77.どれだけ優秀でも、人間だから
「ね、ねぇ。あの部分かなり危なそうだけど、補強とかした方が良いんじゃない」
ノガワは近くを通った村人に、そう話しかけた。
ーー凄い赤くなってるよ!絶対危ないって!
ノガワは激しく焦る。
「あぁ?そんなに危ないところはないだろ。アレでもうちの建築チームは優秀なんだぜ」
「い、イヤイヤ優秀なのかも知れないけど、明らかにあそこはマズいよ!」
「はぁ?そんな事ねぇと思うけどなぁ。………ったく、分かったよ。俺が言っといてやるから、坊主は心配すんな」
村人はそう言って、行ってしまう。
約束は守ってくれるようで、作業をしている1人に声をかけ、ノガワのいった箇所を点検して貰っていた。
そして、数秒後、それを見た作業員が焦ったように何かをいって、一度作業は中断。
それから、ノガワの言った場所の補強に乗り出した。
ーーおぉ。みるみるうちに赤みが減っていく。確かに、ここの建設チームは優秀なのかもねぇ。
ノガワは先ほどの村人の言葉に納得した。
かなり大手でもあるようなので、間違いがないと思ってしまうのも仕方がないことなのかも知れない。
ーーまあ、どれだけ優秀でも、人間だからねぇ。焦ったら失敗くらいしちゃうよね。
ノガワは補強作業を見ながらそんなことを思った。
魔王軍でこういうことが起こらないように、何か方法を考えるよう提言してみるのもアリかも知れないとも考える。
《スキル『修正』を獲得しました》
新しいスキルも獲得した。
ーーラッキー!村のためにもなって、僕のためにもなる。まさしくWin-Winな行動だったねぇ。
それから、ノガワはスキルの効果を考える。
本当はステータスを見れば一瞬で分かるのだが、この世界のモノたちは通常自身のステータスを見れないので、ノガワの行動は怪しまれる恐れがあり、迂闊に見ることはできない。
ーーやったことから考えると、弱点を修正できるって感じかな?弱点看破で見つけた弱いところを、補強して貰ったわけだし。
そう考えるが、それでも分からないことがある。
それは、使い方と具体的な効果だ。
弱点を修正できるといっても、どういう風になるのかは分からない。
「おう。坊主!助かったぜ!」
「ん?」
スキルの効果で悩んでいると、話しかけられた。
ノガワが顔を上げると、先ほどノガワが危ないことを伝えた村人と、知らない人がいた。
ーーだ、だれ?
「いやぁ~。坊主が教えてくれなかったら、危うく作ったモノがぶっ倒れるところだった。マジで助かった!」
そう言って、ガハハハッ!と笑いながら、ノガワの背中を男は叩いてくる。
因みに、結構な強さで叩かれていて、普通にいたい。
ーーいったぁ~。絶対この人、攻撃力上昇系のスキル持ってるよぉ~。
「お、お兄さんは、この村の人かな?」
ノガワは背中の痛みに顔を引きつらせつつ質問をする。
すると、叩く手が止まった。
ーーふ、ふぅ~。解放されたぁ。……けど、背中がまだじんじんするよぉ~。
「俺は、この村で建築士をしてるんだ。まあ、一応大工の棟梁なんていわれてるぜ」
「ふぇ~。凄いね。でも、そんな重要な人が僕と話してて良いの?」
「タダ雑談するだけなら良くないんだが、実はお前にお願いがあってな」
ーーお願い?何だろ。
ノガワは首をかしげた。
ノガワのその様子を見て、大工の棟梁は、内容の説明を始める。
「お前に、他にももろいところがないかチェックしてほしいんだよ。頼めるか?」
「え?……うぅ~ん。まあ、いいけど。僕はプロじゃないから、そんなに細かいところは見れないよ」
どの程度弱点看破で分かるか未知数なので、ハッキリとした事は言えない。
が、先ほどのようにある程度の大きさの弱い部分なら発見できるはずだ。
ーー受ける分には良いかもね。村の人とも交流が出来そうだし。
「本当か!別に、そんなに細かいところを見てくれる必要はないんだ。今回の炎さえ防げれば良いんだからな。じゃあ、早速見てくれ。こっちだ」
大工の棟梁はそこまで言うと、ノガワに背を向けて小走りを始めた。
ーーえ?はや!
振り向いてノガワが着いてきていることを確認したりすることもなく、歩いて行く大工の棟梁。
ノガワは急いでその背中を追いかけた。
「……ここら辺で見ておいてくれ。何かあったら、その辺のヤツに言ってくれれば良いから」
「あっ。うん。分かったぁ」
ノガワは頷いた。
それから、数秒に1度のペースで弱点カンパを使用していく。
ーー大事な仕事なのは分かるんだけど、……暇だなぁ。
ノガワはかなり暇になってきた。
そこで、暇つぶしのために職人の技術をじっくりと観察してみることに。
ーーさっきとは違って、近くで作業が見られるからね。観察するには丁度良いかな。……ま、勿論弱点看破も忘れずにやるけど。
色々とスキルを使いながら、作業の様子を観察したり、飽きてきたらスキル看破をしてみたり。
そんな風にしているときだった。
飽きてきたので、何度目かになるスキル看破をした瞬間、
ーーうわっ!?な、何この数!?
今まで見ていた数とは比べものにならない量のスキルの数々。
ノガワは驚きつつ、原因を探る。
ーー方向的には、向こうの方だったけど、………えっ!?




