54.弱々しい魔王をイメージする
会議が行われる前日。
ノガワとルティアーヤは次の日の会議について話し合いをしていた。
「会議ねぇ。出席するのは良いよぉ。……でも、どんなことを話すの?」
「議題は、ハーピーへの対応だな。受け入れるか否か。受け入れるとしても、どう受け入れるか。とか」
「ふぅ~ん。大変そうだねぇ~」
ノガワは他人事のようにいった。
この原因を作ったのは、ノガワなのだが。
ーーん~。ハーピーって強かったらしいし、それを簡易人側から引き離せただけでも凄い良い結果だと思うんだけどなぁ。………もし、ここからハーピーを有効に使うなら、
「まあ、しばらくは前線近くの村か何かに置いておくのが良いよねぇ」
「ん?どうしてだ?」
ノガワの呟きに、ルティアーヤが首をかしげた。
将軍といえど、ルティアーヤは割とクリーンな戦い方をしてきたのかも知れない。
ーー正面からの正々堂々とした戦いとか、やっても奇襲くらいなのかなぁ?僕みたいに、裏でネチネチやってる人と違って、心が清いのかなぁ。
「前線に置いておけば、簡易人側が攻撃しにくいじゃん。ほら、ちょっと前までハーピーは前線で戦ってたわけだし、簡易人側にもハーピーに友達がいたり、恩があったりする人も多いでしょ?」
「た、確かにな。攻めるとしても、士気はかなり低くなるだろう。…………他に、何か意見はあるか?」
ルティアーヤは、ノガワの意見に興味を示したようだ。
目を輝かせてノガワに尋ねてくる。
ーーあぁ。別に、僕みたいな汚れた戦い方も忌避してるわけじゃないんだね。………まあ、それもそうかぁ。勇者にハーピー狙わせる作戦を容認したわけだし。
「他かぁ~。う~ん。そうだねぇ~。………勇者を精神的に追い詰めるのもアリかなぁ?」
「ほぅ?というと?」
「例えば、ハーピーたちが狂ったように目を血走らせながら、恨みの言葉を吐きつつ突撃したら恐怖を感じないかな?それを、戦闘中ずっとやれば、勇者の心もポッキリ行くとおもうンだよねぇ」
ノガワは笑顔でいう。
なかなかにいい笑顔だ。
逆に、それを聞いたルティアーヤとリユーニアの笑顔はかなり引きつっている。
「ん?どうしたの2人とも、顔色悪いよ」
「い、いや。大丈夫だ。ようやく、お前に嫌われていないと感じられたよ」
「良かったのだ。ノガワがおこってたら、ルティアーヤが、絶望の淵に自殺してた可能性がたかイのだ」
ルティアーヤたちはほっとしたような表情になる。
精神的に死にたくなるまで痛めつけたりされなかったので、ルティアーヤが嫌われていないと感じられるのだ。
が、そこで感じるのはどこか悲しい気がする。
「で?そんな感じでどうかなぁ?」
「あ、ああ。参考にさせて貰おう。………すまないが、私は今の話を魔王様に報告してくる。リユーニアは残しておくから、待っていてくれ」
「はいはぁい」
ルティアーヤはすぐに部屋を出て行った。
ーーふふふっ。ルティアーヤの役に立てたみたいで良かったよ。これで、もっと関係は良くなるかな?
ノガワはそう考えつつ、残されたリユーニアを見る。
「そういえば、魔王様ってどんな人なの?」
「ん~。魔王様は、普段の様子からは魔王って感じはしないのだ」
「へぇ~。そうなんだ。普段はどんな感じなの?」
ノガワはリユーニアに話を聞きながら、魔王の姿を思い描いていく。
ーー魔王って感じはしないなら、ガタイはあんまりよくないのかな?それに、目つきもそこまで悪くない感じで。
「普段の魔王様は、おどおどしてて弱々しい感じなのだ。それでも、努力家って感じのする姿なのだ」
「ふぅ~ん。普段はって事は、そうじゃないときもあるの?」
「…………」
沈黙が訪れる。
急な沈黙に、ノガワは内心慌てる。
ーーえ?もしかして、地雷踏んじゃった?聞いちゃ駄目だったかな?
ノガワはそう重い、心配するが、
「………そ、そういわれると、弱々しくないときはないのだ」
「あっ。そうなんだ」
どうやら、ただ思いつかなくて悩んでいただけのようだ。
ノガワは、弱々しい魔王をイメージする。
ーーいや。魔王って強そうなイメージしかないんだけど。どのイメージの魔王も、弱々しくするって難しいなぁ。
「ただ、私たちを含めて、幹部全員が魔王として認められるのはあの人しかいないのだ。誰もが尊敬できて、この魔王軍をリードしていけるのはあの人だけなのだ」
「ふぅん。そうなんだ」
弱々しいのにカリスマ性はあるようだ。
ーーう、うぅん。両立した姿がイメージできないなぁ。どんな感じなんだろう?
ノガワは、魔王の姿に興味が湧いた。
バタンッ!
そんな瞬間だった。
部屋の扉が勢いよく開き、
「ノガワ。魔王様がお呼びだ」
「………おぇ?」
突然の呼び出し。
ーーえ?僕何かやっちゃったっけ?できるだけ魔王軍内では問題を起こさないように気をつけたんだけどなぁ。
ルティアーヤに激しくいたぶられたのは問題ではないのか、と言う質問にはノーコメントだ。
「よ、呼ばれたなら行くしかないよね?」
「当然だな」
「…………じゃあ、行きますかぁ~」
ノガワは立ち上がり、まだ見ぬ魔王の下へと足を進める。
ここで立ち止まる事なんてできない。
だって彼には、




