45.お前たちが正義に逆らったからこうなるんだよ
ノガワが魔王城でゆったりしている頃。
ノガワがふと思い出した勇者たち一行は、ハーピーの隠れ里に向かって着々と近づいていた。
森の中を進んでいることもあり、発見されると言うことはない。
「上空を飛ぶハーピーが多くなってきたな。やっぱり、ノガワが言っていたとおり、ここにハーピーの集落があるのか」
「そうだな。おそらくその可能性が高いだろう。全員、作戦は覚えてるな?」
「「「もちろん」」」
勇者であるレンドウの呟きを受け、賢者であり、このメンバーの中でイチバン頭の良いハセガワが全員に確認をとる。
彼は、常に周りを見て、自分たちの有利になるような作戦を考えている。
そして、この勇者パーティーでは、子供が遠足に行く前の準備物をきちんと持ったか確認するお母さんみたいな事を毎日のようにしている。
それもあってか、普段パーティーメンバーからはお母さんというあだ名で呼ばれることもあった。
と、ハセガワのことはどうでも良いので1度置いておいて。
先行して歩いていたレンドウが足を止めた。
そして振り返り、大きく頷く。
「っ!」
パーティーメンバーはその合図を受け、自然とそれぞれが持つ武器をにぎる力が強まった。
レンドウのした合図は、目標の集落発見の合図。
つまり、ハーピーの集落を見つけたから、いつでも攻撃できる準備をしておかなければならないという合図、だ。
スッ!スッ!スッ!
賢者のハセガワは、手を細かく動かして、指示を出していく。
すると、その指示に従い、勇者パーティーのメンバーはそれぞれの配置についていった。
数秒後、ハセガワの手が下ろされる。
これは、もう後は決行するだけといいうこと。
開始の合図は、同じく賢者であるハセガワが行う。
「スゥゥゥ」
ハセガワは目を閉じ、心を落ち着かせようとゆっくり息を吸う。
ハイに空気が入り込み、ドクドクと激しく刻まれている鼓動がだんだんと落ち着いてきて、頭がスッキリしていくのを感じる。
そして、覚悟を決めて目を見開き、剣を点へ掲げ、
「『サンダーストーム』!!!!!」
叫んだ。
直後、一瞬で明るかった空が厚い雲で覆われ、青空とは違う光を放つ。
そして、激しい風といくつもの雷が集落を襲う。
ゴォォオォォォォォ!!!!!!
「うっ!??」
耳を押さえていたのに、それでも耳が割れるようだった。
レンドウたちは上手く働かない頭を無理矢理動かし、ふらふらと立ち上がる。
そして、一斉に落雷によって燃えている集落に向かって駆け出した。
「覚悟しろぉ!悪しきハーピーたち!勇者の名において成敗する!!」
先ほどの落雷を受けても、生きているモノが大半。
ハーピーは魔法への耐性が高い種族なので、範囲をとった代わりに威力が落ちてしまう広範囲魔法では倒しにくいのだ。
だが、それでも油断していたモノたちを殺害したり、傷を付けたりすることは出来た。
後は、突然の事態に混乱しているハーピーたちに攻撃を仕掛けるだけ。
レンドウたちは隠れていた場所から一斉に駆け出し、ちかくにいるハーピーを無差別に殺害していく。
女子供関係ない。
ただ、ハーピーという種族である時点で、彼らにとっては殺害対象なのだから。
「キャアアァァァァ!!!??????」
「お母さぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」
レンドウの前に、1体の雌のハーピーが。
悲鳴を上げ、目には涙を浮かべている。
その腕の中には、小さなハーピーが顔を覗かせていた。
おそらく、この雌のハーピーの子供なのだろう。
「消えろ!悪しきハーピー共!!」
だが、レンドウはそんなところで手を止めない。
彼の剣には、正義という名のおもりが掛かっているのだ。
こんな所でとまっては、勇者などと名乗ることなど出来ない。
バサッ!
1つ、首が飛ぶ。
レンドウの剣は、振り下ろされていた。
「あ、え、あ、…………お、お母さああぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!」
機微のない母のしたいに抱きつき、泣き叫ぶハーピーの少女。
その顔は、絶望に染まっている。
だが、
「うるさいな!」
スパッ!
その首も、1秒もしないうちに消えてしまった。
寄り添うようにして倒れる、首のない2人の家族。
「はぁ。悪が騒ぐなって。お前たちが正義に逆らったからこうなるんだよ」
レンドウは冷たい目をしながら死体に言い放つ。
それから、次の悪へと向けて剣を向けた。
勇者といえど、そこに慈悲などない。
「レンドウ君!ハセガワ君が、逃げようとしてるのを優先的に攻撃して、普通のハーピーは羽を狙えば良いって」
「分かった。じゃあ、アマガワさん持続回復をお願いできる?」
「うん!かけておくね!!」
聖女のアマガワが魔法を唱え、レンドウに持続回復をかける。
それを確認してから、アマガワからの伝言通り、飛び立とうとしているハーピーに集中して攻撃していく。
全てを殺害することは敵わなかったが、翼を切られた仲間を助け出そうとしているハーピーが数体いる。
そこを狙おうとしたところで、
「勇者様!何をやっているのですか!!」
レンドウたちに声が掛かる。
レンドウたちが声のした方向に怪訝そうな顔をしながら振り向くと、そこには見覚えのある騎士の姿が。
「勇者様方!我らの同盟種族をどうして攻撃なされているのですか!??」
「「「…………え?」」」




