
次々と仲間が死んでいき、死んだ仲間にぶつかって転んでしまったりするモノも大勢。
だが、それでも生き物たちはとまらない。
ーー怖いねぇ。無限に湧いて襲いに来る。これが、ゾンビアタックってヤツなのかな?
本当のゾンビアタックとは違うが、恐怖の種類としては似ているだろう。
「魔法を使って壁を作るんだ!!!」
そんな声が聞こえると、即座にいくつもの土の壁が作られた。
直後、ズドン!という大きな音と共に、大量の生物が壁に激突した。
そして、次々とひびが入っていき、
ーーこ、これはマズいね。僕も協力した方が良いかな?で、でも、何かああるかな?………そ、うだ。
「弱点看破」
スキルを使用して、壁の様子を見る。
すると、数々の弱くなっている部分が赤く表示された。
ーーこれは教えた方が良いよね?できるだけ早く!
「あそことあそことあそこ。凄い弱くなってるよ!」
「え、えぇ?……わ、分かった。今魔法をかける!!」
突然ノガワに指示された村人は困惑気味だったが、半ばやけくそで従ってくれる。
すると、少しずつ赤みが抑えられていった。
ーーでも、間に合わないくらい赤いところが増えてくよぉ!あと5人は手伝って欲しいけど。
「おい!坊主!弱いところ分かるか!?」
「あっ!うん分かるよ!」
そんなとき、丁度良く棟梁が話しかけてくれる。
ノガワが頷くと、すぐにノガワの周りに村人たちが集まってきた。
ノガワは赤くなっているところを伝えていき、できるだけ弱いところを押さえるようにしていく。
ーーギリギリ間に合ってるかな?これなら、どうにかなるかも知れないね。
ノガワ以外にも弱くなっている場所が分かる者がいるようで、各人ごとに数人の村人が集まっていた。
大きくひび割れた場所は瞬時に修復されるので、ノガワはできるだけ細かい部分の修復をお願いする。
「お、おい!もう火が来てるぞ!!」
「魔導具発動の準備をしろ!!」
高い場所から下の様子を確認していた村人が指示を出した。
すぐに数人の村人が、作っていた設備に手を当てて、
ーーおぉ!光った!何か凄そう!!
まばゆい光があふれ出し、ノガワたちの視界すら塞いでしまう。
だが、そこでノガワは気付いた。
ーーあっ。これ、弱くなってるとこが見えなくなって、……え?ヤバくない!?何か、ゴゴゴゴゴッ!ていう音が聞こえたんだけど!?
ノガワたちが指示を出来なくなったので、今にも壊れてしまいそうになっている。
光と壁にひびが入っていく音が聞こえ、
ドカアアァァァァァァ!!!!!
「「「うわあああああああぁぁぁぁぁ!!!!????????」」」
悲鳴を上げる村人たち。
ついに壁が崩壊した。
………のだが、
「…………あ、あれ?」
「何も来ないぞ?」
「も、もしかして!?」
村人たちが、生物たちが押し寄せる前方を見た。
そこには、破壊された壁の残骸と、
「「「よ、よっっしゃあああああああぁぁぁぁ!!!!間に合ったアアアァァァァ!!!!!!!」」」
巨大な水の壁。
さらには風も吹いているようで、壁の残骸や、小さな生物などが次々と遠くへ、つまり、炎の方へ吹き飛ばされていった。
ーーおお。コレが作ってたヤツの力なのかぁ。凄い威力だねぇ。
「魔力が残ってるヤツはつぎ込め!炎が過ぎ去るまで耐えるんだ!!!」「
「「「おう!!!!」」」
棟梁が一声かけると、村人たちが一斉に動き出した。
作ったモノに集まり、手をかざして何やら行っている。
ーー魔力をつぎ込んでるんだろうね。……魔力かぁ。僕、未だに魔力に関してはよく分かってないからなぁ。何か1つくらい魔法でも憶えたいところだけど。
「おっ。坊主。ここに居たのか」
「ん?商人さんたち。どうだった?安く買えた?」
ノガワは後ろから話しかけられる。
ーーここに来たのかぁ。……ん?何しに来たんだろ。




