51.これより、会議を行う
なぜかこの小説、50話近いスタックがあるんですよねぇ。
「これより、会議を行う」
次の日、ルティアーヤは大きい会議室でそう言った。
昨日ノガワに言ったとおり、幹部たちとの会議を行うことにしたのだ。
会議室には、数十人の幹部や、その護衛が集まっている。
「今回の議題は、ハーピーの扱いだ」
ルティアーヤは議題を告げる。
幹部たちの表情は真剣そのもの。
全員が、お互いの意図を読み取ろうとしていた。
「まずは、何か意見があるモノは挙手を」
スッ。
ルティアーヤの言葉と共に、幾つか手が上がる。
ルティアーヤはまず、
「それでは、サキュバス族代表」
「はぁ~い」
ルティアーヤが促すと、甘い声で返事が返ってきた。
立ち上がるのは、露出の激しい服を着て、妖艶な雰囲気を纏った女性。
サキュバスという種族ということもあり、色々と見た目や声はあまり頭が良さそうには思えないが、
「私はぁねぇ。まず、魔王様のご意思が聞きたいのぉ。でも、何で出席なされてないのかしらさ?」
そう言って、彼女は周りの幹部を見回す。
周囲のモノたちは、その意見に同調するように頷き、ルティアーヤを向いた。
彼女の意見は、この場にいる大半のモノたちの総意となったのだ。
「……魔王様は、まだ仲間だと確定していないハーピー族の前に姿を現すことは出来ないとして、今回の会議には出席しない」
ザワリ。
会議室に動揺が走った。
魔王という存在の最終決定は、彼らにとって心の支えのようなモノなのだ。
「落ち着け。魔王様は出席なさらないが、すでに答えの程は頂いている」
そう言って、本来魔王がいるべき椅子を指さすルティアーヤ。
そこには、1枚の紙が裏返されておいてあった。
全員の視線がそこに集まる。
「ん~。魔王様がもう決定されてるなら、何を話し合うのかしらぁ?」
サキュバスの代表が首をかしげる。
同じように、幹部のほとんどが困惑した表情を浮かべていた。
因みに、魔王の出した答えを知っているのは、四天王とその副官の合計8名。
「今回の会議の様子は、私たち四天王から魔王様に報告させて貰う。今回の内容によっては、細かい部分の追加が行われることだろう」
「なるほどねぇ」
一言も修正と言っていないところが味噌だ。
深読みしようと思えば、全てを殺害するという場合は追加する要素がほとんどないので、それの可能性は低いと言うことが分かる。
「ふぅ~ん。なるほどぉ。よく分かったわ」
サキュバスは納得したような顔をして質問を終える。
ルティアーヤは取り敢えず1つ目の波は小さくて済んだと安心しつつ、気持ちを切り替える。
そして、
「では、意見があるモノは挙手を」
スッ。
また幾つか手が上がる。
ただ、最初とは少しメンバーが替わっていた。
最初に上げていて現在下ろしているモノは魔王に関することを質問しようとしていて、逆に前回上げていて現在上げているモノは、ルティアーヤが質問に答えている間に意見を考えたのだろう。
「それでは、リザードマン族代表」
「うむ」
緑色のうろこを持った、まさにリザードマンというモノが立ち上がった。
彼らリザードマンは、戦争において戦線の1番槍をよく行う種族であり、非常に死者が多い。
その分出生率が高かったりもすのだが、それはともかく、死者が多いこともあって、
「私たちとしては、ハーピーの参加には反対だな。今までずっと奴らとは戦ってきたのだぞ。空からの奇襲によって何度同胞たちが殺されてきたことか。信用もできんし、もし入ってきでも軍の内部で不和が起こるのは確実だろう」
「なるほど。他に意見があるモノは?」
リザードマンからの意見を、ルティアーヤの副官であるリユーニアが書き留める。
その間にルティアーヤが次の意見を求めると、また幾つか手が上がった。
ルティアーヤはまた少し心を落ち着かせてから、
「では次は、ドワーフ族代表」
「おう」
今度もまたそれらしいモノが立ち上がった。
立ち上がったと言っても、座っていたときと比べてそこまでハッキリした高さの差はない。
小柄でひげもじゃなおっさん、ドワーフだ。
もちろん、女性もいる。
「俺らとしては、ハーピーの参加に賛成だ。どうせ簡易人側と手を切るときに色々とあっただろうから数も少ないだろうし、裏切られてもそこまで問題はないってのが理由の1つだな。そして、鍛冶士としての理由では、飛べるから物資の運搬とかしてくれる要因が増えるのはありがたいんだ。鉱石とかの運搬は厳しいかも知れないが、軽いものとかなら地上で運ぶよりかなり楽だろうし、是非とも欲しい人材だ」
「ふむ。なるほど」
ルティアーヤは頷いた、
そして、また意見を求める。
その後も、反対と賛成の意見が、それぞれの立場から述べられていった。
「………さて、他に意見があるモノは挙手を」
ルティアーヤがそう言うが、誰も挙手するモノはいない。
やっと意見が出そろったようだ。
ルティアーヤは満足したように数度頷き、
「さて、それではコレまでの意見を受けて、ハーピー族からのアピールを頼もう。そのアピールを受けて、最終投票を行う」
ルティアーヤの言葉により、一斉に視線が動く。
その視線の先は、隅の方に暗い顔をしながら座る1体のハーピー。
ハーピーは視線を受け、覚悟を決めたように立ち上がった。




