48.私と、仲良くなりたい、だと?
「あ、ああ。そうだな。………そうか。それで苦しめと言うことか」
ノガワの言葉を受け、ルティアーヤが覚悟を決めたような顔になる。
どうやら、ノガワは言葉の選択を間違えたようだ。
ーー普通に仲良くしようって言っても上手くいかないと思ったからこうやって見たけど、こっちはこっちで面倒なことになっちゃったなぁ。
「……はぁ。分かってないなぁ」
「な、何だ?何が分かってないと言うんだ?」
「そんなの建前だよぉ。僕はただ、ルティアーヤと仲良くなりたいの!でも、普通に言っても罪悪感が残るだろうから、そうやって言っただけ!!」
ノガワは頬を膨らませ、仁王立ちになって言う。
ここで失敗して仲をこじらせるわけにはいかない。
ノガワは信用を勝ち取って、もっと自分の目的のために活動しなければならないのだ。
「私と、仲良くなりたい、だと?」
ルティアーヤがうろたえたような表情を見せた。
なぜそんな表情になったのかは分からないが、ノガワには、悪い流れではないように思えた。
ーー行ける気がする!ルティアーヤの心に少しだけ入り込むことが出来る気が!!
「そうだよぉ。仲よくしよ!ねぇ?」
「………わ、分かった。お前がそれを望むなら、私に拒否する理由はない」
ルティアーヤはメセンをそらしながらそう言った。
この様子は仲良くしたいと思っているモノの様子ではないと思うが、
ーーそれでも十分!この感じなら、もう少しグイグイ押していっても良さそうだね!!
「今、ルティアーヤは時間ある?」
「時間?ああ。色々とされるかも知れないと思って、しばらくは開けているが」
ルティアーヤはさらっと言う。
ーー僕、どんだけルティアーヤのことを恨んでると思われてるの!?そんな何日も痛めつけるとか、何処の鬼畜!?僕はそんなことないよ!!
心の中では抗議の声を上げるが、ルティアーヤを萎縮させないためにあえてそれは言わず、
「じゃあさぁ。お話ししよう。丁度お菓子も沢山あるから。ね?」
「あ、え、お話」
ルティアーヤが混乱している。
ーー完全に僕の勢いに押されちゃってるねぇ。まあ、やりやすいから良いか。
ノガワは更に
「あれ?甘い物嫌いだった?でも、ちゃんと塩辛いのもいくつかかってあるから大丈夫だよ?……あっ。もしかして、僕と2人でお話しするのはまだやりたくないの?なら、リユーニアも一緒に呼んできても良いよ」
「え、あ、ああ。……わ、分かった。すぐに行くからちょっとだけ時間をくれ」
「はいはぁい。じゃあ、また後でねぇ」
どうにか立ち直ったルティアーヤから了承を引きだすと、すぐにノガワは扉へと歩いて行った。
そして、手を振りながら部屋から出て行く。
ーー確かルティアーヤは将軍だったはずだから、仲良くなって置けばある程度自由に軍で活動できるかも知れないね。
ノガワは少し上機嫌におなりながらも、きちんと道を間違えずに歩く。
ノガワは迷わないよう、ベティーに案内された道をきっちりと覚えているのだ。
ーーいつかは魔王城内の散歩とかやりたいけど、流石に今は無理だよね。
そして1分ほど経って、ノガワは自分の部屋へ到着。
ーールティアーヤも来るし、良さそうなお菓子を出さないとなぁ。
そんなことを思いながら、扉へ手をかけようとした、その瞬間、
ゴンッ!
「いっ!?………つぅぅぅぅ」
突然扉が開き、ノガワの顔面へ直撃。
ノガワは痛みでうずくまった。
ーーあぁ。折角の僕の可愛い顔がぁ!!
「ノ、ノガワ!?す、すまない。大丈夫か?」
部屋の扉を開けたルティアーヤが、慌てて駆け寄ってくる。
ノガワは顔を押さえつつ、冷静にそのルティアーヤの様子を観察する。
ーー表情にいびつさがないし、慌ててるのは本当みたいだね。それに、心配しているのにも偽りはなさそう。
「私は回復魔法が使えないから、コレで我慢してくれ。『メインテナンスタミナ』」
魔法のようなモノをルティアーヤは唱え、ノガワを何かが掴む。
ーーん~。何か魔法がかけられたんだろうけど。………魔法名から判断すると、体力の維持?
ノガワは自分にかけられた魔法の効果を推測する。
「大丈夫なのだ?」
「あ、ああ。リユーニア。大丈夫ではあるよ。でも、ごめんねこんな姿で」
「いやいやぁ。ルティアーヤの不注意だから、私は気にしないのだぁ」
「くぅっ!」
リユーニアの言葉を受け、ルティアーヤが顔をゆがめる。
ーーリユーニアって、結構性格悪いのかな?ルティアーヤが気にしてただろう事を、ズバッと言っちゃったよ。
ノガワはリユーニアの知らなかった一面を知り、少しだけ嬉しくなりつつ対置上がる。
それでノガワの方に意識が映ったようで
「ノガワ。本当にすまなかった」
ルティアーヤから頭を下げられる。
相当真面目な性格のようだ。
ーーうぅん。第1印象は結構悪かったけど、こうしてだんだんと良いところを知っていくと、印象が変わるねぇ。確か、長く付き合う場合は最初に印象を悪くしておいて、それからだんっだんと印象を良くしていけばより好かれやすいんだっけ?
ノガワはルティアーヤの様子から、浅い心理学の知識を思い出す。
「いやいや。大丈夫だよ。………でも、凄い早かったね」




