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71.コボルトにつままれたみたいな顔

「ふざけんなよ!折角の良い旅が、コレで最低になっちまった!!」

「おぉ~。気持ちは分かるけど、落ち着けよぉ。仕方ないじゃないか。色々裏切りとか起きてるんだからよぉ」


反乱が起きた日の夜。

町の宿は少し騒がしかった。

今回の反乱でここの町を楽しめなかった連中が、やけ酒をしているのだ。


「ったくよぉ~。折角ここのあんみつを食いに来たって言うのに。店が閉まっちまって。……でも、坊主も大変だよなぁ」


「おお。急な話題の転換だね」


ノガワも酒は飲んでいないが、酔っぱらいたちと話をしていた。

酔っぱらいの話はすぐに飛躍する。

 ーー何を考えてそこに飛ぶのか考えるのが楽しいんだよね。


「いやぁ。坊主も若いのに、良く旅なんかするなと思ってよぉ」


「ん?コレでも随分楽になった方だと思うよ。一応ちょっと前まで僕は兵士してたし」


「「……え?」」


酔っぱらいの口からこぼれる困惑の声。

その声を出したのは話し相手の酔っ払いだけでなく、他の周りにいて話を聞いていたモノたちもだった。

 ーーあれ?どうしたんだろ?凄く驚いてる感じだけど。


「お?どうしたお前ら。そんなコボルトにつままれたみたいな顔をしやがってぇ」


「なんだよコボルトにつままれるって!それを言うならコボルトじゃなくて化け狐だろ!!」


酔っ払いが酔っ払いにツッコミを入れ、どっと笑いが起きる。

どうやらこの世界にも、狐につままれるという言葉はあるらしい。

 ーーでも、普通の狐じゃなくて化け狐なところが異世界らしいねぇ。


「いやぁ。この坊主が、かなり壮絶な人生おくってんなと思ってよ。……何でも、この坊主、元兵士なんだとよ」


「……はぁ?兵士?その年で?」


説明された酔っ払いは、大きく口を開け驚いた。

 ーーこれが、開いた口が塞がらないってヤツだね。でも、お酒臭いからそんなに口を開けないで欲しいんだけどなぁ。

ノガワは酔っ払いの反応に苦笑した。


「いやぁ。イジメがひどいから、無断でやめちゃったけどねぇ」


「「「え?イジメ?」」」」


また全員が困惑したような表情を浮かべる。

だが、逆にこの反応はノガワにも予想外。

 ーーえ?兵士ってイジメがひどいモノじゃないんだ。ストレスの多い環境で働くわけだし、そう言うモノなんだと思ってたけど。


「そうだよぉ。新人イジメって言うの?結構ハードだったよ。僕は後方支援の部隊にいたから死ぬようなことはなかったけど、前線部隊だと新人イジメで死人とか出るんじゃない?」


「い、いや。イジメなんて聞いたことないけどな」

「で、でも、そう言われると確かに新人の方が死にやすいって話だよな」


酔っぱらいたちは、青い顔をした。

酔っ払って顔が赤いのに、青い顔が出来るのである。

 ーー凄いねぇ。酔っ払いは多芸だねぇ。


「い、いやいやいや。それはただ単に、スキルとかが育ってないだけだろ?」

「そ、そうだよな。レベルが低いから死んじまうだけだよな」


慌てたように言って、取り敢えず落ち着いたような雰囲気になる。

だが、数名は難しい顔をしていた。

ノガワはそのものたちをシッカリと覚えておく。

 ーーこの表情をする人たちは、少なからず反乱に協力してくれる可能性がある。ちょっと誘導すれば、反逆者の仲間入りになってくれるだろうね。


「ま、その辺の本当のことはよく分かんないや。前線に入ってないしぃ」


「お、おう。そうだよな。で、でも、軍でもイジメがあるのか」


「それはそうだよ。軍は厳しいし、常に張り詰めた感じだからねぇ。娯楽が必要なんだよ」


ノガワはそう言いつつ、軽食に手を付ける。

それから、野次馬全員と話すこととなり、数人と話した。

軽食を食べつつ、楽しい時間を過ごしていく。


その後も、楽しい時間が続くかのように思われた。

だが、その時間は唐突に終わりを迎える。

それは、酔っ払いの数名がダウンし掛かっているくらいの時だった。


バタンッ!

突然激しく宿の扉が開けられ、


「た、大変だぁぁ!!!また別の町で火事が起きたぞぉぉぉ!!!!」


「「「な、何だって!?」」」


またらしい。

宿の宿泊客たちは、非常に困ったような顔をする。

 ーーこの辺で物を売るつもりだった商人の人もいるだろうからなぁ。よそ者が警戒されると、それだけ経営が厳しくなるよね。

しかも、悪い知らせはそれだけではない。


「あ、あと。王都の近くの方の町でも反乱が起きてるらしいぞ!だから、しばらく王都への立ち入りが禁止されるらしい!」


その言葉を置きいて、だんだんと騒ぎが大きくなっていく。

 ーー王都の近くの村ねぇ。それだけだと情報が足りないなぁ。僕が行ったところかどうか確かめたいんだけど。

ノガワはそう思うが、その情報を持ってきたモノはすでに大量のモノたちに囲まれ、質問攻めに遭っている。

ノガワが近寄っていって、聞きたいことだけ質問できそうな様子ではない。


 ーー仕方ない。今日は早く寝ちゃって、明日聞くことにするかぁ。

ノガワはそう決めて、大人しく諦める。

それに、そこまで絶対に聞いておかなければならない重要な情報でもないのだ。

 ーーさぁ~。寝よ寝よぉ。

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